水戸藩と黒き影揺らぐ
聖條京から再び魔道列車で移動、途中首都の尾張名古屋に停まるが列車から見た城は、白鷺城を巨大化した様な美しい城だった、金色の鯱は眩しく何か名古屋城とは違う風格を感じる。
「実家の城も立派ですからね」
隣で何故かむくれ面のルーシア、何故に機嫌が悪いのか検討が付かない、数分後に再び走り出し浜松の浜名湖より広い浜名湖近くで停車し、ルーシアとマイケル達が鰻弁当を買ってたが何故か私を見てたが、何かを諦めた様に数個だけ買う三人だが何を期待してたんだ?
再び走り出しスピードを加速し、次の横須賀に到着したが遠くに赤レンガが見えた気がする、そして江戸には停車駅は無い為防護壁に囲まれながら通過し、そして夕方前に到着して近くの宿屋で何故か四人一緒に泊まる。
「何でやねん!」
「恋人は何時も一緒は当たり前」
「たまには良いでしょう」
「そうだそうだ!」
仕方なく四人部屋に成った、因みに選べる夕飯だったのでずんだ餅と水戸牛すきセットを頼んだ、ルーシアとマイケル達は新鮮魚介舟盛り特盛を頼んだ。
私はルーシアの舟盛りが食べたいが、私にそんな度胸あればもう一歩違う恋人に成ってるだろう、まあ素肌は見てるが後は行動だけだが再び言うが私に度胸は無い。
水戸牛すきは柔らかく、すき焼も何か日本のすき焼とは何か醤油か砂糖に、若干此方が美味しく感じた…………何かダシ風味が少し隠し味に有る様な。
マイケル達は舟盛りもおかわりした、宿屋の女将が腰を抜かしたが見なかった事にした、ルーシアは争奪戦には健闘したがなかなかマイケル達の、スピードには勝てなかった模様。
「うぅ~余り食べれませんでした」
「普通の女の子は、満腹に成ってる量だと思うよ」
「しーくんと出会う前なら、確かにあの量は食べてませんよ…………何か、そう何か開放的に成ってから前よりも沢山食べてる気がします」
開放的に成ってて、姫だった頃は抑えてたと言ってるもんだよ。
*実際は抑えては無いですが、装備の一部関係により食欲が通常よりも増してますが、それはマイケル達に出会った辺りから発動してますし、とある装備を着けてる限りは体型は太りません。
翌朝ルーシアの香りがする髪が、顎近くに有る抱き付くにしたってもう少しキスとか出来る位置に顔が欲しい、少し力を入れ朝のギュとハグをすると背後で寝てたグレイが目覚める。
「マサさんおはよう」
「おう、グレイおはよう」
「・・・・・・まだ眠たい、しーくんもう少しギュして」
起きる気無いだろうルーシア、まったくたまに寝坊助に成るからな………前はしっかりしてたとから、言い訳してたが……………本当かなぁ~。
朝食も選べるらしく、私は味噌汁に水戸納豆に味海苔だが一応言っとくが、国産意外の海苔を私は認めないし、国外のは怖いので何となく手を出したくない。
有明海の海苔が一番だったな、だが此方はそれを越える旨味を含んだ味海苔は素晴らしい、ご飯を作らなくて良い解放感は私に束の間の休暇に成った。
朝食後起きないルーシアと、留守番のグレイを置いて大王スルメイカを見に言ったが、何故か鬱陶しい感じのマッスルオジ達が居た。
「漁師は筋肉が全てだ、筋肉を鍛え海を制する、そしてイカ野郎は俺達に屈服する筈だ!」
「そうだぜ一郎!」
「流石大将!」
「流石船長!」
「ぐぁ~はははぁー!」
何か薄い本の悪役みたいな、笑いをするゴツい海坊主達が港で暑苦しく居た、下半身は赤褌(あかふんどし)姿の野郎共。
「あんなので、倒せると本気で思ってるとは片腹痛い」
「マイケル、聞こえる様に言えよ……………どうせマイケルなら、ゴロツキ位軽く捻れるだろ?」
「誰がゴロツキダァ!」
「あんたらだよ、フンドシ半裸変態海坊主」
「ぶち殺す!」
「野郎共、あんなヒョロ小太りを捻ってやれ」
「おうよ」
「伊達家御抱えの漁師の実力を、思い知らせてやるぜ」
軽く肩を慣らし、手足を軽く解してから走り来る筋肉ダルマを迎え撃つ。
「何とかパーンチっ」
フンドシ一丁の、股間に蹴りを繰り出す。
「卑怯な…………グェ!」
「何とかパーンチ」
「騙され………グェ!」
股間と思わせて、脇腹に蹴りを放つ………股を閉めても意味はないよ。
「卑怯な!」
