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98・王子少女は逃げ出さない!9

~フレーダside~


「落ち着け!これも想定内だ!」

俺は精いっぱい声を上げて、味方を鼓舞する


「隕石が降ってこようとも、地下ならば影響は軽微だ!」

…いや、本当は諸々の問題があるだろうが、あえて伏せておく

ただちに影響があるものではない


「王子が再び隕石を落とせるほどの魔力を回復させるためには

 十日くらいは時間が必要だ!」

いくら器の容量が大きくても、注ぐのには時間がかかる


「切り札は切らせた!俺たちを阻む障害はもう存在しない!」

「お、おお…確かに…!」

恐怖に震える兵たちは、俺の説得でその意思をギリギリ保った


(『さて…降伏する気にはなったかな?』)

(「ばかめ!隕石魔法を脅しになんて使いやがって!

  これで切り札は無くなった!全力でお前たちを始末できる!」)

(『はあ…まあ、そうなるか……』)

ため息をつく王子

隕石魔法を一発撃つだけの魔力があったのは意外だった

こいつは本物で、魔力を失ってもいない訳か…

だが、それだけならなんとかなる…!


(『じゃあ、『二発目』だね』)

(「…うん?」)

お、おい…今なんつった?


ドドドドド…!!!


大砲を絶え間なく連続で発射しているような、ありえない音


「な、何を……そんな…そんなばかな……?!」


また一瞬、音が消え、その後に…


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!


大きな轟音とともに、再びの地響き

壁や天井が揺れ、ひび割れとどこかが崩れる音まで聞こえてくる


「う、うおあああああああああああああ?!」

椅子から転げ落ちる親父

ウインドフォールはあまりの出来事にガタガタ震え

兵士たちは阿鼻叫喚の悲鳴を上げている


「な、なんだ?!何がどうなってる…?!

 いかに魔力量の多い王子といえど、隕石を連続で降らせるなど…?!」

馬鹿げている

こんな事のできる人間が、存在するはずがない


(『やあ、二枚目の切り札はどうかな?

  降参はいつでも受け付けているよ』)

(「ど、どういう事だ?!幻覚を見せるユニークスキルか?!」)

(『鈍いねぇ…キミが今やってることを、ボクもやった

  ただそれだけじゃないか』)

(「ああ?!」)

俺がやっている事…どういう事だ……?!


(「『風』から盗まれた『魔力充電器』

  まだ試作品のアイテムだが…

  無くなったら、新しく作るものだろう?」)

頭の中で、新しく誰かが話しかけてくる

それは聞き覚えのある声で……


(「コガラシ?!そ、そうか…お前が……!」)

自分の腕に巻き付けたチューブに視線を向ける

つ、つまり王子は、俺と同じく…


(「そう、新しく作られた『魔力充電器』は、今、王子が使っている」)

魔力を補充しながら、魔法を撃ってる…!


(『すごいねこれは、おかげで隕石魔法が撃ち放題だよ』)

平然と話す王子に、俺は猛烈な違和感を覚える


(「い、いや、おかしい!

  体内魔力が雷の俺が、属性一致効果でギリギリ耐えられているんだ

  隕石魔法なんかに使えば、最悪身体が崩壊するぞ?!」)

(『そんな方法があったのか…教えてくれてありがとう』)

(「…はっ?!」)

ぐっ…余計なことを喋ってしまった


(「そ、そんな事で誤魔化されんぞ!何かインチキをしているはず…!」)

逆に何か、解決の糸口をぽろっと漏らさないかと思い

インチキ呼ばわりして、俺は情報を聞き出そうとする


(「はじめまして、『雪』の息子様」)

再び別人の、若い女の声が聞こえてくる

こ…今度は誰だ…?


(「『雪』で聖女をやっております、アジサイと言う者なのですよ」)

そいつは、物腰柔らかに、丁寧に自己紹介をし


(「…よくも今まで領民たちから、さんざん搾取してくれたのですよ」)

一転して、深い恨みの念をこめて糾弾してきた


聖女…聞いたことがある

『雪』の大地を癒し、奇跡の豊作を呼ぶユニークスキルの持ち主

まさかこんな若い女だったとは…

親父が執心し、金儲けのために何度も捕まえようとしたが

結局逃げられたと話していた


(「報いを受ける時が来たのです、降伏する必要など無いのです

  お前たちは今から、隕石の恐怖に震えながら死になさい」)

当たり前だが、すさまじく恨まれている

聖女と呼ばれる奴とは思えないくらいの怒気だ


(『身体が壊れても、キミたちの聖女様が回復してくれるからね

  何も問題は無いという訳さ』)


め、めちゃくちゃだ!

壊れたら治せばいいとか、そんな単純な物じゃない!

それでたとえ身体が治ったとしても、痛みは感じる!

隕石魔法を使うとなれば、どれほどの痛みになるか…!


…俺は心底震え上がった

こいつは、俺の何倍もイカレてやがる……!

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