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【92】真実を見つける旅③〜あの日のやり直し編


 ロキさんに連れられてカップル2人もいなくなってしまった。恐らく王宮に行ったのだろう。


 誰も居なくなったので私達は立ち上がって会話する。


「…ねえ。もしかして。さっき突然分離したママと同じ顔の女の人が40年前私が会った人なの…?」


そう言ってメイアさんは複雑そうな顔をしている。


「はい、そうです。魔王ラミダスと一緒にここを去って行きましたよね?あの2人が結婚して出来た子供や孫があの狭間の向こうの世界で会った人達なんです。


 だから、貴女のお母さんはメイアさんのことを忘れてなんていないと思いますよ。」


そう言うと、小さな声で


「そう…なんだ。」と呟いた。


 そして、私は説明した。


 聖女キヌこそが、『美しい肉体を持つ召喚された女性』に憑依していた日本人であったこと。


 元々の肉体の持ち主があのタイミングで覚醒し、肉体をスキルで『コピー』したこと。


 元々一体に入っていた2つの精神を、それぞれの肉体に切り離したことを伝えた。


 すると、メイアさんは無言になった。


「…じゃあやっぱりママはあの男と無理心中したんだな。」


と意味深発言をした。


 …何それ?!!怖いんですけど。ツッコんでいいのか、悪いのか。


 とりあえず…。

「では、次に行きましょうか。


 こうちゃん、今度は()()()に飛んでもらっていい…?」


そう言ってクリスピア三世とムーンヴァレー家の令嬢の結婚報道が出た当日に飛ぶようにお願いした。70年前である。


「…え、()()()じゃないの…?」メイアさんが困惑した顔を見せる。


「いや、()()()大丈夫なんです、こうちゃん、出来るかな?」


「いいよー。」

こうちゃんが答えると、謎の光が溢れて景色が白くなる。


 こうして私達は()()()()()()()に飛んだ。


私はグングルマップを起動させて当時のクリスピア・カーネル公爵の家を探す。


 どうやらカーネル王都内にあるようなので、王宮近くに転移する。ここから5キロくらいか。


 私は浮遊の魔術を展開してこうちゃんと手を繋ぐ。


「メイアさん。ついて来てもらってもいいですか?」


◇◇


 私達は王都内にあるクリスピア•カーネル公爵邸の前のやってきた。


 メイアさんは嫌な思い出ある場所だからキョロキョロして落ち着きがない。


「すみません、ムーンヴァレー公爵家の使いで奥様に急遽お話がございまして。当日で申し訳ないのですが至急取次ぎして頂けませんか?」


そう言いながら門兵さんにケネスさんから借りたムーンヴァレー公爵家の宝石を見せる。


 すると、門兵さんは慌てて

「…これは…!!!」と言いながら執事っぽい人を呼びに行った。


 あー、良かった。何も持たないで行ったら絶対返されると思ったんだよね。ケネスさんに感謝である。


 暫く待つと、銀髪の女性が来た。この人がケネスさんの曾祖母か祖父のご兄弟…要はご先祖様か。


 顔はケネスさんやレオナさんと血の繋がりを感じさせるような美しさがあり、銀髪に賢そうな感じである。


「こんにちは。私がクリスピア•カーネルの妻、アメリアです。私の実家からの使者だと聞いたのですが…。


 失礼ですが、もう一度我が家の使者の証を見せて頂いても宜しいですか?実家の遣いだというけれど、私貴女に会ったことがないので。」


そう言って警戒した顔をした。


 隣でメイアちゃんがギリッと歯を噛み締める音が聞こえる。わー、殺気を出さないで!


 私が宝石を見せると、アメリアさんが困惑した顔で、

「ほ、本物だわ。」と呟いた。


「大事なお話があるので、どこでも良いのでお話出来ませんか?」


 そう伝えると頷いてから、

「こっちよ。」と応接室だと思われるお部屋に案内してくれた。


◇◇


「それで、お話とは何かしら。防音の結界を張らせてもらったわ。


 ただし知らない方とお話するのは怖いので、護衛を1人付けさせてもらうけれど。良いわよね?」


頷くと、アメリアさんはそう言ってソファに座るように促した。


「えーっと。突然ですが、アメリアさんは『時間』属性の魔法というのは聞いた事がありますか?」


そう言うと、驚いたように顔を上げた。


「…何千年も前異世界からやってきた(いにしえ)の勇者が持っていた属性よね?知識としては知っているけれど。」


「今私が抱っこしている息子が持ってるんです。『時間』属性を。


 私もこの子も異世界人でして。私は白属性の魔力を持っています。


 私はこの子の能力で80年後の世界からやって来たんです。


 私は未来でムーンヴァレー公爵、ケネス様にお仕えしておりまして。


 この石はケネス様にお借りました。」


そう言うと、アメリアさんが目を見開いた。

 

「信じがたい話だわ。…でも、一応話は最後まで聞きましょう。それで?」

 

そこから私は、神様にアメリアさんの前妻である聖女キヌとクリスピア三世の娘が辛い境遇のせいで白の魔力を反転させて不老不死となってしまったこと。


 それが、後の世に脅威を与える事を説明した。


 私は神と通じており、その娘が魔力を反転させないように助けるように指示をされたと説明する。


 その説明をアメリアさん以上にメイアさんが驚愕の表情で聞いている。


 そして、ボソッと

「そっか…。捕まえにきた訳じゃなかったんだ。」

と呟いた。


「それでですね。彼女の魔力を反転させるきっかけが、明日この公爵家で起こるんですよ。


 アメリアさん。貴方の旦那さん、学生時代と人格がまるっきり変わりませんでしたか?


 彼が明日このままだと、自分の父親を訪ねて来た自分の娘に言う予定なんです。


『君の事、娘だと思えないんだよね』的なことを。


 それが、娘さんの魔力を反転させるきっかけになるんです。


 しかし、彼は、クリスピア3世ではなく、実は異世界からの憑依者です。


 名を『三浦太朗(ミウラタロウ)』と言いまして。


 正確に言うと、肉体はクリスピア3世ですが、中身はミウラタロウなんです。」


そう言うと、アメリアさんとメイアさんは目を見開いた。


 そして、暫く沈黙した後アメリアさんがポツリの言った。


「確かにあの人、学生時代に私の事をめちゃくちゃ嫌っていたの。どうして私にばかりあんなに悪態をついていたのかは()()()思い出せないのだけれど。


 縁談の申し込みがあった事にも驚いたし、会った時の態度や雰囲気が全くの別人だったからさらに驚いたわ。


 それに、学生の時はそこまで勉強は出来なかったはずなのにどこで身につけたのかもわからない豊富な農業の知識を突然身に付けていたの。


 何よりも、私に『私はクリスピア3世と言われているが、その男は別人だ。ミウラタロウと呼んでほしい。』と言ってきたの…。」


 アメリアさんの言葉にメイアさんが目を見開いた。


 ちなみに、何でクリスピア3世が悪態をついていたか思い出せないのは、宝珠によって婚約者だった時の記憶を消されたからだろう。


 私は信じかけてくれているアメリアさんに()()()()()をした。




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