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【99】さらに四年後。


 ―ニーナちゃんの卒業式からさらに4年が経った。


 晃ちゃんは7歳になり、大きなランドセルを背負って小学校に通い出した。


 ピンポーン!!


 玄関のインターホンが鳴る。


 中学一年生になったメイアちゃんは一年生になったばかりのこうちゃんを心配して、毎日迎えに来てくれている。


「ママ、メイアちゃん来た!行ってきます!」


そう言って嬉しそうにメイアちゃんと手を繋いで手を振るこうちゃん。


「行ってらっしゃい、気をつけてね。


 メイアちゃん、いつもありがとう。こうちゃんの事宜しくお願いね。」


そう言うと、メイアちゃんはペコリと頭を下げた。


 メイアちゃんは日に日に『メイアさん』に似て来てめちゃくちゃ美人になってきている。まあ、同じ人だから当たり前なんだけど。


 けれど、メイアさんとは違い、よく朗らかに笑う子に育ったのでホッとする。


 クリスさんはあれからなんと、『お面ライダー』で大ブレイクし、順調に売れっ子俳優になり、今は朝ドラに出演している。


 近々大河ドラマにも、黒船に乗って開国を迫るポルトガル人の役で出演するそうだ。


 ハナヱさんも美容師として着実にキャリアを重ねており、最近ハナヱさんが監修したシャンプーとトリートメントを売り出した。


 度々無料で持って来てくれるので使わせて貰っているが、なかなか良い感じである。


 5年前、『()()()には幸せになって欲しい』と言ったメイアさんの泣き笑いの顔が頭に過ぎって、少しだけ胸がチクッとする。


 けれど、メイアさんの生まれ変わりである芽依ちゃんは、サダオさんとレオナさんに愛情を沢山貰ってスクスクと大きくなっている。


 今は年中さんで、この前レオナさんとサダオさんと一緒にお芋堀りをしたそうだ。お芋はうちもお裾分けしてもらいましたよ。


(…良かったね。メイアさん。)


 レオナさんがlimeで写真を昨日送って来た。芽衣ちゃんは黒髪で顔はレオナさん似である。


 ニッコリ笑った可愛い顔には満面の笑みが浮かんでいる。


「さてと。明日は一大イベントだから買い出しに行かなきゃね。」


 私は車庫に行き、我が家の愛車『フィックス』に乗って大型スーパーに向かった。


 この車も大分年季が入って来たなぁ…。寂しいけどそろそろ買い替えなきゃいけないかもしれない。


◇◇


 ―あれからムーンヴァレー王国は急速に発展した。


 シリウス君が2年前、大学生活の傍ら、スライムビニールハウスを完成させたのである。


 ちなみにシリウス君は現在、筑波にある理系の国立大学に通っている。


 そして、ビニールハウスのおかげで、ついに苺、トマト、シュガービーツ、コメの栽培が可能になった。


 3年前に魔石を動力源とした耕運機なども完成させて、現在はケチャップや砂糖の大量生産に向けて工場を建設中である。


 ちなみに、ムーンヴァレー王国産のお砂糖は赤みがかったピンク色でとっても可愛い。味は三温糖に近いかな。


 けれど、きちんとカラメル化するのでキャラメルやカラメルソースにする事が出来るし、非常に使い勝手が良いのが特徴である。


 また、麹も作られるようになり、醤油や味噌を生産する工場も出来た。


 味噌を日本から持ち込まなくてもムーンヴァレー王宮で出せるようになった日は感動してしまった。


 また、バルガン領内でトロナ鉱山も発見されて、遂にラーメンに使う『かん水』や重曹も作れるようになった。


 特に、ラーメンが大好きなケネスさん主体で『ムーンヴァレー王国、ラーメン国民食化プロジェクト』が発動した。


 その為、ここ数年で色んな屋台や飲食店でラーメンが食べられるようになった。


 私と公爵家時代からの料理長であるジョセフさんもプロジェクトに駆り出され、色んな出汁のラーメンを研究しましたよ。


 ムーンヴァレー領は5年前キングクラブが出現したレーヌ町のように海辺の都市も多い為、お肉だけではなく魚介系の出汁も人気である。


 ゼラチン作り等、まだまだ実現出来ていないものも多いが、食生活はめちゃくちゃ向上し、ムーンヴァレー王国は観光地としても大人気となった。


 国としてもますます潤ってきているとのことだ。


 ―さて、私が大型スーパーで買うのはそんなムーンヴァレー王国でもまだ作る事の出来ていない日本産のフルーツやチョコレート等である。


 そして、今日はこれから大量のタルトやケーキを総仕上げしなければならない。



 何故なら明日はニーナちゃんと一樹君の結婚式だからだ。


 薬学の知識が豊富なニーナ•ムーンヴァレー王女。


 白属性を持ち、医療の知識が豊富で自ら治療に携わるカズキ•バルガン辺境伯令息。


 2人はここ五年間で既に沢山の国民の命を救い、大人気である。


 ちなみに、花婿の医術の師匠であるクロカワという錬金術師は国内で神のように崇められているらしい。

 ちなみに本人も満更ではないらしい。


 …うん。明らかに、ヨルムさんを手術した黒川先生だね!!あの人、異世界めちゃくちゃ楽しんでいそうだな。


 とにかく、国を挙げての慶事に国内は浮き足立っている。


 私は披露宴とガーデンパーティーのデザート担当になった。


 だから、ここ1か月は、アイテムボックスにこれでもかと言うくらい平日に作りまくったお菓子を詰め込んでいるのだ。


 もう、本当に嫌って程お菓子を作りました…。


 ちなみに、ウェディングケーキは全て異世界のものだけで作った。


 ピンクのお砂糖を入れた生クリームがほんのりピンク色で、異世界苺を沢山使っためちゃくちゃ可愛らしいケーキに仕上がった。


(ニーナちゃんと一樹君、喜んでくれるいいなぁ。)


 明日の結婚式は、ケネスさんの計らいで来賓客として、家族で参加することになっている。


 だから当日動けない。


 お菓子はもう出すだけの状態にしておかねばならないのだ。


 よーし、あと少し!今日は気合いを入れて頑張りますか。



明日で最終回です。

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