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97・王子少女は逃げ出さない!8

~フレーダside~


(「食糧不足で撤退はありえねえぞ!あの時の屈辱、今晴らしてくれる!」)

普通の軍とは違い、必要な食料も十分の一なのだ

攻め手が困ることはまずありえない


(『あの時とは…?』)

(「ちゃちな落とし穴になんぞ嵌めてくれたじゃねえか!」)

(『ふふ、バレてたか』)

…魔法であんな深く掘れる訳ねえんだよ


(『ところで…君たちは今、『雪』の地下大空洞にいる、そうだろう?』)

(「…気づいたか」)

コガラシが逃げ出したとあったら、いずれ気づくとは思ったが…

予想よりはるかに速い


(『出口付近の兵をひっこめた方がいい)

(「は?何を言って…」)

(『ボクのあだ名、知らないわけじゃないだろう?』)

(「……隕石王子…?!」)

隕石を落とす…?この上に……?!


(「…ばっかいえ!タネは割れてるんだよ!」)

俺は、ありえないことを言い出した王子を否定する


(「わざわざ俺を落とし穴になんぞ落としたという事は…

  お前は偽物だ!本物の王子じゃない!」)

(『……』

(「もしくは、毒殺の影響で身体を壊し、高い魔力を失って

  今は人並み程度にしか魔力が残ってないか、だ」)

(『…ふふ、いい推理だね

  推理小説家にでも、なった方がいいんじゃないのかい?』

(「おちょくってんのか?!」)

く、くそ…腹が読めねえ……!

何だこの自信は…


(「どっちにしろ、今のお前に隕石など、落とせるはずがない!」)

(『…そうか、そう思うならば仕方ない』)

王子がそう言ったのを最後、二分、三分と待ったが

声は聞こえてこなくなった


「……」

「フレーダ様!どうしました?!」

宙を見ながら百面相をしている俺を奇妙に思ったのだろう

ウインドフォールが身体を揺さぶってきた


「補佐官のユニークスキルで、王子が俺に話しかけてきやがった」

「そ、そんな事が…?!」

「今から隕石を落とす、出口付近の奴は退避させた方がいい、だと…」

「なぜそんな予告を…?」

「この期に及んで、犠牲を少なくしたいから…か?」

甘ちゃんすぎる

とても王族のやる考えとは思えない

何か別の思惑があって、ひっかけるためだと考える方がいい

だが…だがしかし、もしも……


「…まさかとは思うが、兵を空洞内に退避させろ!」

「はっ!」

もしも、超がつくほどの甘ちゃんだとしたら……!


「いきなり何を言ってる、フレーダ?!」

「親父も話聞いてただろう?!隕石が落ちてくる!」

「ばかな!お前の見立てでは、今の王子にそんな力は無いと…!」

「そうだけどよ!」

慌てて避難を開始させる俺たち

『テンカウント』つきの兵士たちは、すみやかに洞窟内に戻ってくる

十分もたつと、出払っている兵以外のすべてが、ここに集まっていた


「……くるか…?」

心臓の鼓動が聞こえるような、息が詰まるような状況

緊張はピークに達しようとしていた

自分の呼吸が、洞窟に響いている気がする

兵士たちは、床にしゃがみながら、頭を抱えるうにしている。


ドドドドド…!!!


大砲を絶え間なく連続で発射しているような、そんなありえない音が聞こえてくる


「ま、まさか……まさか本当に…?!」


そして一瞬、音が消えたかと思うと…


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!


大きな轟音とともに、地響きが響いてくる

壁や天井が揺れ、どこかがひび割れた音も聞こえてくる


「う、うおおおおおおおおおおおおおおおお?!!」

兵士たちが焦りの声を上げ、立ち上がろうとする


「馬鹿!揺れが収まるまで座っていろ!

 下手に立ち上がると転ぶぞ!」

ウインドフォールのアドバイスで、とっさに立ち上がることをやめる兵士たち


「どういう事だ、どういう事だ、どうなっとるんだ?!」

混乱し、うろたえる親父


「ひいいいっ?!こ、こんな、無茶苦茶な…!」

「やっぱり王子に逆らうなんて、しちゃいけなかったんだ…!」

兵士は誰しもが恐怖に怯え、泣き出す者もあらわれる程だった


…甘く見ていた

人間の奥底に眠っている、災害を恐れる心

たとえ直接の被害を受けなかろうと、それを刺激されれば戦えない

恐怖に飲まれ、逃げ出してしまう


「くそっ、隕石落とし…なんて恐ろしい魔法だ……!」

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