「六蔵しっかりしろ、まだ股間ではないぞ」
「玉が…………俺の息子がぁぁぁぁぁぁ……………」
そしてマイケルの方はと言うと、何故か屍の様に成った海坊主の塊の上に仁王立ちし、勝ち誇って居た。
「戦いは何時も、虚しいもんさ…………フッ」
「何の騒ぎだ!」
「御用だ! 御用だ!」
何故か囲まれたが、捕まったのは何故か海坊主達………一般人に手を出し、返り討ちは自己防衛として見逃された、何人か現場を見て何時も威張り散らす海坊主が鬱陶しかったらしい。
「彼奴らは漁師の面汚しだったから、スッキリしたぜ兄ちゃん」
「そうだぜ自称、伊達様の家名を使って好き放題だったからな」
「酒代踏み倒す、常習犯だったかはな」
「ずんだ餅と牛タンで、筋肉育つかよ!」
何やら鬱憤がたまってらした模様、大王スルメイカは冲に居るらしいが近くに余り人が居ない浜が在るらしいから、釣竿を使いマイケルと浜に向かい新しい食材の大王スルメイカを、釣るべく巨大モンスター専用釣竿と擬似餌を使い暫く待つと、食い付いたのは巨大なスルメイカと、スルメイカの触手は噛んでるまたもやブルースリヴァイアサン・メルビレイだった。
「久々だなマイケル」
「またから揚げとか、食べれそうですね…………さて後は任せ…………」
私は迷わずに、白鯨で得た魔法を組み込み、光魔法のレーザーを座標固定し空間に向かい、無数のレーザーを大王スルメイカの急所に向け魔法を放つ。
「ワームレーザー・クラッシュ!」
空間魔法のワームホールを連携し、無数の座標から一気に急所に向け、無数の座標から私が放ったレーザーの閃光が貫き、額下が千切れ崩れ落ち波が立つがアイテムにより、そのまま次のターゲットのブルースリヴァイアサン・メルビレイの目と、さっきよりも魔力質量を増やして脳天と眼を狙い、座標固定しぶっ太いレーザーを三方向に放つ。
「・・・・・・・・!」
水中のせいか、声が出てないが魔法は発動し減衰は在ったが、ブルースリヴァイアサン・メルビレイの眼を貫き最後の閃光は至近距離の、ワームホールから貫き一撃で砂浜に穴が開いて、温泉が吹き上がった………私は腕で汗を拭う。
「ふぃ~疲れたな」
「・・・・まったく、疲れた顔してませんよマサさん」
だが背後を見れば、漁業の道具が流されたとかキレてる漁師や、大王スルメイカが居なくなり喜ぶ漁師や海女さん達が居たが、さっさと食材をしまい三十六計逃げるに如かずと、その場を逃げ出した。
「ありがとよ、小太りの兄ちゃん」
「ありがとう、猫聖霊と太った人」
「有難う、我が領地を救ってくれて、本当に有難う」
「許さんぞ! 俺の船がぁ~!!」
「俺の干してた投網がぁ~!!」
「俺が干してた、干物がぁ~猫に食われてる」
良く見たら、ちゃっかり干物らしきのを咥えたマイケル、此はマズイ…………本気で足場が悪い砂浜を爆走しながら私とマイケルは逃げ、ルーシアを連れてさっさと北へ向け走り逃げたのだった。
そして数日後、秋川藩の北海の沿岸に来た私達は、ちょうど日本で言えば北海は太平洋側であり、ルーシアの実家の国に近い海域でありあのマグロや、ブルースリヴァイアサン・メルビレイと最初に戦った海域だ。
因みに北海に在る無人島は、大和神国領だが一番近い陸地はドラルーラの海岸都市の、マンチェルスターだったりするが、他にはルーシアの話によれば王にルーシアを推してる派閥の一つらしい。
ルーシア王推し派閥は、基本は大和神国友好勢力であり同盟国と足並みを揃えるのを基本とし、平和維持を望む派閥らしい。
基本姉弟揃って、同じ意志だが王子派閥は過激派が多く、女性蔑視傾向が強く根強い過激思想が強いらしい。
まあ日本の皇族とは違うシステムだし、魔力を大量に王は必要な為に男女関係なく試練を切り抜けた後継者が、継ぎの王に成るのは決まった事で有りルール変更は許されないらしい。
「不正が知れれば、始まりのドラゴンの逆鱗に触れるらしいですよ」
「たぶんルーは、不正されて試練を邪魔されたと思うよ」
「だとしても、私はもうしーくんのお嫁さんに成る事意外、興味ないですからね」
「うん、何時か旅を終える時は、一緒に定住先で家族に成って一緒に居ような」
「待ってるからね、しーくん」
