104・王子少女は会わせたい!
それぞれの領地からから戻ってきた領主たちに、彼らを会わせることにした
恨み言の一つもあるだろうし、ここは存分にぶちまけてもらいたい
―――まず、『花』の領主と『雪』の領主
赤鎧を着た壮年の戦士という出で立ちの『花』の領主
奥さんと、娘のカグヤちゃんが入ってくる
ガッ!!
呼ばれるやいなや、『雪』の領主すぐ側の床に、剣を突き刺す
…あれ?ここ石畳だったはずじゃ…
隙間に刺さったのかな……?
「…ひっ?!」
「殺して構いませんかな?」
「けじめをつけさせるにはまだ早い、やるなら国民の前でだ」
「ひいいいいいいっ?!な、なぜだ…気弱な領主だったはずなのに…?!」
「もう夫は負けませんわ、強き心を取り戻したのです」
こんな変身を遂げるとは思わなかっただろう
私もびっくりしたからなー…
「は、はは…こんな事をして、私の支持者に復讐され…」
「…てやー!!!」
脅しをかけようとしたところ、問答無用でカグヤちゃんが掴みかかり
領主の腕を持って地面に叩きつけた
あれは…確か背負い投げって言うんだっけか
「ぶばっ?!」
思いっきり背中を打ち付ける『雪』の領主
「こ…この……バツイチの分際で何を…」
「とおー!!!」
そして、二回目の背負い投げ
「がはっ?!!」
一回目よりも上手く投げられている
これは痛そう…
「や、やめっ……?!」
「せいやー!!!!!」
三回目
「ぐはあああっ?!!!!!!」
石畳に投げられるのは相当堪えるだろう
領主は急激な痛みに耐えきれなくなり、白目をむいて気絶した
「ぷんぷんだよ!」
言いたいことは色々あったのだろうけれど、彼女には上手く言えないし
言ったところで相手が聞く耳を持たないだろう
だからただ投げ、恨みを込めて叩きつける
聞かない相手に身体でもって伝えるやり方だが、それで正しい気もする
「あ、あああ……」
気絶した『雪』の領主を見て、恐怖に震えだすウインドフォール
そこに、『風』の領主と、その息子を呼びよせる
「自分の罪は誤魔化さねえ」
コガラシくんは、膝足立ちになり、ウインドフォールと同じ目線に合わせ…
ガッ!!
彼にアイアンクローをくらわせる
「だがお前が、俺と他の四人を誘導してた、ってのは許せねえ」
ギリギリと指に力をこめる
仲間だと思っていた人間が、自分たちを悪に落とすために暗躍していたのだ
決断したのは自分ではあるが、悔しいと思うのは当たり前だろう
「随分楽しかっただろうな…我らをいいように操るのは…!」
『風』の領主は、見たことも無い形相で怒りに震えていて
その手に、あの『魔力充電器』を小型にしたようなマジックアイテムを持っている
バチッ!!
「ひ、ひぃぃぃ?!」
そのアイテムから、はじけるように雷の魔力が放出される
…似たようなものを経験した身からすると…絶対、痛い奴だよあれ
「まあ、待て」
そこに現れて、ウインドフォールの肩をポン、と叩く人物が一人
『あ、『星』の領主くんはまだ呼んでないのに』
『風』の領主たちの次に呼ぶつもりだったんだけど…
待ちきれずに入ってきたようだ
「おい、おっさん、俺とバトルで勝負しろ
お前が勝てたら、放免してやってもいいぜ」
「ほ、本当か?!」
え…そ、そんな勝手に……?!
「俺を騙したことは大したことじゃねえ、許してやらなくもない
俺と戦って勝てたらな…!」
「あ…!ちょ、ちょっとやめなさい…!」
ミソラさんが慌てて止めに入る
…でもこれ、万一の無罪放免を心配してる風には見えないな…
生死を不安視してるって言うか…
「いいじゃんか、こいつくらい…大丈夫、まだ殺しはしないから
バトりてーんだよ、こっちは」
ど、どうしよう…
しかしまあ、『星』の領主の溜まってるものを開放してもらうには
ここで許可をするべき…?
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