36・王子少女と、はぎとられしやみのころも
みんなでオイルをわちゃわちゃと塗り合った後
「そろそろ、泳ぎに行かへん?」
「…そう言えば」
「忘れてたわ!」
なんか色々衝撃的だったので、肝心なものが頭から抜けていた
「あ、じゃあわたし荷物見てます」
ヒルヅキさんが真っ先に、荷物の見張りを提案してくれた
「お願いします、後で交代に来ますね」
「実はな~、ヒルヅキ姉さんはカナヅチで泳がれへんのよ」
「こ、こら、ホシヅキ!」
赤くなるヒルヅキさん
んー、その照れを私の手で引き出したかった…
「ほほう、意外な弱点が」
「助けて~、って姉さんに抱きつかれた事もあったなー」
「あ、後で練習して、泳げるようになるからっ」
妹二人に攻められる姉
…かわいい…かしましいしてる……
「泳いだ後は、私も練習のお手伝いしますね」
で、とにもかくにも、泳ぎに繰り出す
………
……
…
海水はひんやりと気持ちよく、独特のぬるっとしたしょっぱさがあった
これが海かぁ…
川泳ぎは得意だったけど、川とは別の感動がある
「あのあたりまで泳いでみますか」
向こうの方に見える、大きめの岩まで泳ぐことを提案する
「あー、あたし泳げはするけど遅いから…時間かかるかも」
「気にしなくていいですよ、時間はあるし」
「うんうん」
「せやなー」
現在、アカツキさん、ホシヅキさん、ミソラさん、私の四人
岩場までゆっくり泳いでいく途中で…事件は起こった
……
…
(た、助けて!大変なの!)
これは…久しぶりの『グループチャット』?!
(…ど、どうしましたミソラさん?!)
(あたしの『みーさん』が…『みーさん』が……)
(お、落ち着いて…『みーさん』がどうしたんです?)
さすがに『みーさん』だけではわからな…
(『みーさん』の衣装がどっかいっちゃったの!)
(ええええええええ?!)
つ、つまり、いつも着ている黒水着が、どっかに流されちゃった、と…
(つまり今はすっぽんぽんって事ですか?!)
(う、生まれたままの姿って言って!)
(一緒ですよ?!)
ちょっといい感じに言っても、現状が改善されるわけではないので!
…それはそうと、どこで落としたんだろ
ぱっと周囲を見回してみるが、黒水着は見当たらない
焦っておろおろしてるミソラさんの後ろに、人影が現れる
「やー!補佐官どの、育ってますかー?」
アカツキさんが、ミソラさんにがばっと後ろから抱きついた
これは…わたしも散々やられたセクハラ攻撃…!
あの体勢から、胸を揉みにくるのがいつものパターン
「ひゃんっ?!」
ミソラさんから、色っぽい声が上がる
「ちょ、ちょっと…今はダメっ……!」
「お、なんか新鮮な反応」
…ああっ!今これ、ミソラさん直に触られているのでは…?!
「ちょ、ちょっとアカツキさん!ホントに今はダメなんですよ!」
「そう言われるとますますいじりたくなっ……
…なんか触り心地がいつもと違う?」
だんだんと違和感に気づいてきたようだ
「あの、今、ミソラさんの水着どっかいっちゃっててっ」
「え、じゃ、じゃあ、この感触は…?」
アカツキさんの頬が赤く染まる
なんとなくだけど、あの顔は、触っちゃダメなところまで
触ってしまったんではなかろうか……
「…あ、いやその、すみません、そ、そんなつもりじゃ…っ」
顔をぶんぶんと横に振って、必死の訂正をするアカツキさん
ミソラさんは、そんなアカツキさんの後ろに回り込み、背中に胸を押し当てる
「ひゃっ?!」
「いいからあたしの前に立って!あなたで隠しながら強行突破するから!」
ミソラさんも真っ赤になりながら、涙目でお願いする
「あの、あ、当たってるんですけど…」
「当ててなきゃ見えちゃうじゃない!」
ごもっともではあるけれど、アカツキさんの耐性は予想以上に低かったようだ
目がぐるぐると回りだして、湯気が出る程赤くなって、口があわあわしだして…
「……ご、ごめんなさいいいいいいいいいいいいいいっ!」
「あ、待って!逃げないで!」
全力クロールで、ミソラさんから離れて砂浜へ戻っていってしまう
「…図らずも勝ちましたね、アカツキさんに」
「う、嬉しくないー!」
三人とも攻めも守りも強いわけではなく、アカツキさんは攻められると弱い…と
役に立つかどうかわからないデータを収集する私
「ううう…」
胸が見えないように隠し、泣きそうになってるミソラさん
「とりあえず、潜って水着探してみますね
見つからなかったら…わ、私が隠しますから!」
私は、ミソラさんが安心できるように、肩を持ち優しい声でそう言った
お読みいただき、ありがとうございます!
よろしければ、広告の下にある☆☆☆☆☆を★★★★★にして
評価してもらえると、たいへん嬉しいです!
さらに面白いと思ってくださった方
同じく広告の下にある『ブックマークに追加』も押して頂けると
とてもとても嬉しいです!