37・王子少女は見せられない!
もがもが…
海の中に潜る私
綺麗なサンゴ、優雅に泳ぐ魚たちの中から、黒い水着を目で探す
(だ、大丈夫…?変なのがいたら、無理しなくていいわよ)
不安なのか、『グループチャット』で語りかけてくるミソラさん
(そういえば、あの衣装どこで買ったんですか?)
水の中を探しながら、ちょっとした疑問を聞いてみる
(ひょっとしたら、観賞用で泳ぎには適さない衣装だったのかもですよ)
(え?自作だけど…)
(自作なんですか?!すごいですね!)
たまに手作りでグッズを作る人がいるけど、ミソラさんもそうだったとは…
村でお裁縫得意な人に、よく作った服見せびらかされたなぁ
(こう、黒い水着を買ってきて、ハサミで適当にちょいちょいっと切ったの)
(雑っ?!)
服の改造なのに、裁縫せずに工作してる?!
(そりゃ脱げますよ?!逆に、今まで何で無事だったんですか?!)
(え?だ、ダメだったかしら…?)
(オーダーメイドで、専門家にしっかりしたの作ってもらった方がいいと思いますよ…)
別にお金が無いわけではないんだし…
なんて話しながら探ってると
少し離れた場所のサンゴの枝に、黒いものがひっかかってるのを見つけた
「ありましたよ!サンゴに引っかかってました!」
私は、急いでサンゴに向かい
絡まってた黒水着を丁寧に取り、水上に上がる
「どうぞ!」
「あ、ありがとう!」
胸を押さえながら、ミソラさんは手渡しした水着を片手で受け取った
「…でも、破けちゃってるわね…これ着てくのは無理だわ…」
「………」
「……」
全てを悟り、そっと背中を差し出す私
そこに胸をぺったりひっつけるミソラさん
「に、逃げないでね…!もうセッカちゃんだけが頼りなの…!」
「あああああ、せ、背中に生の感触が…」
「生っていうなぁ」
散々押し当てられた私ですけれど、直となると話は違う
とてもとても、いけないことをしている気分になっていく
実際はミソラさんが見えないように庇っているのだから
悪いわけではない…のだけど、興奮する
「だ、大丈夫ですよ、逃げませんから…」
ミソラさんは、これ以上逃げられたくないからか、ぎゅっとしがみついてくる
それが結果的に、ミソラさんの胸の柔らかさをさらに実感させることになって
ドキドキが止まらなくて、砂浜に戻る進みが、すごく遅く感じられて……
「……」
「……」
「…いつもありがとうね、セッカちゃん」
「ど、どうしました急に?!」
「な、なんとなく……」
「………」
「………」
ザバババババッ!!
「?!」
誰かがすごいクロールで近づいてくる?!
ザバァッ!!
「す、すみませんでした!替えの水着持ってきたのでどうかひとつ…!」
アカツキさんだった!
差し出すその手には、赤いビキニの水着が握られていた
途中で着替えるつもりだったのかな?
「た、助かったわ、ありがとう」
「ホントありがとうございます!恥ずかしすぎて、もうもたないかと思いました!」
海から上がる前に着替えれるなら、その方が何倍もいい
「あそこまで触る気はなかったんです!ごめんなさい!」
「そ、そんな気にしなくていいから…むしろさっきの事は忘れて…」
「う…わ、わかりました」
傍から見れば、お互いのわだかまりが解けて、友情が育まれるシーンに見えなくもない
「何かあったん~?待っててもみんな来ないから戻って来たで~」
ホシヅキさんは先に岩場に到着していたらしい
不思議な顔をして戻って来た
「ちょっとあたしの水着が破けちゃって、アカツキちゃんが水着貸してくれたの」
「ほえ~…たいへんやったねぇ
みんな顔が赤いんは、そのせいかな?」
「ま、まあ、そんな感じよ」
「ミソラさんも、隅におけへんねぇ」
くすっ、と笑うホシヅキさん
たしかにちょっとミソラさんに振り回された感じはあるけど
…ともかく、無事に帰れそうでよかった!
色んな意味で、海って怖いなぁ!
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