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73・ミソラさんは計画を立てたい!

「いよいよ最終段階よ」


アワユキさんアジサイさんを連れ、中央に戻った私たち

いつもの王子の部屋で集まり会議をしている

今日は大事な話なので、カグヤちゃんもメイドさんも全員集合だ


壁にコルクボードを取りつけ、そこに説明の紙を貼る形で

ミソラさんが今後の予定を話している


「現『雪』以外の全ての領主と王子様に、国民の前で宣言してもらうの」

領主たちと思わしきピンたちを、ボード中央の城が描かれた紙に刺す


「アワユキさんとアジサイさん…

 経営の達人と、彼女の養子になった聖女様のタッグに

 新しい『雪』の領主になってもらう」

「…ってね」

正確にはアワユキさんが領主で、アジサイさんが補佐な感じだろうけど

『雪』の人たちには、有能町長と聖女様が組んだと言った方がいいだろう


「ちょ、ちょっとお待ちくださいですわ?!」

宣言と聞いたアワユキさんが、びっくりしてミソラさんに意見する


「『風』と『花』は、何か弱みを握られて

 叔父上の味方をしていたのでは…?」

…あれ?


「きっと『風』も『花』も宣言に参加などしませんわ

 それに、勝手に宣言などしたら、叔父上が怒って攻撃してきますわ

 正面から交代劇なんてしたら、わたくし殺されてしまいますわ…」

ひょっとして、まだ知らないのかな…?


「わたくし、何か作戦があるものだとばかり…」

「…そっか、『雪』にはまだ情報が届いてなかったのね」

「?」

ミソラさんは得意げな顔になって、アワユキさんに堂々と告げる


「どっちも、この王子が直々に出向いて解決したわ!

『風』にも『花』にも、弱みはもう無いわよ!」

「うええええ?!」

驚くアワユキさん

中央と違って『雪』に話が伝わるのは、結構遅いんだな…


『いや、違うよ…みんなの力で解決したんだ』

ほんとに、みんなに助けてもらって達成したからなぁ


「…あ、あの叔父上の謀略を打ち破るなんて……」

身内の怖さを知っているアワユキさんは、震えながらも興奮して言った



「王子には、国を治める本当の才能が、あるのかもしれませんわね」



ユニークスキルという、個人に発現する力の事を、『才能』とも呼ぶようになった

それにともない、『あなたにその仕事は向いている』という意味の才能を話す時

『本当の才能』と言うようになった


…でも、その『本当の才能』を持ってるのは『本当の王子』で

私はそのおこぼれで、なんとかやってきただけなんだけどね



「…話を戻すわね」

ミソラさんが、予定の続きを語る


「あなたたちを領主に決めた後、元『雪』の領主を捕まえる

 元領主の自分では、もう逆らっても、残り全領主と中央には勝てない

 そう思わせて、降参まで持っていければベストね」

素直に降参…してくれたらいいんだけど…


「あの残念息子の、戦力十倍ユニークスキル『テンカウント』…は、大丈夫でしょうか?

 もし、領主の兵全員に使われでもしたら…」

執事さんが疑問を呈する

確かにあの強力なスキルを、全員に駆使されたらと思うと…


「どんなスキルにも、魔力量で限界があるはずよ」

「限界…とは?」

「スキルによって消費が全然違うから、一概には言えないけど

 私の平均的な魔力量で、私の『グループチャット』の対象は十人

 彼のスキルの魔力消費量は、声を伝えるだけの私のスキルよりは多いはずだし

 彼が頑張っても、二十人くらいにスキルをかけるのが限界じゃないかしら」

隕石魔法は魔力五十人分だって事を考えると

魔力量が規模の大きさに繋がるのは、なんとなくわかる


「まあ、十人だけだとしても、不意打ちに使われたら脅威だから、やっぱり警戒はしないとね」

『十人がホシヅキさんレベルに強くなるからね…』

あの猛スピードで迫ってくる息子は、正直めっちゃ怖かった


「え、このえっちなメイドさん、そんな強いんですの?!」

ついにストレートにえっちって言われた?!

ホシヅキさんの心境やいかに…


「……」

あ、ちょっと嬉しそう…もじもじしてる


「探索者六レベル相当と思っていただければ」

「ほえー…」

諜報員とか盗賊とか、悪いイメージの言葉で、自分の得意技を言いたくない冒険者は

『探索者』…未踏の地を制する者…という意味を込めた言葉で言ったりする

執事さんが娘に気を使って、そう言ってるのがわかる


「むむ、アワユキお嬢様は、気づいておられないのでしょうか?!

 わたしの方が、妹よりももっとえっちですよ?!」

「えー、ワタシの方が上だよ?えっち感度鈍いなぁ」

なぜか急に会話に乱入してくるヒルヅキさんとアカツキさん

ここぞとばかりに、座っている私の顔に胸を押し当ててくる


『はっはっはっ…やめたまえキミたち』

いやほんとに

人前でまた顔真っ赤になりそうですよ…

というか、何でメイドさんがえっち自慢しだすのかなあ?!


「……」

執事さんが無言で、すっ、と立ち上がる

パパのお仕置きが来る!と思った二人は慌てて自分が座ってた場所に戻っていった


「……」

再び執事さんが、すっ、と座る


「え、えーと、それでね…」

話の腰をバキバキに折られたミソラさんが、それでも頑張って話を続けようとする

が、頑張ってミソラさん!この国の未来はあなたにかかってる!

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