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【24】公爵邸でのディナー〜コーンスープと異世界グリル


 家を庭園に置かせてもらった後、ケネスさんに夕食までは自由に過ごして構わないと言われた。


 なのでお言葉に甘えて一度家に帰って掃除をしたり、洗濯をしたり、明日の食事会の料理の準備をしたりした。


 ちなみに、今日倒したレッドオークで豚の角煮を作ったが、普通に美味しかった。

  

 糸でぐるぐる巻いて、ネギの青い部分と酒と塩でじっくりと下茹でして、醤油とお砂糖とお酒も酢で落とし蓋をしてじっくり煮込んだ。隠し味に八角を少々入れた。


 下茹での間に他の料理をたくさん作ることが出来た。


 祥志とこうちゃんは公爵邸の庭園で走り回って遊んでいる。


 丁度午後6時10分前に執事のスティーブンさんがそろそろ食事だと呼びにきてくれた。


◇◇


「改めてようこそ。タチバナショージ殿、エーコ殿、そしてコージ。ムーンヴァレー公爵邸によく来てくれた。こちらは私の妻だ。」


 ダイニングに案内されると、ケネスさんが挨拶してくれた。隣には赤い髪が緩やかにカールした美女がいた。瞳の色は新緑を思わせる緑である。


「初めまして。タチバナ様。ダイアナ•ムーンヴァレーと申します。先程はお茶会があった為、お出迎え出来ずに申し訳ありませんでした。」


いやいやいや!パート従業員なので!そんな頭を下げないでください!


「そんな!とんでもないです。」

と答えるとダイアナさんはニコッと笑ってくれた。

「今日明日と宜しくお願いしますね。」

あ、やばい。美女の笑顔の破壊力よ。こうちゃんはともかく、祥志も照れちゃってるよ。


「コホン。次は我が家の長女、ニーナだ。この国は性別に関係なく長子が後を継ぐことになっている。将来ニーナには公爵になってもらう予定だ。」

ケネスさんに紹介されてニーナさんが挨拶をしてくれる。


「ニーナですわ。今日は本当にありがとうございました。明日のエーコ様のお料理、楽しみにしております。普段は学園の寮に入っておりますが、今週はお客様を招待したので公爵邸に戻って参りましたの。宜しくお願いしますわ。」


なるほど、そりゃそうだよね。普段領地の外の学校に毎日通うなんて厳しいもんな。


「続いて、こちらが長男のシリウスだ。魔法の研究が好きで水と火の2属性を使えるんだ。将来は王宮魔術師を目指していたんだが…。最近王命で婚約が決まってしまってな。せめて領地で研究の成果を役立ててもらえればと思っている。」


そう言われてダイアナさん似の赤い髪のめちゃくちゃ可愛いイケメンを紹介された。


「シリウス•ムーンヴァレーです。第二王子のマティアス様の側近をしています。宜しくお願いします。」


そう言って笑ってくれた。キューン。なんて可愛い。ああ、こうちゃんも15年後にはこんな感じのイケメンになるのかしら。


「明日はこのメンバーとマティアス王子と聖女様で会食予定だ。エーコ殿の料理、期待している。では、食事にしようか。あ、タチバナ一家はどうかマナーなどは気にせず食事を楽しんでくれ。」


◇◇


 ご飯は普通に美味しかった。


 まずは最初にコーンスープが出た。ちょっと薄いけどさすがに昼間の食堂よりはずっと美味しい。こうちゃんも沢山飲んでいてホッとした。


 次は野菜と豚肉をグリルしたものに塩とコショウがかかったものが出て来た。もしかしてオーク肉かな?


 これも普通に美味しい。ズッキーニっぽい野菜がシャキシャキしている。これは異世界ならではの野菜だろうか。あとでシェフに何の野菜か教えてもらおうっと。日本にはなかったようなピンク色の野菜もある。味は茄子っぽい感じかな。見たことのない紫色のキノコは見た目に反してマツタケのようないい匂いがする。


 豚肉はジューシーで、きちんと表面に小麦粉がつけられてカリッと焼かれている。


 付け合わせのパンは普通の白パンだ。でも、ルーナ村で食べたパンはぼそぼそだったから、多分こっちの世界ではこの白パンが最高級のものなんだろうな。


 ちゃんとしっとりしていて美味しい。


 きちんと塩コショウだけでも美味しいものを計算して作られている感じがする。


 海外旅行に行った時に出てくるようなご飯である。


 多分このシェフの腕はこっちの世界では一流なのだろう。ただ、調味料が圧倒的に少ないのと、出汁を取る概念がないんだろうな…。ケネスさんがうちでの料理を美味しく感じたのはおそらく出汁とスパイスや調味料の種類が豊富だからだろう。


 考えながら食べていたらケネスさんが心配して声をかけてくれた。


「エーコ殿、今日の食事はどうだっただろうか。」


「はい!とても美味しいです。限りある調味料でここまでの料理を作れるなんてすごいと思います。」


「それはよかった。良かったら明日以降シェフに色々教えてやってくれ。きっと喜ぶと思う。」


 それなら是非出汁のことを伝えたい。それだけできっとめちゃくちゃ料理が美味しくなると思う。


 ご飯を食べながら公爵家の皆さんと色んな話をした。シリウス君がどんな研究をしているかだったり、ダイアナさんの火の魔法でどんなことが出来るかなども教えてくれた。


 この家の人達はみんなあったかくてホッとする。


 最後に私が作ったタルトをクララさんが出してくれた。


 女性陣はもちろん、シリウス君がめちゃくちゃ喜んでいたのが印象的だった。甘いものが大好きらしい。スイーツ男子だね。


 明日はもっと沢山スイーツを出しますね、と伝えると皆めちゃくちゃ嬉しそうだった。


 よーし!明日は気合いを入れて頑張るぞ!

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