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21:王子少女は観察したい!

「さて…カグヤちゃんが出てくるまで

 どこかで待たなきゃいけないんだけど…」

自分たちの馬車の中に戻り、地図を広げて確認する


「街中で、塔の最上階の窓が見える場所…」

窓は街の外側と内側、両方に一つづつある

両方の窓を同時に見ようと思ったら、横から見るしかない

横から見るためには、街の外側ギリギリの場所になって…

それを満たす地点は…


「あ」

あった…!しかもちょっとなじみ深いところ…



…そんな訳で、例の貸本屋さんにやってきたのだった


そこは茶色い屋根の三階建て、ちょっと高めの普通の家屋に見える

…が、中にはかなりの本が、整理して詰められている

ここは、大きな貸本屋には種類で負けるが、料金が高くないのがいいところ


「おや、セッカちゃん久しぶりだね

 また何か借りてくかい?」

エプロンを付けた長髪のお兄さんが、私を見つけ早速話しかけてくる

彼が店長であり、基本的に彼が一人で店を回している


「『ひかやみ』の外伝とかどう?そろそろ二十巻が出るし、読み応えあるよ」

そこまで読む気はないかな…

というか、そろそろ外伝が本編の巻数超えそうなんですけど?!

…まあ、それは置いておいて、本題だ


「すみません…突然で申し訳ないんですけど」

「なんだい?」

「…屋根をお貸しいただけませんか?!」

言われた意味がわからないのか、彼はぽかーんとした表情になる


「え?どういう事…?」

そこに執事さんがさっ、とやってきて、フォローに入ってくれる

 

「突然の事で申し訳ない

 我々、実はこういった者でして…」

執事さんは事前に用意してあった、王家の印章の入った紙を取り出す

これは、私たちが王家の使いである証明書


「王家査察団…?!」

「はい」

「ちゅ、中央のお偉いさんが、どうしてここに…?!」

いきなりの事で、びびるお兄さん


「『花』の領主たちが、任された領地をきちんと運営してるか、査定しに来ました」

「そ、それはそれは…お勤めご苦労様です」

「それでですな…できれば見晴らしのいい場所から、街を観察したいのです」

「…ああ、そういう事ですか…

 たしかにウチの建物はちょっと高さがありますからね」

執事さんの解説で、理解が進んでいく

本当は高さよりも、位置の方が重要なんだけど


「私、今、お城に勤めてるんです」

「へぇぇ、すごいじゃないか!」

王子様の影武者やってます!とは、とても言えないけど…


「見晴らしのいい場所…と聞かれた時に、ここを思い出しまして

 それで無茶かもと思ったんですけど、お兄さんにお願いを…」

「屋根のレンタルは初めてだけど、そういう事ならいいよ!」

「あ…ありがとうございます!」

うん、前に会った時から優しそうなお兄さんだったし

OKしてもらえると思って、ここで聞いて正解だった


「レンタル料はこれぐらいで、よろしいですかな?」

「え…こ、こんなに?!うちの収入二か月分はありますよ?!」

「秘密にしておいてもらう料金こみですからな」

「中央の羽振りすげーなぁ…セッカちゃん、いいとこお勤めできたんだな」

「あはは…今回が特別なだけですよ」

大げさじゃなく、国家存亡の危機だし…


ちなみに、ミソラさんは店長と交渉をしている間

フードをかぶって、服装を隠し、できるだけ目立たないようにしていた

『花』の家出娘としては、一般領民に見られたくはないのも

顔を知られてそうだし



交渉も成立し、余裕が出たので、少し新作コーナーを覗いてみる

あ、『俺のモノになれ』の続刊が出てる!

読みたい…けど、ちょっと表紙がえっちいから

借りるの躊躇って、結局一巻目も読めてないんだよね


迷う私の背後に、にこやかな店長の視線が突き刺さってる…気がする!

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