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61・王子少女は襲われたくない!

「んひゃんっ?!」

アカツキさんが、私の背中を指でつーっと撫でる


「やっ…ふあんっ」

ホシヅキさんが、太ももを撫でまわし、脇をくすぐる


「だめ、みなさん正気に…っ」

私はこの状況を何とかしようと、三人に呼びかけようとするが…


「ふあ…あっ……」

ヒルヅキさんに首筋を舐められて、喋りが止まってしまう


「こんなに反応しちゃうなんて、セッカさん悪い子ですね」

い、いや、どう考えてもそっちが悪いですよ?!

でも、そんな理屈は通用しない

彼女の世界では、ドキドキしてしまうほうが悪いらしい


「悪い子はもっとおしおきしなきゃ…」

無限ループやめてー?!

三人の柔らかい肌に触れられて、指先でいじられて…

極限の恥ずかしさで、頭がどうにかなりそうだった

もうこの小悪魔メイドたちに、好き放題いじられるしかないの…?!


そう、思ってたところに…



「こらーっ!」

突然の声が温泉に響く

この声は…ミソラさん?!

声のした方を向くと、いつの間にかデビル温泉の看板まで戻ってきてたミソラさんがいる

彼女は自らの小脇に抱えてたカグヤちゃんを、わたしたちに向かってぶん投げた

……え、投げ……ええ?!


「カグヤ!」

投げられたカグヤちゃんは、空中でふわりと回転し、私たちの目の前に着地

着地した勢いのまま、私に引っ付いてた三姉妹を引きはがして持ち上げる


「ほいっ!」

背筋を伸ばし両手を上げ、ポーズをとるカグヤちゃん


「王子おねえちゃんをおそうわるいやつ!わたしがせいばいするんだよ!」

そのまま壁に向かって投げ飛ばす構えをしたところで…


「ま、待って!ごめ、ごめんなさいい!つい出来心でぇぇ…!」

「よし、そこで止めときなさいカグヤ」

ヒルヅキさんの泣きが入り、カグヤちゃんの動きがストップ

なんとか怪我人も出ずに、事態は収束するのだった


………

……


「あのね…騒ぐために貸し切りにしたんじゃないのよ?わかる?」

「はい、真に申し訳ございません」

私とミソラさんとカグヤちゃんの前で、土下座をするメイドさんたち

…裸で土下座って初めて見た

カグヤちゃんはかなり騒いでた気がするけど

それ言うと、ややこしくなるから黙っていよう……


「どうしてこんな事になったのよ」

「お偉いさんは身体を洗ってもらうものだって、ヒルヅキさんに教わって…」

「…うん?」

「私も、それに慣れなきゃいけないって事で、メイドのみなさんに洗ってもらってたんですけど

 …みなさんが急に正気を失って」

そこまで説明すると、ミソラさんはため息をついて


「…あのね、そもそも使用人に体を洗ってもらう風習なんて、とうの昔に無くなってるわよ」

「……え」

そんなものもうないよ、と真っ向から否定した

え、いや、だってヒルヅキさんが…

じゃ、じゃあつまり…


「だ、騙したんですか?!ヒルヅキさん?!」

私が田舎娘で、貴族の風習なんてわからないから…!


「…ごめんねっ♪」

かわいい笑顔でウインクして、両手を合わせて謝るヒルヅキさん


「ふああああああああああああああああ?!」

最初から、身体を洗うふりして、ちょっといじっちゃおうって企んでたって事…?!


「それに、考えてみなさいよ

 あなたは王子のフリしてるんだから、女湯で身体洗ってもらう事態があるわけ無いでしょ?」

「?!」

あ、いや、たしかに、そう言われればその通り…!


「仮に、王子の身体を洗ってあげる事になったとしても、それは男湯で執事さんがやる事よ」

「ぐぅの根も出ない正論…!」

な、何で気づかなかったんだろう私…


「ごめんや~、姉さんが無茶苦茶いってるのはわかってたんやけど、欲望に勝てへんかったんや」

「同じく~」

…ああ、だからホシヅキちゃん、手つきがたどたどしかったのか…

できれば、止める気持ちの方が勝ってほしかった…


「大体、普段から執事さんも言って…」

「ま、まあまあ、このへんで、いいんじゃないでしょうか?」

「王子おねえちゃん、いいの?」

あまり言いすぎて、仲がギクシャクしてもアレだし…


「はあ…まあともかく、各自散らばって自分の身体を洗いなさい」

「「「はーい」」」

メイドさんたちは素直に解散して、個別の洗い場に向かっていった


「助かりました…カグヤちゃん、ミソラさん」

「うん!」

「どういたしまして」

特にカグヤちゃんは頼もしすぎた…

まあ、この子はこの子で『股を見せて』ってしてくるんだけども…!


「しかしまあ…目が離せないわね、ほんと」

「あはは」

楽しい人たちではあるんだけども


「あたしたちも洗いましょう、温泉はその後よ」

「はーい」

私たちはそれぞれ近くに座り、石鹸を片手に自分の身体を洗い始める


「じゃあおねえちゃん、おせなかながすね」

「…そうね、おねがいするわね」

「あー…こういうのでいいんですよこういうので」

小さな妹が、純粋に姉の背中を流してあげる

欲望にまみれてないその姿を見ると、思わずほっとするのだった

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