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107/108

107・王子少女は繋ぎたい!

そんなサイン本をもらってる様子を

ちょっと離れたテーブルから見ているのは、『星』と『花』の領主

ちなみに、二人ともピカピカに磨いた鎧の姿で剣を持ってる

…いや、パーティだって言ったよね?磨けばいいって訳じゃないよ?


「…ファンってのはよくわからねーな、あんなサインが嬉しいもんかな?」

「サインというのは、自分の名前において、その相手を認めるという証

 お前も、剣の腕が認められれば嬉しいだろう?」

「まあ、認められるのは嬉しいな」

肉をもりもり食べてる『星』の領主

そのしなやかな筋肉は、維持するだけでも大変だと思う

逆に『花』の領主は、必要な分だけ食べている感じだ


「よし、じゃあもっと鍛えるために俺と勝負を…!」

「よかろう」

「マジか?!やったぜ!」

とりあえずで吹っかけたバトルが了承されて、驚きと喜びを見せる『星』の領主


「そのかわり、王子と戦うのはやめておけ」

…おや?


「あー…毒くらって魔力が弱くなったって話は、『風』のやつに聞いた」

「魔法中心で戦うスタイルだった王子に

 魔力を失う以前と同じような戦いを、望んでもしょうがなかろう」

おおお、なんかいい方向に話が進んでいる…!

頑張ってミソラさんパパ!私、戦わずに済ませたい……!


「でもよぉ、それでも気合で隕石呼んだんだろ?すげーじゃねえか!

 おれはその気迫と勝負してえんだよ」

「その気迫は、民を守るときにしか発揮されんよ」

「そっかー…まあ、そうだよなー……」

だから、全力のお前と戦いたくて敵に回った!

…なんて、行きすぎたバトルマニアにはならないでね…お願いだから


「気迫なら、うちの夫も負けてませんよ?」

旦那を自慢したい奥さんが会話に混ざってきた

つくづく、最初会った時と印象変わったなぁ…この夫婦


「そうだな…王子の代わりにおっさんのやる気が上がったし

 これはこれでいいとするか!」

お、なんとか納得してくれたようだ

生きながらえることができて、ほっとする私



「な、なあ…オレはこの場に呼ばれてよかったのか…?」

コガラシくんが、不安そうな顔でこっちに近づいてきて、そんなことを言う

彼は目立ちたくないのか、地味目のタキシードを着ている


『キミは間違いなく、今回の功労者だ

 逆に呼ばないわけにはいかないよ』

刑務所暮らしが長いせいか、ちょっと不安になっているようだ


「コガラシ殿!これ美味しいでありますよ!」

薄桃色の綺麗なドレス姿のナギさんが、お皿に大量の肉巻きを乗せて持ってくる

そして、それをフォークで刺し、コガラシくんの口に運ぶ


「どれどれ…?」

コガラシくんは何の疑問も持たず、それを私たちの前でぱくりと食べる

…唐突に見せられるイチャイチャっぷり


『ふふ、お熱いことだね』

「…はっ?!」

自分が恥ずかしいことをしている事に、私が指摘してようやく気づく


「祝言はいつあげるのがよいかな?」

「オヤジもからかうなって!」

後からやってきた『風』の領主は、にこやかな笑顔でそう話す


「お、『風』のやつも来てるじゃねーか!」

『星』の領主が新たなターゲットを見つけ、こちらにやってくる


「俺としょ…」

「勝負はもうしないからな!このまま勝ち逃げさせてもらう!」

「えええー…、そんなずるい」

…おや?コガラシくんと『星』の領主、勝負したことあるの?


「そう言えば、前に一度だけ戦った事あるって聞いたわね」

「森で隠れながら、時間めいっぱい使って戦った

 その状況にしないと、勝ち目がなかったし

 もう同じ手は通用しないだろうから二度とやらん!」

『ははは…』

諜報員なんて、真っ向勝負で戦うタイプじゃないしね


「似たような事やってきたウインドフォールは、ぶった切ってやったけどな!」

「それでいいだろ、もう?!」

ああ、そうか…あの時もう、すでに諜報員の戦い方は覚えられてたのか…

彼の勝ち目は本当にゼロだった訳だ



『……』

「…どうしたの?」

『ああ、ごめん、ちょっとトイレに』

私は、少し席を外しお手洗いに行く


……


そして帰って来た時

使い終わった皿を洗い場に運ぶ執事さんと、ぶつかりそうになった


『おっと、ごめんよ』

「いえ、こちらこそ失礼をば」

お互いに謝った後、ふと、皆が食事を取りながら談話している会場を見る


「ずいぶんと騒がしいですな」

執事さんは、そんな光景を見て、そんな言葉を漏らす


『これが、彼の見たかった景色…なんだろうね』

「……そう、ですな」

この場所に来れなかった彼を思う


「ありがとうございます…きっと彼も、この景色を見て喜んでおります」

『…そうだと、いいね』


あなたの想いは繋ぐことができました

どうか、安らかに…

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