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38・王子少女は逃げられない!

色々ありつつ、泳ぎから戻って来た私たち

私は、自分の荷物から緑色の大きな球を取り出し

みなさんに新しい遊びを提案する


「スイカ割り、ご存じですか?」

「スイカ割り…?」

「木の棒を持って、目隠したまま歩いて

 遠くにあるスイカを、木の棒で上手く割れれば勝ちって遊びです」

「ああ、知ってるわ

 確かそれ、最近発見された古代の文献に載ってたのよね」

「へー…変わった遊びご存じなんですね」

「えへへっ」

なぜか古代では、砂浜で水着を着てやるものだったらしい

破片が飛び散るからかな?


「で、このスイカを用意してきたんですよー」

みずみずしい緑と黒の縞模様を、頭上に掲げる


「なんか大きい荷物あるなと思ったけど、そういう事ですか」

「セッカちゃん、食べ物への熱意はすごいわよね」

「ちょっと違います、私は甘いもの…糖分が好きなのです」

甘さを感じるために振りかけるお塩も、ちゃんと持ってきている


「じゃあ、折角のセッカちゃんの提案だし、やってみましょうか」

「おー!やで~」

許可をいただいたようなので、早速開始

シートを敷いて、スイカを置いて、ちょっと離れて

目隠しの布と木の棒を、まずミソラさんに手渡す


「ククク…『苦悩も後悔も、紅蓮の炎で焼き尽くしてくれよう』」

棒を持ったミソラさんは、ノリノリでポーズを決めて、そんなことを言い出す


「ミソラさん、何か変な事言ってますよ?!」

「あれは?!」

「知っているのセッカさん?!」

「『ひかやみ』の炎国の王子グレインの決め台詞!」

「何でいきなりそんな台詞を?!」

「たぶん、赤い水着を着てるからですね…!」

「ミソラさん、思った以上に単純?!」

グレインのカラーは赤だけど、流石にミソラさんが今着てるような水着になったことは無い

いつもの水着と違うから、ノリが変わったのだろうか


ともかくも、ミソラさんは自分で目隠しをして、暗黒の砂浜へと繰り出す


「ミソラさん!右です右!」

「ミソラさん、左やで~」

見えないミソラさんにアドバイスする私と

巧みに嘘を混ぜるホシヅキちゃん

…この子、もうこのゲームの本質を理解している…!


「あ、あ…?えー……てやー!」

わけがわからなくなったミソラさんは

我慢できずに適当なところで棒を振り下ろしてしまう


「全然違うわ?!」

目隠しを取って確認するが、スイカははるか向こうの方

…それはまあ、どっちのいう事も聞いてなかったですから…


「あー…紅蓮の炎が……不完全燃焼や」

「知ってます?赤い炎って酸素が足りてない状態なんですよ

 酸素が足りてると青い炎になるんで」

「急な豆知識ありがとう?!」

失敗した炎の王子ミソラさんは、謎の炎知識マウントでいじられるのだった


「あ、次、うちが行きたいんやけど…」

「どぞどぞ」

「目隠ししてもらってええ?」

「はいはいっ、いいですよー」

ホシヅキちゃんの後ろに回り、目隠しをしてあげる


「はぁ~…うち、目隠しされとる…ドキドキするわぁ」

「だ、大丈夫です?ちょっと息荒いですけど」

「だいじょぶや~、このまま縛られてスケベされる妄想なんてしとらへんで~」

「ちょ、性癖を急に露出するのやめてください?!」

Mなの?!

い、いや、冗談で言ってるんだろうし、本気じゃないよね?!


そして、次は目隠しされたホシヅキさんが、棒を持って歩きだす


「右です右!」

「左よ!左を信じて!」

左を信じるって何ですかミソラさん


左右に惑わそうとする私たち

しかし、ホシヅキさんは真っすぐスイカのもとへ歩いていく


「いちにいさん…じゅうご」

彼女は数字をカウントしながら進み、十五で止まる


「ここや!」

確信をもって振り下ろされた棒は、一刀でスイカに入り…



「すごい…まっすぐ行って完璧に振り下ろしましたよ?!」

「どやー」

ほぼ真っ二つに割れたスイカ

この状態なら、切り分けしやすそうだ


「目測で距離測って、自分の一歩の長さで割って

 出てきた数だけ真っすぐ歩けばいいんやで~」

「理屈は分かっても、そうそうできませんよ?!」

「やるわね~ホシヅキ」

この時、方向感覚が鋭いという、彼女の意外な特技が判明したのだった



「じゃあ、パーフェクトの後で恐縮ですが…次行きますね!」

ここからが本番!

実は、普通のスイカ割りだけではなく、私はある計画を考えていた


それは…


目隠しされて、方向がわからないフリをして、ホシヅキちゃんに抱きつく!

びっくりしたホシヅキちゃんが照れ照れになって、いつもやられてるおかえし完了!


…という、ザルザルなシナリオだった

まあ、失敗したならそれはそれで!

私は目隠しをして歩き始める


「右よ右~」

「そこでストレート、アッパー!」

…謎の掛け声は置いておいて

私は目隠しをし、方向が分からないフリをして、ホシヅキちゃんに近づく


「ほえ?」

「ああっ、足がとられてバランスが~」

棒を放り出し、捕まるような感じで彼女に抱きついた


「は、はわわっ?!」

かわいらしい、びっくりした声

私は、目隠しを外し、急に抱きつかれたホシヅキちゃんの顔を見る


「だ、だい…じょうぶ…?セッカさん……」

真っ赤になって、うるうるした瞳で見つめられる

ものすごく恥ずかしい、といった感じだ

…とたんに私の中に、すごい罪悪感が沸いてきた


「あ…ご、ごめんなさいっ!

 ちょっとしたお返しのつもりだったんです!」

「は、はぅ…」

ぱっ、と離れて即座に謝る

まさか私に抱き着かれただけで、そんなに恥ずかしがるなんて……

ちょっとびっくりするかな、ぐらいだったのに


そんな繊細なホシヅキさんに、自分までドキドキしていたら…


ガシッ


「え、な、何ですか……?」

突然、姉二人に肩を掴まれた


「いや、目隠しをしたら襲っていいとわかったので!」

「流儀にのっとり、襲わせてもらいます!」

「え、いやその、ちょ…」

妹の仇(?)を取るべく、姉二人が目隠しをして私を挟み込んでくる

その手つきがすごいいやらしい


「た、助けてミソラさん?!」

私は慌ててミソラさんに助けを求める

しかし…


「……」

すっ、と自分も目隠しをするミソラさん


「み、ミソラさーんっ?!」

「ほら、ホシヅキも」

「え、あ…う、うんっ」

ヒルヅキさんに目隠しを渡され、笑顔でうなづくホシヅキちゃん


「うなづかないでー?!」

そうして…


私は目隠しした四人に囲まれ、身体をさわさわされるという

何でこうなったかわからない状況に追い込まれた


「あ、謝るから許し…ひゃんっ?!」

「セッカさんが悪いんやで…うちの心を弄ぶから…」

「物理的に遊ばれてるのは、私の方じゃないでしょうか?!」

そんな反論もむなしく、私は四人にもみくちゃにされて…


「ふ…ふみゃあああああああああああああんっ……」


私は散々弄ばれて、ぐったりしたところを砂に埋められて

さらに砂で作ったおっぱいオブジェを乗せられるという、屈辱を味あわされたのだった


うう、やっぱり三姉妹には勝てなかったよ…


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