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8:ハッタリの王子少女

「お…王子がいない間、国を実質運営していたのは『雪』だ!

 いくらお前が戻って来たとはいえ、そう簡単に帰るかよ!」

彼の息子が王子に対して突っかかってくる


『これだけの所業をしておきながら、その言い草…

 情けはいらぬ介錯してくれ、という事でいいんだね?』

その彼を無視して、『雪』の領主を睨みつける


「ひ…ひっ?!

 す、すぐ頭を下げろ、フレーダ!」

「な、なんだよオヤジ?!王子がいかに強かろうと、俺のユニークスキルで…!」

「ばかもん!お前とは格が違うんだ格が?!」

親子喧嘩を始める二人


…あ、この威圧する台詞は、全部ミソラさんが考えたのを、私が喋ってるからね!

流石、闇の軍師を名乗るだけはある…

手札が王子のそっくりさん一人だけで、押し切ろうとしている…!


『何を謝られようと、王の許可もなく戦を仕掛けようとするなど、言語道断だ!』

ビシッと領主に指を突きつける

これで決まった!…と思ったけれど…


「…し、しししかし、王子…

 戦はいけない、というのはあくまであなたの考えでしょう?

 王から一時的に国を任されるにあたり、そのような事、言われた訳ではありませぬ」

『屁理屈を…!』


(あ、やばい…ショックから立ち直って来たわ…

 このまま流れで押し切れるかと思ったけど…難しそうね)

(たしかに…目が座ってきました)


「それに『雪』は実際、上手くやってはいましたぞ?

 その辺は考慮していただかねば…

 あまり王子が横暴ですと…『花』も『風』も敵対するやもしれませんぞ…?」


(ど、どういう事です?!)

(『花』と『風』は、こいつらに弱みを握られてるのよ…)

(そいつらを使って、外国への戦争ではなく

 内戦起こしてもいいんだぞ、って逆に脅されてるわ) 

(あ、あわわわわ…)


『…いいだろう……では視察を行うことにする!』

「視察?!」

『半年の間に『花』『風』『雪』『星』の視察を行い

 委託された間、国の運営が上手くいっていたかを査定する!』


(え…これ、どうするんです?)

(後で説明するわ…とりあえず時間が欲しいの)


『もし、領民を飢えさせてなどいたら…その時は覚悟することだな!』

「……」

「わかりました…ひとまず『雪』に帰ることにいたします

 恣意的な結果を出さないように、よろしくお願いしますよ?」

逃げ切った!という顔で、にやりと笑う『雪』の領主

こ、このぉ…!


(とっとと捕まえちゃうのはダメなんですか?!)

(あの雪の息子のユニークスキルが曲者でね…

 最強王子でないと、倒したり捕まえたりは無理だわ)

(む、むむぅ…)


『雪』の領主は、他に何か仕掛けられる前に、足早に部屋を出ていった

…なかなかに手ごわい相手だなぁ……


そして、そんな領主と違い、悔しそうな顔で舌打ちをする息子

取り巻きの女性たちと一緒に、彼もこの場を去ろうと…


『あ、それはそうと…すごくどうでもいい事を、ひとつ聞いておきたい』

していたところ、悪いけれど、ちょっと彼に尋ねたいことがあった


(何か気になるの?セッカちゃん)

(そうですね、少し)


『君の周りの女性が、なにやら変な声を上げていたのは、何だったんだい?』

何かやばい宗教の怪しい儀式に見えたので、正直ちょっと不安だった


「はあ?ホント、純粋培養で育ったおぼっちゃまだなぁ?

 俺の超絶テクニックで、女どもを喘がせていたんだよ!」

『え…?』

ほ、本気で言ってます?


『…いやその、女性は頭なでられたぐらいで喘がないし

 あんな変な喘ぎ声をあげたりはしないよ…?』

「は…?」

「ちょ、ちょ…!王子…!」

あ、あれ?

息子くんが驚いてるのはともかく…

珍しくミソラさんも驚いて、脳内会話を忘れて、素で止めようとしてきてる…?


「…どういう事だおい?!王子の言ってることは本当なのか?!」

「だ、騙されてはいけませんよ!フレーダ様を疑心暗鬼に陥らせようとする、王子の卑劣な罠です!」

「残念だけど、王子はまだ経験が浅いからね…

 男女関係で罠を張るのは、やめた方がいいわよ」

「そ、そうか…危うくひっかかるところだったぜ」

取り巻きさんとミソラさんまで加わって、否定される私

え?な、何かおかしかったの?!

おかしいのは私の方なの?!


(え、えっとね…)

(女性経験皆無の彼は、頭を撫でる=女の子にスケベしてると思ってるのよ!)

(えええええええ?!

 じゃあ彼の方が、純粋培養で育ったおぼっちゃんじゃないですか?!)

(そんでもって、あの変な喘ぎ声が普通だと思ってるわ!)

(どうしてそう思ってしまったんですか?!)

(わからないわ!でも、本人も周りもそれで納得してるんだから

 無理に変える必要はないと思うわ!)

(…そ、そかぁ…この方が周りに被害が少ないって考えると

 勘違いしててもらった方がいいのかぁ…)


「覚えておけよ!俺を騙そうとした罰は、いずれきっちり受けてもらうぜ!」

捨て台詞をはいて、今度こそ退出する息子くん


親に似ず美形なのに、なんて残念な子なんだ

悪いことやめて、普通にしてれば普通にモテそうなのに…

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