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19:考える王子少女

『グループチャット』での秘密会議

ミソラさんの家族の事情を聞かせてもらう


(うちの親はあたしの妹、カグヤを『雪』への政略結婚の道具にしたのよ)

(よりにもよって、あの『雪』の息子…フレーダによ?!)

(あ、あの残念息子に?!)

(まだ十歳になったばかりだったのに…)

(十歳?!)

(あたしは、親と喧嘩して家を飛び出したわ)

(…そんなあたしを拾ってくれたのが、王子だったのよ)

(……)


『『花』と『雪』で諍いがあったのはわかった

 …ならばなぜ、王に報告しなかったんだい?』

「しましたとも…しかし、中央から兵が来る頃には奴らは退散しておるのです」

「あげくの果てに『『花』はそんな野盗や盗賊の仕業を

 他領主になすりつけようとするのか…断じて許さんぞ!』

 などと言い出す始末…」

彼の顔に疲れの色が見える

長年、相手の強引さ、いやらしさに辟易していたのがわかる


「よいではないですか、外国と争ってくれるのなら

 花の領土には仕掛けてこないし、内乱も起こらない」

…けど、それは…

他のすべてがどうなろうと、知った事ではないという…

『花』と『雪』しか救われない道


「…今は王子が帰って来たのだし、もう無理に従わなくてもいいと思うのだけれど?」

「隕石王子ですか…」

カナタ王子…色んな呼び方されてるな……


「小競り合いが起こるたびに、そこに隕石でも落とす気ですかな?

 田畑がめちゃくちゃになりますぞ」

「……で、でも!」

ため息を吐き出す領主

考えなしの娘と王子に、あきれるように


「『雪』の息子が、こちらに来ております」

「!」

「我が娘、カグヤを人質にし、東の塔の上から我々を見張っている

 王子にそそのかされて、寝返ることなど無いように」

…そうか、それであの塔だけ様子が違ったのか

外敵を見張るための塔を、『花』を見張るために使うなんて…


「彼のユニークスキルをご存じですかな?」

「味方への強力なバフ効果…としか知りません」

「味方の戦力を十倍にするスキル…『一騎当十』(テンカウント)」

十倍…え、十倍?!

何それインチキじゃない?!


「正直、わたくしは王子に勝ち目はないと思っております

 隕石などよりよほど使いやすい」

…本物の王子なら、無詠唱で魔法も唱えられるらしいし、彼に負けないと言えそうだけど

私ではそれを証明することはできない…


「…ただ、もし、彼を打ち倒し娘を…カグヤを助けていただけるのでしたら

 王子の言う通り『雪』を助けるのはやめましょう」

ぐっ…

妥協したつもりだろうけど、偽物王子には、荷が重すぎる……


「彼の選んだ精鋭十人ほどが、塔を占拠しております

 …戦うには百人単位の精鋭が必要だし、カグヤの命も危うい」

「……」

「お話は以上です

 王子が来たことは、周りには秘密にしておきます

 好きなだけ滞在するとよいでしょう」

領主は、これで話は終わりだと

ソファーから立ち上がり、妻を連れて退席しようとする


『…あと一つだけ聞いておきたい』

私は、それを呼び止め、問いかける

大事なことを、聞いておかなきゃいけないんです


『カグヤさんの事はどう思っているのですか?』

「領土の平和のためには当然の犠牲です

 娘も本望でしょう」

私は、質問に答える領主と奥さんの、手を見つめる


「……」

……なるほど


『…お考えはよくわかりました』

「では、失礼」

応接室を出ていく二人

しばらく、静寂の時が流れる



「……」

(あー、もう!我が親ながら腹が立つわ!

 すっかり腰が抜けちゃってまあ…!)

周りに人がいないから、大丈夫な気はするけど

念のため『グループチャット』での会話を行う


(倒すのは厳しいとして…なんとかして、カグヤを救出するしか無いかしら…)

(あの子を、屋敷内でかくまってれば、父さんたちも戦わざるを得なくなって…)

(…いや、それだとたぶんダメです)

(え、セッカちゃん…?)

私の直感でしかないけど、無理やりはダメだ


(さっきからちょっと変よ?

 あたしの脚本にない台詞、いっぱい喋って…

 特に最後のカグヤの事とか)

(…ちょっと思うところがありまして)

今、必要なのはきっと……


(まず、妹さん…カグヤちゃんと、話をしましょう)

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