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【90】真実を見つける旅①〜魔王vs聖女編



「え…?誰?」

クリスピア3世と聖女キヌの娘さんは、驚愕に目を見開く。


 どうしよう。思わず叫んでしまったけれど。


「え、えーと。


 …『白』属性を神様から頂き日本から転移してきた者です。貴女の存在を知り、最近理由があって調べさせて頂いていたんです。」


「…調べられていた理由は心当たりがあり過ぎてどうでもいい。

 それより、ニホンって異世界のこと?

 さっき話していた『あれは私の父でも母でもない』というのは一体どういうことか教えて。


 嘘だったら殺す。」


おお、思ったより話が通じるぞ…?最後の一言は物騒だけど!!


「じゃあ、私が言ったことが正しい、と今から証明してみせますよ。


 あ、5分ほど待ってくださいね。


 その前に上司にパートに遅れることを報告しなくてはいけないので。


 えーと、お名前伺っていいですか?」


「…メイア。」


ほうほう、メイアさんね。


「すぐ済むのでここにいて下さいねー。」


そう言って、ケネスさんの部屋の前まで飛んでコンコン…と窓を叩いた。


 うーん、気分はピーターパンである。


「…誰だ。…?!栄子殿か?!」


ケネスさんは紅茶のカップを持ちながら目を見開いている。うう、驚かせてごめんなさーい。


「あのー。実は出勤しようとしたら向こうに浮いている子が上空にいたんですよ。あの人、クリスピア3世と聖女キヌの()()娘さんでして。


 申し訳ないのですが、それに伴ってやらなければいけない事が出来てしまいまして。今日お昼はお休み頂いてもいいですか?


 詳細は戻ったらお伝えするので。ジョゼフさんにも宜しく伝えておいて頂けると。」


一気に説明すると、ケネスさんは一瞬私とメイアさんを凝視して固まった。


 けれどすぐに頷いてくれた。


「ああ。わかった。」


「あ、あとですね。大変恐縮なんですが、ムーンヴァレー家の使者だってわかるようなものを何か貸して頂けないでしょうか?


 ちょっと考えがありまして。必ず本日中にお返しします。」


すると、ケネスさんはムーンヴァレー家に伝わるという家紋が入った宝石を迷いもせずに貸してくれた。


「え、こんなに凄いもの借りちゃっていいんですか?」


「ああ。栄子殿だから貸すんだ。だから必ず戻ってきてくれ。」


そう言ってくれたので『ありがとうございます…!』と頭を下げる。それから窓の前を離れて、メイアさんの元に戻った。


「よーし。お待たせしました、メイアさん。


 じゃあ行きましょう。こっちです、すぐそこです。」


そう言ってメイアさんを引っ張って家の前に降りる。すると困惑しながらも着いてきてくれた。


 立花家の呼び鈴を鳴らすと、こうちゃんを抱っこした祥志が出てきた。


「どうした?栄子。忘れものかー?…って!!!その人…。」


祥志が驚いた顔をしたので頷いておく。


「祥志、そこでクリスピア3世と聖女キヌさんの娘さんに会っちゃった。


 メイアさん。この子は私の息子です。珍しい『時間』属性の魔力を持ってまして。


 先程お伝えしたことが本当かどうか、なんですけどね。


 過去まで行って一緒に()()を見てきませんか?」


そう言うと、しばらく驚いて固まっていたものの、コクリと頷いた。


◇◇


 私達は80年前の魔王討伐の日にタイムスリップした。


「ねえ、ここはどこ?一体いつの時代?」


メイアさんに聞かれたので、

「今説明しますので、ちょっと待って下さいね。」

と答える。


 私はグングルマップを起動させて当時の魔王の家を探す。


 うん。ちゃんとバグることなく出てくる。さすが神様クオリティ!


 当時の魔王の家もヨルムさんが一人暮らししていた島だった。


 …あー。なるほどねー。あの家は歴代の『魔王』になってしまった魔瘴結石の患者さんが余生を過ごす為に建てられたものだったのかもしれないな。


 道理で最近建てられてたにしては何だか年季入ってるなって思ったんだよね。


「さて。メイアさん。私達は今80年前のカーネル王国に来ています。


ちょっと転移するんで私の手を握っていて貰えますか?」


そう言うと、戸惑いながらも素直に手を握ってくれた。


「…わかった。」


「行きますよ!」


そう言ってスキル『送信』を起動させる。



 ブウウウウウウン。



 真っ白な光が溢れ、目を開ける。


 すると、この前見たのよりも大分新しいヨルムさんの家(今はラミダスさんの家)の前に立っていた。


「…どこ?ここ…。」

メイアさんが困惑した声を出す。


「ここは魔王の家です。


 ちなみに魔王が討伐されたのは夕方です。当時の新聞にそう書いてありました。


 さっきカーネル王宮の時計を見たら午後四時ジャストでした。きっと、そろそろ来ますよ。


 見つからないように伏せていて下さいますか?」


そう言って岩の陰に隠れて『浮島』の外に目を凝らす。


「え、ちょっと待って!魔王を討伐しに来た人達ってまさか…!!」 


メイアさんが言いかけた瞬間、手を繋いだ2人の男女が『浮島』に舞い降りた。


 それは若かりし日の聖女キヌとクリスピア3世だった。


 聖女キヌはこの前見た桜さんのお母さんと同じ顔だが、さらに美しい。黒髪の華やかな美人だ。


 うーん、これは近くの村まで評判になるのも納得である。


 クリスピア三世は何故かこの前食事会でムーンヴァレー家に来た元ニーナちゃんの婚約者のツンデレ王子にそっくりだった。


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