25:姉は妹を救いたい!
次は16時まで、1時間ごとの投稿予定です
合鍵を使い扉を開け、中に入る
そこにいるのは…薄緑の瞳、金髪ロングのまだ幼い少女
服は嫁に出た時に着ていたドレスのまま
薄汚れており、あまり洗濯もされていないだろう事がわかる
「お父さん?!お迎えって、お父さんだったの?!」
「ああ、辛い思いをさせたな…」
「うう、ぐすっ…おとうさんっ……」
父は娘を抱きしめ、二人は涙を流し、再会を喜ぶ
「おっと、そうはいかねえ!」
そこに高速で駆けてくるフレーダ
「チャチなトリックで出し抜いたつもりかぁ?
残念ながら俺らは、パワーでゴリ押せるんでなぁ!」
「クズが…!」
「裏切者には容赦しねぇ、宣言通り、目の前で娘をぶち殺してやらあ!」
怒るフレーダが二人に襲い掛かる
しかし、その前に執事が立ちはだかった
「…させませんぞ!」
「城の執事じゃねえか…クビにでもなったか?
邪魔するんじゃねえ!」
「ぐああああああっ?!」
片手で殴るだけで、体格のいい執事の身体が、簡単に宙に舞い
窓の外へと飛ばされていった
「カグヤ」
もはや一瞬の判断が生死を分ける状況
「う、うんっ」
「飛ぶぞ」
父は娘にそう一言告げ…
「ふえええっ?!」
彼女を抱えたまま、窓から身を投げた
「な、なにい?!死ぬ気か?!」
落下していく親子
しかし、そのまま地面に激突はせず…
ばさあっ!
巨大な傘が広がり、落下速度は抑えられ
南の塔の方角へゆっくりと移動していく
「なるほど……落下傘か…用意万端って訳か」
…よく見ると、さっき吹っ飛ばしたはずの執事も
ちゃっかり落下傘で降りて行ってるのが見える
「…だが!」
ガシャアアアン!!
フレーダは部屋の中にあった花瓶を割った
そして、割れた陶器から、大きめのとがった破片を取る
「超人と化した俺は、空中の敵を仕留めるなんざ訳ねえのさ!」
「…!」
破片を持った片手を上げ、落下傘に向かって投げようとする
「くら…!」
が、しかし…
カッ!!
ターゲットを見つめる瞳に、唐突に大量の光が入り込んでくる
「ぐああああああ?!な、何だまぶしっ…!」
「よし、目つぶしが効いたわ!
母さん、いい狙いしてるじゃない!」
「ふふ、私、目はいいのよ」
南の塔の最上階、双眼鏡でフレーダを見ていたミソラと、彼女の母はガッツポーズをとる
街の四本の見張り塔には、古代遺跡で発掘された
マジックアイテム「サーチライト」が置かれている
遠くの方まで光を当て、街に近づいてくる敵を発見するためのものだが…
光を絞って顔に当てられれば、目つぶしにも使える
「くそっ…!おいお前ら!飛んでるやつを狙え!撃ち落とせ!」
下階の部下に命令するフレーダ
部下は彼がやったのと同じようにナイフやとがった石などを手に構える
(ビックリ作戦いくわ!)
(みんな、合図とともによろしく!)
(はい!)
(3・2・1…リンク!)
(「「「わーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」」」)
「?????!!!!」
「お、おご…ぐほおっ…?!」
突如、フレーダと部下の脳内に、大音量の声が響く
三半規管がマヒするような感覚に、抑えきれない吐き気が発生する
『グループチャット』に敵を呼んで
呼ばれたと気づかないうちに突如大声で叫び、感覚を狂わせ、その後にすぐ解除
会話スキルを攻撃に変化させるテクニックである
落下傘は無事に南の塔に到着、『花』の領主は娘と共に最上階へ
「ミソラ!カグヤを確保できたぞ!」
「されたよ!おねえちゃん!」
「よし!ここから攻勢よ!」
もはや人質を気にする必要は無くなった
「全力で、あの外道をぶちのめすわ!」
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