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22:王子少女は繋がりたい!

そうこうしているうちに、夜を迎える

輝く星空の中、屋根に上り、私たちはいつ出てくるかわからない少女を待つ

もし、ドラ息子の部下たちが、塔から私たちを見つけても

天体観測と思われるように、望遠鏡のフェイクも用意した


「流石に夜はちょっと肌寒いわね」

身体をさするミソラさん

そりゃまあ、いくらこの時期とはいえ、そんな黒水着一枚では寒いと思う


私は、下でお兄さんたちにもらった差し入れを、ミソラさんに渡す


「あたたかいミルク、いただいちゃいました」

「あら、ありがと」

「お礼はお兄さんと執事さんに」

執事さんは体形が目立ちすぎるので、下で待ってもらってる


「この貸本屋、『ひかやみ』の揃い具合かなりいいじゃない

 外伝全巻揃えてる人、なかなか無いのよ」

「店長のお兄さんも、なかなかのマニアね」

「ふふっ、そうですね」

私は塔のてっぺんと、その先にある星空を見つめる


「あの時も、こんな星空でしたよね…」

「そうね…」

ヒルガオ村を旅立った日の夜…あれからもう二か月が過ぎた

彼女の手に、そっと手を重ねる


「出てこなかったら、次は昼間ね」

私の肩に頭を預ける彼女

力を抜いて、けれど見逃さないように、ただじっと待つ


「出てきてほしいですよね…」

妹のカグヤちゃんの事を思うと、本当に早く助け出してあげたい


…そんな想いが通じたのか


「…あ!」

塔の最上階の窓から、少女の横顔が出てきている


「出てきましたよ!ほらほら!」

「カグヤ…!」

ミソラさんは慌てて望遠鏡を手に取り、塔の少女を見つめる


「登録、できたわ」

「やりましたね!」

「じゃあ、いくわよ!『グループチャット』…!」

いつもより力のこもった声

…そして姉妹の再会の時が来る


(カグヤ…聞こえる?)

(え…うそ、この頭に響くやつ……おねえちゃん…?!)

(そうよ、久しぶりね)

(わあー!おねえちゃんだー!)

カグヤちゃんは、私たちの姿に気づいたらしく

窓からブンブンと、私たちに向かって手を振っている


(あ、手をブンブンするのは控えて!下の人に見つかっちゃうかも…!)

(ほあ…そ、そうだね…)

ドラ息子の部下が一人、同じ塔の下の階から街を見渡している

『雪』を裏切らないように、交代で『花』を監視しているようだが

上の階で、手をブンブンしているのは気づかなかったようだ


(お隣の人、だあれ?)

(『お姉ちゃんの上司、カナタ王子だよ』)

(知ってるー!いんせきおうじさまー!)

(『ははっ、ボクも有名だねぇ』)

あだ名が隕石王子なのもすごいな…カナタ王子


(…大丈夫かしら?フェーダに変な事されてない?)

(されてる…)

(!)

(くっ…あの外道め……!)

(毎日、なんでか頭ぐりぐりぐりーって撫でられるの

 やめてー、って言ってるのに…)

(………)

……と、とりあえず

変ではあるが致命的な事はされてない…と思いたい


「で、どうするの…?

 ともかく、セッカちゃんの言う通り、妹と会話できるようにはなったけど…」

「明日です…

 明日の同じ時間に、再び、カグヤちゃんと話をしましょう」


(色々話したいことはあるけど、今日はつなげるだけね)

(また明日、同じ時間にお話できる?)

(うん!この時間は、ほとんどみんな眠ってるし、大丈夫だよ!)


「とりあえず、大丈夫みたいよ」

「ありがとうございます

 明日の会話次第で、私たちが次に何をすべきか、わかります」

彼らが立ち向かってくれるか、どうか


「えっと…そろそろ、何をするつもりなのか教えてくれる?」

「あ、すみません、なんか変に取ってつけた言い方してましたね」

別に隠す話でもなかったのに


「あのですね…」

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