未来は分からないが、きっとルーシアと一緒な気がする、そして今居るのは日本で例えるなら気仙沼湾の辺りだ、この辺りは北海の影響によりたまに寝ぼけた秋刀魚が残り、泳ぎ北へ行く筈が仲間に取り残される秋刀魚が居るらしい。
しかもその秋刀魚は、普通の秋刀魚よりも脂が普通よりも上質で、殿様すら数年に一回献上される黄金太刀の秋刀魚を心待ちしてるらしい。
「美味いぜ、今年も狙ってるが中々釣り上がらんのさ」
「釣り上げたら、殿様から金一封だから狙わないとな」
「マグロよりも、黄金太刀秋刀魚だな」
一応普通のマグロが居るが、モンスターのマグロに食べられる為とモンスターマグロの方が、旨味が段違いで違うから市場にマグロのモンスターが出たら、大騒ぎらしい……………そんなに騒いでたかな? あの、聖條京の商業ギルマス……………普通だった気がするかな、少しサーモンマグロにはテンションが異常だったが。
「旅の人よ、悪い事は言わん…………北に行くのなら、海路か空路で隣国に行きなされ」
漁師のじい様が忠告する。
「何故ですか?」
「この頃人攫いや、盗賊被害が…………聞いてるか? 兄ちゃん」
「聴いてますよ」
不審な顔でじい様は、私に言う。
「なら何故、ワクワクした顔をしておる」
「気のせいですよ、気のせい」
実際はワクワクしてます、だって盗賊と言えば冒険者が問答無用にいじめて良い敵であり、マイケル曰く「盗賊が所持する物は、持ち主が分からないのは貰えますよ」と言われた、大抵盗賊のお宝にはたまに掘り出し物が在ったりする。
人間欲しくないから、倒したら換金に奉行所に渡してお金に換金すれば良い、大抵の盗賊は死刑らしいから、たまに火山噴火の硫黄採掘の島流しも在るらしいが。
「まあ秋刀魚は簡単に釣れんよ、旅の方よ」
だが私とマイケルとグレイは、じい様の言葉を無視し船を借り少し冲近くで釣りをする。
「来たぞ!」
「此方も」
「俺もだ」
「・・・・・何か酔いました……………」
ルーシアは心配だったから、普通に乗せたがやはり酔ったみたいだ、まあ私も少し酔ってるが…………船は自前を造って、重力制御して揺れない船で釣りをしたいな。
「秋刀魚だぁー!」
「ヨッシャー!!」
「入れ食いだぜ!」
「・・・・・・・・」
ルーシアは半分以上、ダウンした為もう一回釣って最後にした、次は酔わない船を何とかイメージで造ろう、車は失敗したが……………。
「ワシにくれるのか?」
浜に戻り、秋刀魚を一つ渡した船を借りた駄賃だ。
「マイケル後は頼む……………」
「船酔いとは、若いのは情けない…………」
「・・・・・・・・」
ルーシアは無言で海に向け、出ない物を出そうとしてた。
「僕は平気なのに」
「俺もだ」
「・・・・・・」
「マイケル達と、一緒にするな…………うっ…………」
こうしてじい様に感謝されたが、私はそれ処ではなかった。
「暫くは船には、乗るものか!」
こうしてドラルーラ近くに来て、そしてルーシアに忍び寄る暗い影が迫り来る。
次回に続く。
マイケル∶何で炭焼き?
雅史∶伝統的な秋刀魚の炙り焼きだ、塩を少々振って遠火の強火で秋刀魚を焼いて、余分な脂を火に炙り落とすのさ…………そして美味いこんがりした、秋刀魚が焼ける香と食欲を掻き立てる香り、さて反対側に返して両面焼きだ。
グレイ∶ごくり…………。
マイケル∶ごくり…………。
ルーシア∶中々難しいですね、タイミングを間違えば生焼けか少し黒く焼けてしまいます。
雅史∶まあ慌てない慌てない、マイケル皿用意。
マイケル∶あいよ!
雅史∶グレイ、醤油の用意。
グレイ∶完了!
ルーシア∶私は?
雅史∶ルーは食べる用意。
ルーシア∶・・・・・何か私だけ、仕事が無くなりました。
一人一匹の秋刀魚を目の前にし、私は数十年ぶりに試しに異世界秋刀魚を口にする、ホクホクとした昔食べた秋刀魚とは違う身の美味さ、醤油と秋刀魚のハーモニーは最高だ。
無我夢中で秋刀魚を食べる三人、ルーシアは箸の使い方がマスターを完全にし、マイケル達に遅れは取らなく成った、骨を炙り最後まで食べるマイケル&グレイは私やルーシアの残した秋刀魚の骨や、腸(はらわた)を食べ尽くしたのだった。




