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【間話2】学校の帰り道に異世界召喚された〜聖女アヤネ視点


◇◇聖女アヤネ視点


 宮野家では私が一番我が強い。


 父と母は学校の先生で勉強には厳しかったけれど、元々負けず嫌いな私が期待されない成績を取ったことはない。


 本当は兄と同じ県内で偏差値が一番高いS高校に両親は行って欲しそうだったが、わざとA高校にした。


 牛の尻尾より鶏の頭である。S高校に行けば私の頭脳はせいぜい30位以内程度だが、A高校ならぶっちぎりの一番でいられる。


 この前も学年一位を取ったおかげでヒアルロン酸のたっぷり入ったお高いフェイスパックを母に買ってもらった。


 ミスA高校になったし、周囲からは羨望の目で見られる。(ホホホホホ!!!もっと敬いたまえ!)と心の中で思っていても、表面では優しい笑顔で困ったように微笑むようにしている。余計なことを言ったら僻まれちゃうからこれが正解。


 ちなみにこの時首を傾げる角度はきちんと顔が一番よく見えるように計算している。


 このサラサラの髪も、白い肌もお小遣いを全部つぎ込んで高校生にしては高い日焼け止めやオイルを使っている。


 スタイルだって、顔に発汗マスクとサウナスーツを着て、1日10キロ走っているし、ミネラルウォーターも2リットル以上飲んでいる。


 走っている姿は完全にマスクで顔を覆っているので、まさかこれが『近所で評判の美少女、彩音ちゃん』だとは誰も思うまい。


 走っている間はひたすら『ボカロで覚える参考書』を聞いて暗記している。


 太ももは電車で絶対に開かないように閉じて筋トレしているし、お腹もインナーマッスルを意識して常に引き締めるようにしている。


 お菓子は果物しか食べない。ぶどうやイチゴを冷凍して無糖の炭酸水に入れてシャリシャリ食べている。


 炭水化物は玄米かオートミール。夜は脂肪燃焼スープしか食べない。砂糖は取らず、高いけれど『ラカント』を買っている。

 

 家では割り箸を咥えて表情筋を鍛えながら勉強している。


 一度だけ割り箸を咥えている時に兄と遭遇してしまったが、優しい兄はニッコリ笑って「可愛いね。」と言ってドアをパタンと閉めてくれた。優しい。


 週に三回はヨガ教室にも通っている。そこで尊敬するダルシム先輩(仮)と出会うこともできた。

 本当のお名前は畏れ多くて存じ上げない。ただ、教室内では敬意を込めてそう呼ばれている。


 先輩はどうやらインドで修行をされていたそうで、体の柔らかさが尋常ではなく、ベージュの衣装がまるで修行僧のように様になっている。


 まるでゾンビのように関節が稼働し、あらゆるポーズを神のように洗練された動作でキメる!


 私も先輩のように、蝶のように美しいポーズを決めたい!日々修行である。


◇◇


 ある日、いつもの通学路の海沿いの道を1人で歩いていた。私も先輩に習って卒業後は一度インドで修行をせねばならないなとガイドブックを買ってきたところだった。


 しかし、かの三島由紀夫氏は『インドには行くべき時期がある。その時期はインドが決める。』と仰っていたので、インドの意思を尊重せねばならない、などと考えていた時だった。


ブウウウウン


とハエが飛んでるような音が聞こえたので、払おうと上を向いたら、なんと地面に飲み込まれてしまった。

 

 次の瞬間顔を上げると、

「おお!成功したぞ!」

「聖女様!」


と神官っぽい衣装を着た人達が叫んでいた。


「ここは…。インドですか?」


(そうか!インドでは時に不思議な事が起きるという。私は呼ばれたのか!インドに!)


と尋ねたところ、目の前の神官は困惑した顔で、

「違います。カーネル王国です。」

と言った。


 は?なんですと。どこだそのフライドチキンを揚げまくってそうなジャンキーな名前の国は!私はインドに行きたかったのに!


 すると、奥の方から身なりのしっかりした40代くらいの中年の男性が現れた。

「ようこそ。カーネル王国へ。私は、国王のクリスピア•カーネルです。」


…思わず吹きそうになった。


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