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料理好きの主婦、週末は異世界でシェフになる。  作者: 間宮芽衣


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【30】二人の魔法と家族の再会。


 感動の家族の再会、と思いきや、何なのだろう、この状況。


「え、えーっと、ニーナさん?とりあえず玄関のドアを開けてもらえるかな?」


とりあえず話を振ってみた。


 見つめ合う二人はハッとしたように、こちらを向いた。


「そ、そうですわ!と、とりあえず百聞は一見にしかずですわ。えーっとアヤネのお兄様?まず、私について、外に出てみてくださいな。」


ああ、ニーナちゃん、耳が赤い。


(…青春ですな。)


いそいそとニーナちゃんが玄関のドアを開けると、住宅街ではなく、公爵邸の見事な庭園が広がっている。


 一樹君、彩音ちゃん、私、こうちゃんの4人はニーナちゃんに続いて外に出る。


「こ、これは…。さっきまで確かに住宅街にいたのに…。」


一樹君は目を見張っている。


「ここは、カーネル王国、ムーンヴァレー公爵邸です。私は公爵家の娘、ニーナと申します。アヤネは3ヶ月前、王家の命で神殿に聖女としてこの世界に召喚されたのです。」


彩音ちゃんが頷く。


「お兄ちゃん、信じられないかもしれないけど本当なんだよ。私、3ヶ月前に学校帰りに歩いてたらいきなり召喚されたんだ。この子はこの世界の学校で同じクラスのニーナ。今この子んちに泊まらせてもらってるんだ。」


「そ、そう、なんだ。でも、どうして立花さんちから異世界に繋がってるんだ?ごめん、ちょっと、彩音に会えて嬉しいんだけど、混乱している…。」


そうでしょうね!3ヶ月も行方不明だった妹に再会して、謎の銀髪美少女とフラグが立ったと思いきや、異世界に来ちゃったんだからね。


 もう、訳がわからないよね。


 そして、私は自分が家族と一緒に家ごとこの世界に転移したことや、家を通して両方の世界に行き来出来ること、たまたま召喚された聖女様が彩音ちゃんだとわかり、慌てて一樹君をここに連れてきたことを話した。


「そうだったんですね…。立花さん、ありがとうございます。」


一樹君が頭を下げてくれる。


「いやいや、とんでもない。でも、会えて本当よかったね。早くお父さんとお母さんにも会わせてあげたいんだけど。」


私が答えると一樹君がlimeのQRコードを差し出してきた。


「僕、親にlimeしとくんで連絡先教えて下さい。夜遅くなっちゃうかもしれないんですけど、お邪魔してもいいですか?」


「勿論だよ。ついでにお父さんお母さんのも念の為教えて。」

そう言って、連絡先を交換した。


 ニーナちゃんがそれを羨ましそうに見ていた。


「ニーナ、せっかくだからお兄ちゃんに一緒に魔法見せようよ。」


彩音ちゃんがそう言ったので、二人が魔法を見てくれることになった。


◇◇


「一番!彩音!飛びまーす!」


そう言って彩音ちゃんがフワッとニーナちゃんの手を取って浮かび上がった。

 黒髪美少女と銀髪美少女の周回飛行!絵になるなぁ。


「あ、彩音?!」

一樹君はびっくりしている。


 そして、ニーナちゃんが片手だけ離して炎を放つと、空中に炎の鳥が何匹か現れる。


(おおお!綺麗!)


 それを彩音ちゃんが手から剣のようなものを出す。

「白魔法、聖剣!」

炎の鳥を切り刻むと、キラキラと粒子が広がって花火のように舞って二人がくるくる周りながら着地した。


「本当に魔法だ…。」

一樹君が呆然としている。


「ふふふ。今日二人で早起きして練習したんですわ!」


そう言って嬉しそうにニーナちゃんは笑った。



◇◇


「それじゃあ、彩音ちゃん、ニーナさん、また後で来ますね。」

私が挨拶すると、一樹君が彩音ちゃんの頭をポンポンした。


「うん、お兄ちゃん、また後でね!」

彩音ちゃんは嬉しそうだ。


 さてと。じゃあ一旦帰りますか。


「あ、あの!!!!」

振り返るとニーナちゃんがこちらに向かって呼びかけてきた。


「どうかしました?ニーナさん。」

私がそういうと、ニーナちゃんが何かモゴモゴ言ったので、「うん?」と聞き返すと、


「…も、私も、カズキ様にポンポンして欲しいです!」と顔を真っ赤にして言ったのだった。


一樹君は一瞬キョトンとしたあと、ニッコリ笑って、

「おいで。」と言ってポンポンしましたよ。


…リア充か!


彩音ちゃんはそんな二人を見て、ニヤニヤしていた。


◇◇


 その2時間後、彩音ちゃんのご両親も慌てて来て、公爵邸で皆で再会することが出来た。二人とも一樹くんから連絡が来て早退して来たそうだ。


「…お父さん、お母さん!!」


家族で抱きしめ合って泣いている宮野さん一家を見て、うっかりおばちゃんも貰い泣きしちゃったよ。


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