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料理好きの主婦、週末は異世界でシェフになる。  作者: 間宮芽衣(旧ブー横丁)


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【89】クリスピア3世コピー計画。


 翌朝、祥志が仕事に行くのを見送ってから天気予報を見ておこうとテレビをつけると。


 神様から返事が来ていた。


 おお!今日は早いな。


『Re: お問い合わせにつきまして』

『立花様

 迅速に調査をして下さりありがとうございました。お問い合わせ頂いた件についてご回答申し上げます。

 この方が間違いなく聖女キヌの娘です。


 これが以前お話した白属性の魔力が反転してしまっている現象です。

 反転というのは、例えば白魔法なら回復魔法をかけると傷が急速に悪化して細胞が壊れたり、水魔法なら水分を蒸発させてしまうような、逆の作用が働く仕組みです。

 しかし、この映像を見ると、恐らく本人の意思とは関係なく不老不死になってしまっているようですね。


 白魔法に限らず何かに物凄く絶望してしまうと()()()()能力が反転する方が稀にいらっしゃるのですが、そういうことだと思います。


 悪用している、とお伝えしていましたがそう単純な話ではないかもしれません。


管理者より』


え…。不老不死?!!というか、何に絶望したんだ?聞くのが怖いよ。。


 今日は久しぶりに一日中フリーである。明日は公爵家でシェフパートなのでメニューを考えなくちゃ。やっぱり牛肉と蟹を使ったメニューかな?


 パートが終わり次第、有給をいつ頂くか相談することになっている。


 たまに実家にでも顔を出そうと思って父と母に連絡すると、ランチに連れて行ってくれることになった。

 わーい!!早く洗濯物干しちゃおうっと。


◇◇


「こうちゃーん!!!コンニャロ!!!可愛いなぁー。」

そう言いながら父はデレデレしている。

 こうちゃんは横で『こんにゃろ!こんにゃろ!』と真似している。やめてぇええええ!


 私達は花山田通りに新しく出来た回転寿司店に来ている。


「お母さん、何にしようかしら。栄子注文用紙に書いてー。帆立、いくら、サーモン…」


はいはーい。ちなみにこうちゃんにはうどんとイクラの手巻き寿司を注文した。


 うん。結構コスパもいいし、お寿司も美味しくていいお店かも。今度は祥志やレオナさん達も一緒に来たいな。


「最近パート始めたって聞いたけれどどう?仕事楽しい?」

母がサーモンをモグモグしながら聞いてくる。

「うん!上司も同僚もいい人だしめっちゃ楽しいよー!この前ボーナスもいっぱいもらったんだよ!今度一緒にちょっといい温泉宿とか行こうよー。」


「いいっていいって。そんなことすんならこうちゃんに何か買ってやれー。」

そう言って断られてしまった。


 そうだった。こっちが何かしようとすると断られてしまうんだよね。だから何かしたい時は勝手にもう予約するしかない。


 いつも沢山ご馳走してくれて、困ったら助けてくれるんだよね。…そして、凄く心配もかけてきた。


 心配かける度に『帰ってこい。』って当たり前のように言ってくれていた。


 なんだか親ってありがたいな。私もこうちゃんにそう言ってあげられるようなちゃんとした親にならないとなぁ…。


 3時くらいまで実家でのんびりして帰りにスーパーで買い物していたらレオナさんに会った。


 昨日あの後サダオさんちに泊まって、先程帰ってきたらしい。わお、すっかりお嫁さんだね。

 

 ちょっと家に寄って行かない?と言われたので珈琲とサダオさんの実家から頂いたというクッキーをご馳走して頂いた。うん、アーモンドがいっぱいで美味しい。


 レオナさんに、『クリスピア3世コピー計画』を話すと、なんと桜さんがコピーのスキルを持っているらしい。


 レオナさんによると、スキルは親と多少は同じものを引き継ぎやすいが絶対に遺伝するものではないらしい。魔法属性は父方か母方、どちらかが遺伝するらしいけどね。(シリウス君のように両方受け継ぐ子もまた珍しいらしい。)


 いざとなったら桜さんに協力してもらえるようにレオナさんが口添えしてくれるらしい。


 よかった。これでコピーはどうにかなりそうだ。あとはどう動くか…かな。


◇◇


 今日の晩御飯は肉じゃが、帰りにスーパーで買った鰹のタタキ、なめこのお味噌汁、わかめときゅうりの酢の物、冷奴、だし巻き卵と白米である。


 まずは、豚肉、じゃがいも、人参、玉ねぎ、しいたけをみりん、醤油、さけ、本だし、酢少々で味付けして落とし蓋をして煮込んで肉じゃがを作る。


 味噌汁を作った後、みりん、酢、薄口醤油を耐熱容器に入れてレンチンして三杯酢を作り、わかめときゅうりと和えて小鉢に装っておいた。


 だし巻き卵を巻いていたら祥志が帰ってきた。


「「「頂きまーす。」」」


「おー、この鰹美味いじゃん!えぐみもないし!」


そう言って祥志がバクバク食べている。良かったー!

 

「今日は実家でのんびりしてきたよー。祥志、夏休みいつ取れそう?それぞれの家族とさ、旅行でも行きたいなーって。ケネスさんが有給くれるみたいだし。」


「うーん、じゃあ海の日に被せる感じで一回取ろうかな。あとは、ゴールデンウィークやお盆は混むからテキトーに取るわ。」


よーし!!じゃあそれぞれの家族が喜んでくれるように色々旅行プラン考えちゃおうっと。うちの親はまったり温泉で、祥志の親は体力もあるから飛行機とかに乗るプランもありかも。


 私はワクワクと胸を躍らせるのだった。



 ―寝ようかなと思ったらケネスさんからlimeがきていた。そこにはクリスピア3世とムーンヴァレー家の令嬢が結婚したと70年前に号外が出た日付と、80年前に魔王を倒した日付、それぞれの日の写真が添付されていた。公爵家の使用人の方が一生懸命調べてくれたらしい。


 私はそれを見ながら、大体のやるべきことを考えた。


◇◇


 次の日、パートに行く為に公爵家の庭に出る。


 あ、今日は天気がいいなぁー、なんて思いながら綺麗な色の鳥が飛んでいるのを見てると。


 なんとローブを目深に被って空中に浮かんでいる人がいた。


 あれ…?もしかしてあれって、キヌさん(憑依者)の娘さんじゃない?


 やっぱり不老不死になった影響か40年前見た姿とそっくり同じであった。恐らく78歳くらい?なのに、15歳の見た目のままだ。


 私は少し迷ったあと、話してみたいと思い浮遊してその子の後ろに近づいて行った。


 するとその子は私に気づかず座った目でこう呟いた。


「…どうしてムーンヴァレー家がスタンピードになってないの?


 パパをママから奪った女の実家を、ママの男の骨でぶっ潰してやろうと思ったのに。」


…!!!今!めっちゃ物騒なこと言った!!やっぱりキヌさん(桜さんのお母さん)を自分のお母さんだって思ったみたいだ。


 そして、パパを奪ったムーンヴァレー家の女って恐らく三浦太朗と結婚したケネスさんのご先祖だよね?!違う、違うんだよーーーーー!!!


「あの!勘違いされてます!!40年前に会った()()()は貴女のお母さんじゃありません。そして、70年前に号外が出た次の日に会った人も本当に貴女のお父さんじゃないんです!!」


気づいたら思わず叫んでいた。



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