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【37】レオナ様と公爵家の皆さんの再会。

 


「姉上っ!」


無事公爵家のダイニングルームに『送信』が完了した。

(あー。人を一緒に『送信』したのは初めてだったから緊張した。上手く出来てよかった…。)


 ケネスさんが涙声でレオナ様を抱き締める。


「…ケ、ケネス?!どういうこと?!ここは…もしかしてムーンヴァレー公爵家かしら?私は王宮の自分の部屋で仕事をしていたはずなのだけど…。」


レオナ様が戸惑いがちにケネスさんに質問する。


「この者が!エーコ殿が姉上を連れ出して下さったのですっ!」


そう言ってケネスさんがこちらを振り返ったので、ペコリとお辞儀する。


「立花栄子と申します。公爵家でシェフとして働かせて頂いています。この度は緊急事態により、私のスキルを使ってレオナ様を王宮よりテレポートさせて頂きました。」


「まあ、この方が…。」

そう言ってレオナ様が目を見開いている。


「ああ、エーコ殿…。なんてお礼を伝えたらいいか…。」


 そう言ってケネスさんはおとこ泣きを始めた。まあそうか、お姉さんに会うの19年ぶりって言ってたもんなー。口振りからして仲も良かったみたいだし。


 そんな二人をダイアナさん、ニーナちゃん、シリウス君が優しい目をして見守っている。


 ケネスさん、良かったね。


◇◇


 「まあまあまあ!ケネスがこんなに素敵な奥さんと結婚していただなんて!

 それに子供達もとても可愛いのね。


 私は殆どあの部屋に閉じこもっていたから。


 実際にケネスがこうやって公爵としてきちんと領地を治めているのを見られるのは感慨深いわ…。


 最後に会ったのはまだ15歳だったものね。


 私、なんだか急に歳を取ってしまったみたいね…。」


レオナさんは寂しげに微笑んだ。


「しかし、会えたことは嬉しいけれど。緊急事態って言っていたわね?一体何があったの?」


そう言ってレオナ様が眉を下げた。


「実は我が公爵家、並びにノーリッジ侯爵家、バルガン辺境伯家はカーネル王国からの独立を考えている。」


真っ直ぐにレオナ様を見つめながらケネスさんは語り出した。


「まあ…!それは…どうして?」


そこからケネスさんは今までの王家との軋轢を話し出した。


(おお…思ったより重い話だった。


 じゃあレオナ様が人質になっていたせいで、シリウス君やニーナちゃんの婚約が決まっちゃったっていうこと?)


「…そんな。私を盾に公爵家が脅されていたなんて!!


 そんなことちっとも知らなかった…。


 ああ、ケネス、ダイアナさん、ニーナ、シリウス。本当にごめんなさい…。」


レオナ様はそう言って青ざめていた。


 どうやら軟禁されていた為、都合の悪い情報は遮断されていたようだ。


「何を言っているんですか!姉上!


 姉上が嫁いで下さったお陰で我が公爵家はこうしてまだ存続出来ているのです!


 そんな顔をしないで下さい!!」


「でも、私、呑気にその、色々楽しんでしまって…。ああ、ケネス!ごめんなさい!!」


うん?この人今『楽しんでた』って言ってなかった?


 …軟禁されて、仕事ばっかりやらされて、一体何を楽しんでいたのだろうか?


 まあ皆スルーしてるから、私もスルーしておこう…。


◇◇


 その後すぐにケネスさんが水鏡魔法で宰相のアルバートさんとモニカさんに連絡した。


 無事レオナ様の保護が成功した、と。


 初めてお目にかかるアルバートさんも、一緒に動いてくれたモニカさんもホッとしていた。


 アルバートさんはインテリメガネな仕事の出来そうなイケオジだった。


 そして連絡した際、今日の夜には王宮から調査官が来る可能性が高いと言っていた。


 このまま公爵家に匿っているとまずいということで、夕方迄にはレオナ様は日本へ連れて行く事になった。


 もちろん、今後は日本で生活するレオナ様を週に2回は公爵家の誰かが様子を見に来るという。


 ちなみに昼食は万が一の事を考えてまだ用意をしていなかったらしい。


 急いでこれから調理すると言われたが、私は皆さんにお昼ご飯をご馳走することを申し出たのだった。


 話を聞いているうちに、19年間閉じ込められていたレオナ様の門出を私も祝ってあげたい、と思っちゃったんだよね。


 公爵家の皆さんとレオナ様だけではなく、ついでに今日のお昼に帰る予定だった宮野さん家族も誘った。



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