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33:王子少女は聞いてみたい!

ミソラさんたちにひっつかれたまま、サインを書いてもらう作業に移る

サインは店で一冊本を買うと

持ち込み含む好きな本の表紙に書いてもらえるシステムだ


「やっぱりキミは二巻だよね、『みーさん』の初表紙だし」

「はいっ!」

ミソラさんは満面の笑みでサインを書いてもらっている

…元気になったなら、そろそろ腕離してもらえないかなー…


「王子は外伝の十巻…本編以外を選ぶの珍しいね」

『ちょっと思い出があって』

あの時、ミソラさんが話題にしてた外伝を読んでみたんだけど、思ったより面白かった

外伝は一話完結なので、本編の知識さえあればどこからでも読めるのもいい


「『筋肉ごはん』?!え、僕の最も売れてないマイナー作品を?!よく持ってたね!」

「えっへん」

先生はマイナー作品を持ってきてくれて嬉しかったらしく

カグヤちゃんの頭を笑顔でなでなでする

…それたぶん『筋肉』ってついてたから買っただけです、先生!



サインを頑張って書いている先生

あまり手慣れておらず、自分が最初に書いた見本を見ながら丁寧に筆を運んでいる

そういえば、さっきサインもらってた子供たちは、この合間に先生へ質問していたなぁ…

…………


『先生にはありますか?責任が重くて逃げ出したくなる時が』

なんとはなしに、言葉がぽろっと口から出た


「そりゃあもう、締め切りから逃げたい時なんてしょちゅうさ」

『あはは…まあ、ですよね』

作家はそれがしんどいと聞く


「本当に逃げちゃった事があってね、その時は大騒ぎだったよ」

『え?!』

「そうするとね…代わりの子が『ひかやみ』書きはじめちゃってて」

代筆、ゴーストライターというやつだろうか


「世の中、自分がいなくても回るもんなんだ、と思ったよ」

「……」

業界の闇を聞いた気がする…

一緒にとなりで聞いているミソラさんの、私の腕を抱きしめている力が強くなる


「だからさ…辛かったら誰かに押し付けて、逃げちゃってもいいんだ」

『え…そ、それ、いいんですか?』

「いいよいいよー…『責任だけ』しか感じてないならね」

「………」

王子は、どうだったんだろうか

そして、私は…どうなんだろうか


(あなたが責任を感じることは無いのよ)

(あたしが引きずり込んだんだから、あたしの責任よ)

(そ、そういう訳にも…)

そっと『グループチャット』で耳打ちされる

気にさせちゃったかな…


「はい、できたよ」

「ほわぁ…ありがとうございます!」

サイン本を受け取り、ぴょんぴょん飛び跳ねるミソラさん

今や、国の命運を握るような立場にあるけど、中身は結構な子供だと思う


「もー、おねえちゃんはしたないわよ」

「す、すみましぇん…」

妹にたしなめる姉

この言い方は多分、お母さんのマネなんだろうなぁ

何でも真似たい子供の感覚


そうして、サイン会は無事終了

私たちは、しばらく空けていたお城に戻ることになった



…………

……



道中、とくに何もなく帰宅

帰宅じゃないな…帰城?

私の本当の家は別にあるんだし


「おかえりなさーい!」

帰るやいなや、メイドさんたちが飛びついてくる


『はーっはっはっ…はぶっ?!』

胸で顔を抑え込まれ、高笑いがキャンセルされてしまう


「ああ~ん、寂しかったぁん」

「ちょ、ちょっとよしなさいっ、王子が息できないじゃない?!」

『ん、んんん~?!』

いや、まったくできないわけではないけど、息苦しい


「アカツキずるい…うちもやりたいっ」

や、やばい…

三女のホシヅキちゃんにこれされると、間違いなく窒息する…!


「お前たち!」

そこに救世主の執事パパさん登場

頭から彼女たちを引きはがしてくれる


「いいかげんやめとけと言っただろう?!」

「お、王子が…王子がかわいすぎるのがいけないの!わたし悪くない!」

周りの人たちの目線が痛い

ああ、でも、帰って来たなぁって感じがする


『ははっ…ただいま!』


色々あったけど、もうしばらくは王子様を頑張ろう…うん!

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