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58・カグヤちゃんは剥ぎ取りたい!

「湯気が…湯気がすごいです!」

「さすが温泉街ね…」

古い木造の旅館や宿泊施設が並ぶ中、白い湯けむりが立ち上がる

今回、この温泉街『ユキミ』に来たのは

執事さんとメイドさん三人、ミソラさんと、あとカグヤちゃん

カグヤちゃんが流れで遊びに来てる以外は、大体いつものメンバーだった


「うー、むしむしするー」

そのカグヤちゃんだが、湿気に耐えられなかったのか

いきなり上着を脱ぎだした


「あ、こら、カグヤ?!こんなところで脱いじゃダメよ!」

「だいじょうぶだよ、なかにみずぎきてるから!」

温泉で水着になるつもりだったのだろうか

カグヤちゃんはもう水着を中に着ているらしい


「そもそも、こんなところで水着になるもんじゃないの!」

「…?!」

…うん、ミソラさんの言ってることはわかる

水着でうろついても、なんとなく許されるのは砂浜だけだ


言ってる本人が、普段から黒水着でうろついてる変態なのだが


「お、おねーちゃんもみずぎきてるでしょ?!」

流石に理不尽だったのか、カグヤちゃんが抗議の声を上げる


「あたしのは『みーさん』の正装だから、水着じゃないのよ!」

「へ、へりくつー?!」

…それ、水着を適当に切って作ったって、言ってませんでしたっけ?

と、言いたかったが、カグヤちゃんに味方して

彼女まで脱ぎだしたら困るし、黙っておくことに


「…あれ?あのマジックアイテム…『せんたくき』やん?!」

ホシヅキさんが、湯煙に霞む旅館の一角で、『せんたくき』を使って

旅館の部屋着を洗濯しているおばさんを見つける


「『風』の発電所、一番大きなのは領主の館の近くだったけど

 中規模なやつがここの近くにもあるのよね」

発電所は『風』にしかないが、ここは『風』に一番近い『雪』の街


「『風』に料金を払って、電気を分けてもらってるらしいわ」

「ず、ずるい……」

開発が進まなかった『雪』の中で、この街が例外的に発展している理由は

こういうところにありそうだ


「中央にも導入しましょうよー」

「発電所自体、古代の遺産だからね…

 小規模なやつなら、再現した技術で作れなくもない…って聞いたけど」

当然、そういうものを作るのは、かなりの費用がかかる訳で


「しかし、いずれは検討すべきだと思いますが

 便利さで『風』に負けていては、どちらが首都かわからなくなりますゆえ」

執事さんのフォローが入り


「『雪』とのいざこざが落ち着いたら考えるわ」

結局まあ、その結論になる

目の前のピンチを切り抜けないと、新規事業してる場合じゃないし



………

……



しばらく歩き、今晩泊る宿にたどりつく

あちこちに凝った装飾はあるが、作られた年代が古く少しくすんでいる

ちょっと古めの旅館といった感じだが…


「クロカゼ御一行様、お待ちしておりました」

髪を頭の上でまとめ、上品な服を着た旅館の女将さんが

玄関先であいさつをしてくれる


「パパの名前で申し込んでるんやね」

「探られないように、王子の名は出さないほうがよいだろうしな」

「さらになんと…今回は貸し切りよ!」

ミソラさんがガッツポーズをする

気兼ねなく過ごせるというのは大変ありがたい

…ちょっと料金の方は気になるけど……

国のお金で行く旅行は楽しいか?!…楽しいです!


「あ…ところで、お客様」

女将さんがちょっと、といった感じでミソラさんに話しかける


「水着をつけたまま入られるのは禁止しておりまして…」

「ちゃんと脱ぐわよ?!」

「あ、ダメなんだ、みずぎ」

ここはそういうルールの旅館らしい

…そこそこ汚れてそうだしなぁ、ミソラさんの水着

そのまま入られたくないのもわかります


「とりあえず、まずはひとっ風呂浴びますか!」

ヒルヅキさんが先にお風呂を提案する

特に文句もなかった私たちは、一旦、女将さんに部屋まで案内してもらい、そこに荷物を置く

そして、パタパタと旅館専用の履物を鳴らし温泉へ


「では、ゆっくり腰を回復させますかな」

当たり前だけど、執事さんは男湯に


「わたくしの腰を気遣ってこのような温泉に…ミソラどの、ありがとうございます」

「あたしも肩こりが気になってたし、お互いゆっくり癒しましょう」

別れの挨拶…なんて大げさなものではないが、一言告げて脱衣所へ


「ふふふ…セッカちゃんと裸のおつきあい……」

「肌と肌の直の触れあい…楽しみぃ~」

「覚醒したうちのテクニック見せる時やで~」

メイドさんたちは、よからぬ事を話しながら服を脱いでいく


「あ、あはは…お手柔らかに……」

私も服を脱ぐ

もうちょっとこう…なんとかならないかな、この職業を間違えてるメイドさんたち

そう思いながら、身体の大事なところが見えないように、タオルを巻く

すっぽんぽんをそのまま直で見続けられる勇気は無いので

…湯船に入る直前に外せばいいでしょう、たぶん


ミソラさんもメイドさんたちも、そのへんはわきまえているのか

全員、私と同じようにタオルを巻いて、大事なところは見せないようにしている


「……」

タオルの上からでもわかる、ホシヅキさんの胸の大きさよ

うらやましい…正直そう思う

ミソラさんなら肩凝るからいらない!とか言いそうだけど

そもそもミソラさんも結構あるんだよねぇ……


なんて、胸の大きさを見比べて一人でしゅんとしていた私だったが

…ここで事件が起きる


「とおーうっ!」

全身なにも身にまとってない、すっぽんぽんのカグヤちゃんが

いきなりメイドさん三人のタオルに手を伸ばした


「なっ…?!」

突然の事に呆気にとられ、ホシヅキちゃんですら不意打ちを許し、タオルを奪われてしまう


「きゃーっ!」

一糸まとわぬ姿になって、顔を真っ赤にするメイドさん三人

…カグヤちゃんはいったい、どういうつもりなの?!

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