【14】水鏡魔法と、鱈とお頭付エビフライと絶品タルタル
カレー屋さんから帰ってきたらもう午後2時近くになっていた。急いでこうちゃんをお風呂に入れた後、3時過ぎにお昼寝をさせた。
さて。寝ている間に夕飯の支度でもしますか。
今日の夕飯は鱈とお頭付エビフライとミネストローネだ。
小鍋にバターを敷いて、刻んだニンニクと玉ねぎ、ナスを炒める。お水を入れて、にんじん、キャベツ、ホールトマトを入れる。ローリエとコンソメ、バジル、胡椒、で味を整えたら最後にオリーブオイルをたらりで完成だ。
煮込んでいる間にお米を研ぐ。
今日は洋食なのでご飯はコーンの入ったバターライスである。研いだお米にお水を気持ち少なめにいれて、バターをひとかけらとコーンの缶詰を入れてご飯を予約する。
次はタルタルソースだ。
作り置きしておいたきゅうりのピクルスを刻む。下茹でして、蜂蜜と酢と塩と粒胡椒とローリエに漬け込んでおいたものだ。下茹でするとあっという間に味が浸透するからお勧めである。
あとはゆで卵を作って、塩胡椒、マヨネーズ、刻んだピクルスと混ぜて味を整えるだけだ。
ついでに付け合わせのベビーリーフとミニトマトも洗って、バルサミコ酢と蜂蜜と塩胡椒とオリーブオイルでドレッシングも作っておく。
あとはフライの下拵えだ。
まずは海老。頭を残したまま胴体の部分だけ殻と背腸をとって、背中に背腸とは垂直にいくつか切れ目を入れる。こうすると揚げた時丸まらない。揚げてる時に重みで身が千切れないように竹串を刺しておく。
鱈は塩胡椒だけ振っておく。
あとは、バットを二つ用意して小麦粉、パン粉を用意しておく。あとは揚げるときに溶き卵だけ用意して、小麦粉、卵、パン粉の順番で付けて揚げれば完成だ。
ついでに、ストックのネギや冷凍用の玉ねぎなどを刻んで、クッキー生地を作って冷凍したりしていたら5時になってしまった。
一息ついて珈琲を飲んでいたら、なんと珈琲の水面がぶるぶる震え出した。
(え?なんか珈琲が…)
と思った瞬間。
『エーコ殿!聞こえるか?!ケネスだ。』
いきなり珈琲の表面にケネスさんが映った。
「ひい!…び、びっくりした。ケ、ケネス様?」
驚いて、変なところに珈琲入りそうになったよ。心臓に悪い。これが噂の魔法ですか。初めて見た。
『驚かせて済まない。緊急の用事があってな。日曜日の昼に娘の婚約者と聖女殿が私の屋敷にいらっしゃる事になったんだ。悪いが土曜日の夜から公爵邸に来て、もてなし用の料理をお願いできるだろうか。材料費も支払うし、給金も倍払う。』
「え…せ、せいじょって聖なる女って書いて聖女様ですか?失礼ですが、ケネス様の娘さんの婚約者ってどんな方ですか?」
『ああ、それで合ってる。婚約者はこの国の第二王子、マティアス様だ。聖女殿は異世界から召喚された方だな。』
待って待って。頭が追いつかないんだけど。ラノベで良くある、あの異世界召喚ですか?
もしかして聖女様は日本人だろうか。あ、でも、私達の世界とはさらに違う所から来た可能性もあるよね。
というか、娘さんの婚約者って王子なんだ…。公爵家半端ない。
「お給金2倍は嬉しいですけど、食材をこちらで用意するのなら、運んだりする時の鮮度が心配ですね。万が一私の料理でお腹を壊すなどの問題を起こすわけにはいかないですし。うちの最寄りのルーナ村でしたっけ。そこから馬車で一日かかるんですよね?具体的に何時間ですか?」
土曜日の朝一で出ても、その日に着けないと困るしね。
『大体10時間くらいだな。…では、鮮度が心配なものはこちらで用意するという事でどうだろう。』
「あ、それならいいですよ。大体何人くらいになりますか?あと、ケネス様のご家族含め、王子様や聖女様の食の好みなどわかりますでしょうか。」
『人数は6名になる。だが、王子はともかく聖女殿の食の好みは直ぐには分からぬ。また明日連絡しても良いだろうか。』
「いいですよ。明日何時くらいですか?」
…お風呂に入ってるときや、トイレの便座の水にケネスさんが映ったらたまったもんじゃないからね。
『では、遅くて申し訳ないが、夜の8時頃でも良いだろうか。ちょっとゴタゴタしていてな。』
「かしこまりました。ではお待ちしてますね。」
『うむ。失礼する。』
はぁー。びっくりした。あ、やっと普通の珈琲に戻った。…ちょっと冷めてる。
しかし、あの国、聖女を召喚しなくちゃいけないってことは何かあるのかしら。ちょっと心配だな。
あと、村から10時間かかるなら、日曜日のランチ後にめちゃくちゃ急いで帰っても家に着くの24時前後だな。
…帰ってくる時深夜の森とか怖いけど、グングルマップも貰ったアイテムもあるし頑張ろ。行く時様子を見て、森が結構やばそうだったら、護衛を付けてもらえるかケネスさんに相談しなくちゃ。




