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【16】魔導書とチートなおまけ〜絶品煮干しラーメン

 

 偉いことになってしまった。


「え、ヤバいじゃん…。魔王をどうにかしないと家、なくなるってよ。」

現実味がなさすぎて、2人とも変な顔で固まってしまった。

 新築してまだ一年も経っていないから、ローンが4000万以上残っているんですけど。


 しかも倒したらいけないってどういうこと?!メチャクチャ難しいじゃん!


 こうちゃんは構ってもらえなくて、パパのブロックをぶん投げている。


「神様が魔王、普通に元々人間だって言ってるし、人格はもしかしたら普通なのかもよ。体質が特殊なだけで。メールもそんなニュアンスだよね。これ、公爵家に行ったときケネスさんに言っていい?丁度聖女様も週末来るらしいし。」


「うん、報告した方がいいだろうな。俺らが異世界から来たのもケネスさんにだけでも言ったほうがいい。少なくともこの家が『害がない』と判断している人だから。」


それに、聖女様が何も知らないで魔王を倒しちゃったら非常にまずい。


「決めた。今日断乳する。そして、睡眠取って体調整えて空いてる時間、全部魔導書読むのに費やすわ。」


寂しいけどね。授乳の時のこうちゃんはとっても可愛いから。


 でも、週末ケネスさんの家にも行かなくちゃいけないからどっちにしてもこのタイミングだったんだろうな。


「俺もブロックやるの、魔導書読み終わるまで我慢するわ…。ローン残ってるし。」

おお、祥志がやる気を出してくれている!!


 寝る前に最後の授乳をして、祥志に記念の写真を撮ってもらった。


「今までありがとうね。授乳しなくなっても君のこと、大好きだよ。」


ママの方が寂しくて泣いてしまったけれど、こうちゃんはキョトンとしていた。


◇◇


 夜中の3時。


「ウエエエエエエエエン!ぱいぱい、ぱいぱいーーー!!何で、なんで、なんでええええええ。」

家中に響き渡る泣き声。


「ごめん!ごめんねええええ!もう卒業したからあげられないの。」

ああ、可哀想でママの方が泣きそうだよ。


「うわああああん!!!!」


2時間後に牛乳を飲んで、泣き疲れてようやくママにしがみつきながら寝てくれた。…明日は好きな食べ物をあげて、思いっきり甘やかしてあげよう。


 のそのそと起き上がってトイレに行って、朝食用に買っておいた調理パンの入った袋をテーブルの上に置いて、付箋を貼る。


『ごめん、今日は体力的に弁当はつらい。お昼はラーメンでも食べてきて。朝はこの中から好きなの食べて。洗濯機、回しといてくれると。仕事頑張って。』


よし、寝る!


◇◇


 今日も結局9時半くらいに起きてしまった。朝は残ったパンをこうちゃんと2人で食べる。せっかくなのでキウイとバナナのミックスジュースも作った。

 ミキサーにひと口サイズに切ったバナナとキウイを入れてかぶるくらいまで水を入れて、ハチミツを入れて混ぜたら完成だ。

 バナナだけよりもさっぱりしてて爽やかなものを食べたい時におすすめである。


 アンパンのキャラのクリームパンと、卵サンドが残っている。ちなみに、祥志はベーコンエピを食べていったようだ。

 こうちゃんがマヨネーズを食べないので私が卵サンドを貰う。卵の優しい味がホッと疲れた身体に染み渡った。授乳していない分喉が渇いたのか、こうちゃんもグビグビ飲み物を飲んでいた。


 洗濯物を干した後、お風呂を磨いて今日は電車の博物館に向かう。

 この博物館は館内に色んな種類の電車があるだけでなく、運転シュミレーターと言って館内で運転手さんになりきって操縦できるスポットがあるのだ。

 大好きな電車をいっぱい見れてこうちゃんも大興奮である。夜に大泣きしていたのが嘘のような満面の笑顔だ。良かった良かった。

 

 帰りにはこうちゃんの大好きなラーメン屋さんに行く。ここのスープは煮干しベースで美しい澄み切った色をしている。山盛りの煮干しは店主が一つ一つ丁寧に腑を取り除いているので雑味が全くなく、旨みだけが凝縮されているのだ。

 チャーシューは低温調理されており、口の中でとろける柔らかさである。鶏肉と豚の二種類入っているのも嬉しいポイントだ。


「ママー!おいちいねー!!」

「美味しいね。ママのチャーシューも食べる?」

「食べるー!!!」

ああ、可愛い。いっぱい食べて大きくなるんだぞー!!!!


◇◇

 家に帰ってお風呂に入って、丁度髪を乾かしている時にインターホンが鳴った。


「ピンポーン!」


モニターを念の為に確認したらいつもの宅配のお兄さんだった。


「はいはーい!」


「シロネコ運輸でーす!カンリシャ様からのお届け物です!」


あ、魔導書来た!!印鑑を押してお礼を言いながら荷物を受け取る。


「失礼しまーす。」


ぱたん。


 早速、荷物を開けてみたら、なんと魔導書とスキルの説明書の他に、アイテムボックスの指輪が入っていた。小さなメモ用紙に


『オマケでアイテムボックス入れておきました。神仕様に改良したので荷物だけじゃなく、土地ごと家も、生き物も何でも入ります。時間停止機能もあります。』


か、神様ーーーーーーーーー!!!!


 アイテムボックスに家が入るなら、もうあの銀熊のいた森ともオサラバ出来る!

 

 それに週末のおもてなし食材の鮮度問題も解決である。家に冷蔵庫があるからね。


 行きの森の中だけは歩かなきゃいけないけれど、ルーナ村からは車でケネスさんのお屋敷に行けるー!


 馬車に10時間も乗るのが憂鬱だったからめちゃくちゃありがたい。


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