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74・王子少女は集まりたい!

「そういう訳で、不安要素はあるけれど、『雪』の領主交代宣言をしようという話よ」

赤くなりながらも、ミソラさんはなんとか話を軌道修正する


「十分な戦力差に持っていけたし、相手が降参する可能性も高いわ」

理屈上ではそうなんだけど…

あの親子の性格だと、そう素直にはいかない気がする

…そして、そう思う人がもう一人


「でも、素直に降参してくれるとも限らないんじゃないですの?」

アワユキさんが再び疑問を返す

親戚ともなると、彼らの行動はよくわかってるようだ


「十人を百人分の戦力に変えて、百人と相打ちさせる

 また次の十人にスキルを使って、百人と相打ちさせる

 …これを繰り返せば、計算上は全兵士が十倍の戦力ですわ」

うわぁ…えげつない話を淡々と……


「もちろん、そんな有利な戦場を作らせないように

 大軍で一気に攻めるのが基本になるわね」

「…そうですわね、

戦の話もできるミソラさん

色んな話が出来てすごいな…と思う一方

もしかして、『ひかやみ』を参考にして喋ってない?!と心配になる時もある

…いや、まさかそんな、ねえ…いくらファンでも……


「あの…陰からこっそり始末する、というのはできないのです?

 卑怯とは思いますが、犠牲が増えるよりは…」

聖女様が聖女様らしからぬ事を話す


「本人もがっつりスキルで強化されてるし、ガードも強い…

 毒殺は最も警戒しているだろうし、近くに神官がいたら魔法で治療されてしまうわ」

「自分がそれを駆使する側だからこそ、警戒もすると」

「そういう事よ」

「……」

「あと、暗殺は成功失敗に関わらず、周りからの信頼が大きく低下するわ

 やるなら必ず成功できる、くらいのリターンが無いと…」

ミソラさんも選択肢に入れてない訳ではないけど、できる限り控えたい手段のようだ


「罠にはめるのはどうやろ?」

「『花』の時はうまくいったけど、もう本人が出てこないと思うのよね

 …地元で罠にはめるのは困難だわ」

彼のユニークスキルに制限距離があれば、出てこざるを得ないけど…

それを把握するのは難しいかな


「じゃあ、やっぱり戦力で圧迫しながら降伏させるのが妥当…なのです?」

「ですわね…でも不気味な気もしますわ」

想定される方法、状況は大体出尽くしたと思われる


「みなさんが動いてる間、叔父上が何もしなかったとは思えないのですわ

 何か仕掛けているかも…」

「そこまでは読めないわね…

 最大限の警戒をしながら、新領主発表の集会を行いましょう」

アワユキさんは、ミソラさんと思考が似てるのか

意見を交わす時のタイムラグが、かなり少ないようだ


「他の領主たちにも状況を説明して、呼んでこないといけないわ」

『『星』が反対する事は無いだろうか』

「そもそも『星』は『雪』と接してないし、『雪』も重要視してなかったわ

 今さら中央に反対はしない…はずよ」

唯一、最初からずっと味方の領主

顔も見たことないが、どんな人物なんだろう…


『忙しくなるね』

「ええ…でもあと少しよ、王子」

当初の目標、他国との戦争を止める事…は、もう達成寸前まで来ていた

あれから随分長かったようにも、あっという間だったようにも思える


「じゃあ、領主たちが集まるまで、予行演習して待つ感じなのです?」

「そうね…」

そう言われて、今まで会ってきた領主様たちの事を、ふと思い出す

…『花』でも『風』でも、ワタシ、領主様にかなりとんでもない事したなぁ

王子じゃないってバレたら打ち首ものだよ…


「そうそう、ちょうど明日から城下街でお祭りをやってるから

 そこでちょっと遊んでいくのもいいわよ」

「お祭りなのです?!」

え、そんなのやってるんだ…?!

村出身なもんで、中央のお祭りなんて知らなかった…


「もうすぐ建国記念日で、その前後三日間はお祭りなんですよ」

ヒルヅキさんが、聖女様に説明する振りをして

おのぼりさんな私にもわかるように、フォローを入れてくれている

正直助かりました、ありがとうございます!

…あ、ちょっとこっちに向かってウインクした


「おまつり、屋台…美味しいものいっぱい……」

よだれを垂らすアジサイちゃん

ここ数日、質素な食事から急に美味しいものを食べているせいで

我慢が効かなくなってるようだった


「ふふふ…身体は嫌がっていても口は正直やな、聖女様?」

「??」

話題が一段落ついたせいか、ホシヅキさんが急に変なことを言い出す


「急にスケベ小説の定番台詞を口走るのやめなさい?!

 聖女様ぽかんってしてるじゃないの!」

「知らんかったかー…」

そりゃあまあ、十歳からずっと聖女やってるような人だし

そのような物を読んだことは無いのだろう

…なぜかおっぱいを求めたりはするけど……


「…じゃあ逆に、今反応してる人は、全員読んだことあるってことやんなっ」

「……」

…私はわかりました、大変申し訳ありません

執事さんと聖女様以外の全員が、反応してしまった自分に、ちょっと顔を赤くしている


「申し訳ありません、うちの娘が」

「い、いたい!久しぶりに痛いパパ?!」

執事さんからホシヅキちゃんに、久しぶりのこめかみぐりぐり

本人なりに、場を和ませようとしてくれたという事で…

適当なところで許してあげてください、執事さん

お読みいただき、ありがとうございます!

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