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【29】一樹くんとニーナちゃん。


 朝6時過ぎにシャッとカーテンを開けて窓の外を見ると、公爵邸の庭ではなく、見慣れた住宅街が広がっている。


(おお、戻った戻った!何度見ても不思議だなぁ。)


 今日のお弁当は三食丼と、豆腐のお味噌汁である。

 

 小鍋にほうれん草を湯がく為のお湯を沸かす。その間に豆腐のお味噌汁と、鶏と、卵のそぼろを作る。塩蔵わかめも、水にさらしておく。


 お湯が沸いたらほうれん草を茹でる。お弁当箱に鶏、卵、ほうれん草を綺麗に盛り付ければ三食丼の完成だ。あとは、スープジャーにストックのネギとわかめ、豆腐の味噌汁を盛り付けて蓋をする。


 洗濯物を回しながらお風呂を磨いたが、まだ誰も起きて来ないのでお煎茶を入れた。


 出産祝いに勤めていた旅行会社の先輩がくれた鉄の急須である。煎茶は80度くらいが一番美味しいので、沸騰したお湯を入れる前に少しだけ水を注ぐ。


「はー。落ち着くわぁ。」


 煎茶を飲みながら考える。


(今日、どうやって、宮野さん家族を家に連れてこようかな。)


 ちなみに、家に連れてくるタイミングで彩音ちゃんにはlimeで連絡することになっている。


 宮野さんの家族は会うと話すけれど、連絡先は交換していないから家に突撃しかないな。


 しばらくしたら、祥志とこうちゃんが起きてきたので、目玉焼きを作って、ご飯とお味噌汁とお漬物と明太子と一緒に食べた。


 テレビをつけて見たけれど、まだ神様から返信は来ていない。


 そう言えば、昨日お金を沢山貰ったけれど向こうのお金をこっちでどうやったら使えるか聞いてないな、と思い、追加で質問のメールをしておいた。


◇◇


 祥志を見送って、洗濯物を干して、こうちゃんと早速宮野さんの家に行ってみた。…けれど不在だった。


 (まあ、そうだよね。平日だしな。夕方くらいにまた来てみよう。)


 そう思いながらそのままお出かけすることにした。

 

 今日はバスに乗ってちょっと大きめのショッピングモールに行った。ゲームコーナーで、アンパンの顔のキャラのメリーゴーランドに乗ったあと、食料を買って、モール内のフードコートでお昼にした。


 今日は肉うどんである。天かすとネギが盛り放題なのが嬉しい。大盛りにして二人で分け合うことにした。

「おいちいねー。」

こうちゃんが嬉しそうに麺を啜っている。

 

 出汁が効いたスープと、コシのあるうどんとこってりしたうどんが途轍もなく合っている。

 ああ、やっぱり寒い季節はうどんだね。


 二人で大満足で家に帰ろうとしてたら呼び止められた。


「あれ?立花さん?最近よく会いますね。」


…この声は!!


「!!一樹くん!今日大学は?」

そう、彩音ちゃんのお兄さんである。

食い気味に聞くと、ちょっと面食らった様子で


「あの、今日午後から休講になったんで、昼食を食べて帰ろうかなって思ってたんですけど。」


ビンゴ!


「そうなんだ。今日ちなみにお父さんとお母さんは?大事な用事があったんだけど、帰るのって何時くらいになりそうかな…?」


そう聞くと、残念そうにこう言われた。


「あー…。今、テスト前なので補習や問題作りをしていて。22時過ぎることが多いですね。二人とも教師なので。」


なんと…。


「そ、そうなんだ。どうしようかな…。」

あー、もう!詳細をここで話さないのが残念過ぎる。落ち込んでいたら一樹君が声をかけてくれた。


「もし良かったら僕が聞きましょうか?」


 まあ!イケメン!


 彩音ちゃんにlimeをしたら、とりあえずお兄ちゃんだけでも、とのことだったので一樹君に来てもらうことになった。


◇◇


「お邪魔します…。それで用事って何ですか?」

一樹君がちょっと心配そうに聞いてくる。


「えーっとね。今来るから!見た方が早いと思う。」


ピンポーン!


 インターホンを覗くと彩音ちゃんとニーナちゃんだったので慌ててドアを開ける。


(そっか、ニーナちゃん、今日彩音ちゃんの為に学校休んでくれたんだね。)


 確かに、ケネスさんやダイアナさんは仕事あるもんな。


「お兄ちゃん!!!」


彩音ちゃんが急いで靴を脱いで、一樹君の元へ一目散に走って行く。


「…え。え?!彩音!!?な、何で?立花さん、どういうことですか?!」


慌てて、一樹君が彩音ちゃんを抱きしめる。


「お兄ちゃん、お兄ちゃん!!」

泣いている彩音ちゃんを一樹君が優しく撫でている。


「…そっか、無事だったんだ。…生きていてくれただけで、嬉しいよ。」


すると、後ろからニーナちゃんが声をかけた。


「色々質問があると思うのですが、私がお答えしますわ。」


 一樹君が振り返って顔を上げた瞬間、二人の目が合った。



 一瞬、シーンと静寂に包まれた。


(……??何で二人とも話さないの?)


すると、一樹君が口火を切った。

「君のその髪、地毛?」

(…は?)


「…え?!は、はい。そうですが。」

ニーナちゃんがしどろもどろに答えると、一樹君がイケメンスマイルをかました!


「そうか、綺麗だね。とても。」


くっ!なんて眩しさだ!破壊力が半端ない。おばさんの目は潰れそうだ!


その瞬間、ぶわっとニーナちゃんの顔が真っ赤に染まった。

(…は?)


「そ、そんな。貴方の方が美しいですわ!」


(…はぁああああ?!)


それを見て、彩音ちゃんはポカーンとしていた。

 

 …おばさんもビックリだよ!


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