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【40】レオナさん、初めての日本。初めてのとんこつラーメン。


「すごい、凄いわ!城より高い箱型の建物が沢山!ざ、材質は何を使っているのかしら…。見て!金属の馬車があるわ。まあ!あれは何かしら。」


住宅街を抜けて、駅前まで私達家族とレオナさんは歩いている。ちなみにこうちゃんは祥志の抱っこだ。


 レオナさんは大きなビルやマンション、車や電車など文明の利器に釘付けになっている。


「あの建物は基本的な芯の部分は金属で出来ていて、周りをコンクリートで覆ってる感じですかね。

 

 ほら、王宮や公爵邸の石造りの接着部分にもモルタルを使ってるじゃないですか。コンクリートはモルタルとほぼ同じ材料ですけど配合が違う上に砂利が入っているんですよ。だから強度がかなり強いんですよね。」

私もモルタルは庭づくりでレンガの小道を作るときにお世話になったからね。


「あんな建物をムーンヴァレー領にも作れるかしら。」

レオナさんが目をキラキラさせている。


「芯になる鉄筋の加工技術を発達させられたら出来るんじゃないですかねぇ。」

専門の工場がないと厳しいかもしれないな…。


「なるほど…じゃあ暫くは難しいわね。それにしても、私達の世界とは違って科学技術はかなりの高水準なのね。」

レオナさんが関心したように言った。


「まあその代わりこっちの世界は魔法がないですからねぇ。」

一長一短ってことですな。


「そういえばレオナさんはどんな魔法使えるんですか?」


祥志がレオナさんに尋ねる。


「私は水かな。ケネスと一緒ね。水鏡魔法も使えたけど、軟禁中は結界で使えないようになっていたからもう何年も使ってないわね。」

そこで私はハッとした。


「あ!そういえば!こっちだと魔素がないので水鏡魔法使えないんですよね…。私の家族と彩音ちゃんは魔法を使う時、魔素をエネルギー源にしていないのでこちらでも使えるみたいなんですけど…。」


水鏡魔法が使えないから連絡手段がそういえば無いのだった。


「あら、そうなの。困ったわね…。」


「スマホ作んなきゃな。栄子、明日レオナさん携帯ショップ連れてってあげなよ。」

祥志がそう言うと、レオナさんの顔がパッと明るくなった。


「スマホって鍵を開けたりアヤネが家族と連絡取るのに使っていたあの魔道具?!」


「そうですね。向こうではモンスターの居場所を検索したり、鑑定も出来るんで。購入したら早速、『最適化』して異世界(サムシングワールド)とも連絡取れるようにした方がいいかも…。」


祥志がそう言うと、レオナさんは大興奮だ。


「モンスターの居場所を検索できるですって!?そんなことが出来るなんて、めちゃくちゃ画期的じゃない!」


「次ケネス様がいらっしゃった時にケネス様にもスマホを作ってもらえば連絡取れるんで。」


祥志のその言葉にレオナさんは何度も激しく頷いていた。



「じゃあ明日はスマホ作って、銀行口座作って、クレジットカードも作りたいですね。それから家探し…ですかね。ホテルは3日分は予約してますが、もしかしたらもう少し延びるかもしれませんね。」


 私が少し考えてからこう言うと、皆賛成してくれた。


 そんなことを話しているうちに無事ホテルに着いたのでチェックインした。


◇◇


「へえ。大きくはないけど良い部屋じゃない!ベッドもフカフカだわ!」


そう言ってレオナさんが喜んでいる。


 一応、四つ星ホテルのスーペリアルームにしたからね。レオナさんは公爵令嬢から側妃になった方なのでもう少しランクが上の部屋にするか迷ったけれど、流石に今後の生活を考えると大きすぎる出費は避けた方が良いかなと思い、やめておいた。スイートルームだったら混んでいる日は一泊10万円くらいするからね…。


「朝食も付いてるプランなので、明日の朝6時半から9時の間にロビーの隣の朝食会場でご飯を済ませてくださいね。明日は10時にこのホテルのロビーで待ち合わせしましょう。」


 わかったわ、とレオナさんが頷く。


「こうちゃん、この白い金貨、前みたいにおもちゃ買えるお金に変えてくれる?」


そう言って、こうちゃんに白金貨を一枚握らせるとパァッと光って10万円に変わった。

 おお!凄い、一発で出来たじゃないの。思わずこうちゃんの頭をガシガシ撫で回してしまう。

 こうちゃんの出してくれた10万円をバッグに丁度入っていた封筒に入れてレオナさんに渡す。


「これで、よっぽど贅沢しなければホテルにいる間は足りると思うので。これから飲み物やお菓子を一緒に買い物してみましょう。」

一人で行ってわたわたすると大変だしね。


「…ありがとう!」


「あとは…。スマホ作るんなら身分証が必要だよな。レオナさん、身分証明出来るものって、身につけてたりしますか?」


祥志が聞くと、レオナさんが、宰相秘書のモニカさんも持っていたプレートと、公爵家の出自の人しか身につけられないというアクセサリーを出してくれた。


「ちょっとお借りしますね。もし異世界に帰ることになったら戻しますので。」


そう言って私がこうちゃんに渡すと、一発でアクセサリーとプレートが光って、マイナンバーカードと保険証になった。


「こうちゃん、すごい!よく出来たね?!」

「うん、こうちゃん、わかった!!」


なんと要領を覚えてくれたみたいだ。細かいことを考えずどうやら『うまくいきますように』と祈っているらしい。


 それにしても、『最適化』すごいな。これ、本当どういう仕組みなんだ…。役所を通さず『マイナンバー』を手に入れられちゃうなんて、末恐ろしい…。


 そのあと、私達はホテルの一階にあるコンビニで買い物を済ませた。


 レオナさんはペットボトルの紅茶やポテトチップス、チョコレート、チーズにワインを目をキラキラさせながら買い物かごに突っ込んでいた。


 初めて見る美味しそうなものばかりで、全部食べてみたいらしい。


 レジで少し戸惑ったものの、買い物を無事済ませていた。


 そして、午後5時半になったので、買ったものを部屋に置いてから、一通り電化製品の使い方等を説明して、皆でとんこつラーメンを食べに行った。


 ちなみに私はたっぷり紅生姜を入れるのが好きだ。


 レオナさんはとんこつラーメンをめちゃくちゃ気に入ったようでなんと7回も替え玉していた。


「美味しいいいい!何これ!濃厚でクリーミーなスープが細くて繊細な麺に絡まって、口の中で解けるわあーーーー!!いくらでもいけちゃいそうだわ!!」

と実況しながら食べていた。


 …さすがケネスさんのお姉さんだね!!


 

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