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【77】竜人族の島


「ギエエエエエエエエエ!!!」


私達は今ドラゴンになったヨルムさんの背中に乗って空を飛んでいる。


 ちなみに汚い声で叫んでいるのは私くらいで、祥志とライゼンさんは蒼ざめて無言、彩音ちゃんとこうちゃんはちょっと楽しそうな感じである。


 速い、怖い、…でも運賃は無料!でも、むき身で捕まる所も心許ないため非常に怖い。

 

 なんだろう、ネズミーランドで昔乗った某ほにゃららマウンテンで夜空ではなく青空が見えて、捕まる所がない感じと言ったら伝わるだろうか。


 振り落とされないように必死である。

「もう着くよ。」

心なしか励ますような感じでヨルムさんが言う。

 

 うううう!早く着いておくれー!!!!


 それからすぐ、ストンっと呆気なく着地した。時間にして5分くらいだったのに、なんだかとっても疲れてしまった。


◇◇


 島の中は、温かく、皆割と南国チックな露出度が高めの格好をしていた。着ている服がシンガポールの民族衣装、サロンケバヤに似ている。


 美男美女が多く、耳がとんがっている。


 島の至る所に美しい滝があり、中心にある大きなお城からも滝が流れている。建物は大理石のようなもので出来ており、インドのタージマハールのように真っ白でエキゾチックは感じだ。植物もヤシなどの南国っぽいものが多い。

 

「ヨルムさんの故郷って素敵な所ですね!!」

海外旅行に来たみたいでワクワクする。祥志とこうちゃんは所々に見られるサボテンのようなドラゴンフルーツの木に釘付けだ。


 彩音ちゃんも、『インドみたい!』と言って大興奮だ。

「こいつはたまげた…。人類で到達したやつはもしかして初めてじゃねぇか?」

と言って、ライゼンさんは呆然としている。

 

 ヨルムさんが、

「こっちだよ!」と手招きしているのでそこに立つと、魔法陣があり恐らく先程の白亜の城の中に転移した。


 お城の中も大理石で出来ており、ところどころに金が使われておりゴージャスである。


 ヨルムさんを見ると使用人の方々が目を見開いた後慌てて礼をする!


「…坊ちゃま!!!お帰りなさいませ!」


 おおお、お城見学ツアーにまるで来たようだ。


「父さん、母さん!!皆!!!」


吹き抜けの大きなホールのような所に入ると、恐らくヨルムさんの家族だと思われる人達が集まっていた。


 ヨルムさんが声をかけると、振り返る。

「…やっぱり!ヨルム!魔法陣に貴方の魔力を感じたから急遽集まったの!病気は大丈夫なの?」

そう言って美しい金髪美女がヨルムさんに駆け寄る。


「母さん!!大丈夫だ。今日はデスペルをかけて貰ってるから。」


そう言って恐らくお母さん(随分若い)を、抱きしめる。


 後ろにいる威厳のありそうな男性が困惑した顔でこちらを見ている。


「こちらの方々は…?」

もしかしてこの人が族長さんでは?厳つい感じの灰色の髪のイケオジである。


 私達は咄嗟に頭を下げて礼をする。


「こちらの方々は僕にデスペルをかけて、これから魔瘴結石が治るまでサポートしてくれる人達だ。ラミィおじさんのお孫さんと友達なんだって!」


 ヨルムさんが上手い事言ってくれたのでホッとする。


「まあ、そうなの…!!」

そう言ってお母様が感激している。


 族長さん(お父様)は、「そうか…。そうか。」

と言ってホッとした顔をしている。


「良かったな!ヨルム!!!」


そう言いながらお兄さんっぽい人のうち1人がヨルムさんをバシバシと叩く。


 そして、もう1人のお兄さんとお姉さんには、頭を下げられた。

「どうか、弟を宜しくお願いします…!!!」


「いえいえ!!そんな!でも、治るまできっちりサポートしますから!」


そう言うと2人とも笑顔を見せてくれた。

 

 あどけない顔でそれを見ている小さな女の子が恐らくリーヴァちゃんだろう。


「お兄ちゃん!!」と言いながらヨルムさんに飛びついた。


「リーヴァ…!!!!」

「うええええええん!会いたかったよー!!!!!」

そう言いながら抱きついて泣いている。

 

 ヨルムさんも泣きそうな顔をしながらリーヴァちゃんを撫で撫でしている。

「兄ちゃん、絶対病気治して帰ってくるからな!!!」


これは、絶対直さないとまずいな。どうか、いい治療法が見つかるといいんだけど。


 その後、私達はドラゴンフルーツやマンゴーやパイナップルと紅茶を出されてヨルムさんの家族にもてなされた。

 

 代々竜人族はかかる確率は低いがこの病気にずっと悩まされてきたそうだ。


 まあでも、話を聞く限り日本の方が医療が発達していそうなので何かいい方法があるかもしれない。


 ご家族とも相談して、とりあえずこの後ヨルムさんの家に転移して荷物を詰め終わったら公爵邸にしばらく滞在してもらおうということになった。


 公爵邸に滞在中は彩音ちゃんがヨルムさんにデスペルをかけてくれるらしい。ありがたや。


「もう、午後4時か…。」

ライゼンさんがふと呟いたのを聞き、ヨルムさんが立ち上がる。

「それなら僕達、そろそろ行くよ。突然きて悪かったね。」

「ううん、ちょっと前向きな顔が見られて嬉しかったわ。治ったら絶対に報告しにきて!」


そう言ってヨルムさんのお母さんのインバさんがヨルムさんを抱きしめた。


◇◇


 家に着いたら5時半だった。

「疲れたー。」


 とりあえずテレビを付けると、神様から返事が来ていた。


「お、今日は返信早いね。」と祥志が感心している。

 えーっと何々…。


『Re: お問い合わせにつきまして』


『立花様

 この度は魔王と和解して下さり、ありがとうございました。お問い合わせ頂いた件についてご回答申し上げます。

 

 魔瘴石ですが、普通に外科手術で取ることが出来ます。ただ、異世界で外科手術はまだ行われていないので日本でやることになるでしょう。


 あと、放っておくと魔瘴石が瘴気を出して、普通の生物をモンスター化させてしまうので、手術当日も、石を取ったあともデスペルをかけられる環境の病院を探す必要があります。


 石の処理ですが、晃志君がコピーしたばかりの世界に置いてくるのがいいと思います。そうすると、コピーされて生まれたばかりの異世界に魔素が生まれるという点で辻褄が合いますから。


 何卒よろしくお願いします。


管理者より』


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