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105/108

105・王子少女は断罪する

結局、OKを出すことにした

これが『星』の領主なりの生き方なのだろう

できる限り、それを尊重する


「あ、ああ!やるとも!チャンスをくれるだけでありがたい!」

にっこり微笑む『星』の領主に、私はかつてないほどの寒気を感じた

こ、この威圧感…!ウインドフォールは気づいてないの……?!


「馬鹿なやつだ…」

「試し斬りされるだけなのにな…」

『風』の親子が、小声でそう言っているのが聞こえた


「すまんな!『風』も色々やるつもりだったろうが、先に戦わせてくれ!

 気力の落ちる前のこいつと、勝負したかったんだ!」

「それは構わないが…万一にも負けるなよ」

「おう!」

『星』の領主に連れられて、王の間を出ていくウインドフォール

その、十五分くらい後に…


「ぎゃあああああああ?!」

地下からウインドフォールの悲鳴が聞こえてくる

ここの地下には兵士の訓練場があったはず…そこでバトルってるっぽい?


「はははは!まだまだこんなものじゃないだろう?!

 俺に諜報員とやらの実力、見せてくれよぉ!」

…うわぁ……

『星』の領主の、舌なめずりでもしてそうな声が聞こえて、私は身震いした

王子こんな人と勝負してたの…?!

…ぜ、絶対に勝負は受けないようにしよう…うん



それから、『雪』の領主が目を覚まして、五分ほど経って…

アワユキさんとアジサイちゃんを呼び寄せた


「…まったく、カグヤちゃんはやりすぎなのですよ

 起きるまで待つのに、時間がかかったのです」

まだふらふらな『雪』の領主を、じっと見つめるアジサイちゃん


「…お、お前は!捕まえ損ねた聖女の…?!」


ぱあんっ!


アジサイちゃんは平手打ちを『雪』の領主にかます


「お前の…お前たちのせいで……どれだけの人が、苦しんだのか…!」

目に涙をあふれさせて、こいつがもう少しまともだったら…!と憤っている


「『雪』が行き詰っているのは、私のせいだけではないだろう?!」

今さらながらの言い訳をする領主


「…少なくとも、今、貧困に苦しんでる民を、三割くらいには減らせましたわよ」

「お前は…!」

アワユキさんは、『再生計画』と書かれたノートを持ち、それを読みながら告げた


「奪う事しか能の無い、一族の恥さらしですわ」

「たまたま商売が上手くいったからって偉そうに…!」

「何も上手くいってないのに偉そうなだけの、叔父上に言われたくないですわ」

煽る煽る…さすがにこの状況で怯えたりはしないようだ

怒りの方がはるかに勝っている


「怯えきって国境で暮らしていた小娘が、今さら…!

 男にしか『雪』の継承権は無いのだ!お前ではどうにもならん!」

その件はアワユキさんにも話した

すぐに家族と相談したそうだけど…


「叔父上からの干渉が怖くて、隠しながら育てられた男の子は

 実はいっぱいいるんですって、親戚に」

「…な?!」

「母上に聞いたら、わたくしにも秘密だったらしくて…びっくりでしたわ」

「くそっ、騙しやがったな!やつらめ…!」

「わたくしには継承権も、男の子がひそかに育てられているのも、内緒にしておいて

 問題が起こった時に秘密を明かそうと、そう思っていたって…」

なるほど…話しておいてほしかったけど、警戒するのも仕方ない

私たちの計画が、上手くいくかはわからなかったんだし


「だから安心して、裁きを受けてくださいな」

「そ、そんな……!」

自らの優位性も完全に失われ、愕然とする『雪』の領主


「…王子、処刑されるまでの間…彼に断食をお願いできますか?」

アジサイちゃんが、彼に追い打ちの提案をする


「食べ物が無くて苦しんだ、彼らの気持ちを

 少しでも領主に味わっていただきたいのです」

「?!」

『……了承しよう』

それでも、気が晴れることは無いだろうけれど…

少しでも慰めになるのなら


「ここはわたくしが」

執事さんによって、『雪』の領主は猿轡をされる


「…!……!!!!!???!!!」

『牢に連れていけ!兵は常に交代して、決して目を離すな!』

「はっ!」

執事さんと、兵たちによって牢へ連れていかれる領主


…もしかしたら、会話する中で、特別な事情のようなものが見えるかもと思ったが

ただただ自己弁護を繰り返す彼らに、もはや同情の余地は無かった




――それから十日の後、『雪』の領主と、ウインドフォールの処刑が、『雪』の地で行われた

『雪』は、天候の荒れやすい地方だが、その日だけは青空が広がっていた

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