大樹のダンジョン其の二
青い肌にゴブリン腹の、どう見てもゴブリンぽい悪魔の洞窟グレムリンと、野バラ二体のモンスターを倒し私達は大樹のダンジョンの奥に、ゆっくりとのんびりと先に進むのだった。
「あの赤く光るラッパみたいなの、胃薬の材料に成るらしいぞ」
「僕には必要無いですね」
「俺もだな」
「・・・・・・」
何か、グレイ達に言いたげなルーシアさんは、チラチラと私の顔をたまに見ては再びグレイかマイケルを見る、マイケルはそそくさと何かを感じ先を進み、私は何も見なかった事にし手にしてる、アップルティーをゆっくりと飲む…………ペットボトル飲料は、異世界では貴重だな…………ルーシアさんが物凄く、私をガン見して来るし、紅茶は渡さないぞ。
「むぅ~」
何かあざとい可愛い声と、何やら視線を感じるが気にしては成らない、気にしたら欲しいとかあざとく言って来る未来しか見えん、たぶんそんな筈だ…………たまに顔を赤くして私を見てるが、ケーキ欲しいからの演技だよね?
「買ってあげれば良いのに」
「なら、グレイが買ってやれば…………」
「僕にはマサさんみたいな、買い物出来るスキルとか無いよ」
「俺も無いが、気軽にマサさんに「買ってあげれば」とは言わんよ」
「・・・・・その割に、前にカリカリをマサさんに買って貰ってたよね?」
ジト目でグレイがマイケルを見ると、マイケルはグレイにブーメランを投げ付ける。
「グレイも、この前おやつを買って貰っただろうが」
「・・・・・・さて、何の事やら……………」
惚けるグレイ、だが雅史は毎回買う訳ではないし、何時もルーシアのお願いを聞く程甘くはない、可愛くても幼子ではないので何でもは与えないのだ、それが可愛い美少女だろうと雅史は身内には特に猫には甘いが、仲間だろうが甘い気は起こさない雅史だった、そしてルーシアの内心をまだ知らない雅史でもある。
「まだ休憩には早いよ、ルーシアさん」
「一人だけ、美味しそうな飲み物はズルい」
「ズルくはない、普通だよルーシアさん」
そうズルくはない、水分補給に自分で買った物だし、ルーシアさんも水分補給に水筒を持ってるから、私はズルくはないのだよ。
「あとアレどうすんだ?」
「倒さないのかな、モンスターではないけどヤバそうなの」
マイケルの「アレ」とは、人面樹の妖怪の類いらしき物体だがモンスターではないので、倒して良いのか分からんので放置してる、因みに人間に種を植え付け肉体を苗床にする妖怪らしいぞ、何か成人年齢ゲームモンスターみたいな妖怪らしきのだが、基本火や光が苦手らしい。
しかも狙われるのは、イケメンの男や容姿端麗な豊満ボディーの美女や美少女らしいよ、因みに容姿端麗のルーシアさんだがまったく狙われてる気が今はしない、やはり胸なのだろうか?
「・・・・今、誰か失礼な事を私に思いませんでしたか?」
何か威圧感がルーシアさんから感じる、私達三人は同時に横に首を振った…………たぶんだが、同じくルーシアさんが狙われないのは胸だろうと思ったかも知れない。
「本当ですか?」
更にジト目を強めるルーシアさん、一応言っとくがルーシアさん位の大きさはストライクゾーンでは在る、まあ恋愛対象には無いがそれに今はルーシアさんの保護者的な者だし。
それにルーシアさん自体何も知らないし、甘党以外は勇者装備を装備する変わり者の家出お嬢様程度だ。
可愛いが旅の仲間だし、そもそもアッチも恋愛対象に私を見てないだろう、普通にイケメンとか好きな女の子だろうしな。
私は一応妖怪らしき物を警戒しながら、何故に付いて来るのか判らずに居たがマイケルやグレイを狙っては無いし、あの妖怪らしきのは魔力や生命エネルギーが高い人間に、種を体内に流し込み生命エネルギーや魔力を吸い取り、体内内部から養分を奪い取り最後は苗床にした身体を突き破り木に成るらしい。
「魔力が高いねぇ~」
「私は高く無いですよ、一般的な庶民の様な魔力らしいですから」
何か物悲しげに、ルーシアさんは言う。
「本当かな?」
「どう鑑定しても、マサさんに近い魔力だろうよ」
何か私の魔力が見えてるらしい、グレイとマイケルだが私にはまだ? のままで魔力のキャパシティーが、私には量りきれない。
「雅史さんも、庶民の平均的魔力量何ですか?」
何故かルーシアさんに、興味津々に聞かれるが一般的な魔力キャパシティーが分からないし、そもそも私の魔力キャパシティーの数値が分からないし以上、平均なキャパシティーかも分からないし。
「私には聞かれても、困るな…………量った事ないし」
「私は量られましたよ、庶民の平均的魔力が少し育った程度と言われましたが」
何故か更に、顔を曇らせるルーシアさんだが、だからって優しくはしないよ頭は撫でとくが…………何故か、頭を撫でたら顔をムッとされた。
「私は、子供では在りませんよ!」
「まだ未成年だな」
「そうだよルーシアさん」
「そうだぜ、ルーシアさん」
「・・・・・十六歳以上なのに……………」
不満たらたらなルーシアさん、だが日本ではまだ未成年何だよ日本基準だと十八歳辺りでもね、真っ赤な顔で不満な表情をするがもし日本で結婚してたら、この位の年齢の息子や娘が居る年齢だな、社会人からは更に異性と関り合いは無くなったな、積極的には行きたくないしな……………そこまで好きと言える、女性の魅了を感じる女性が居ないのと自分磨きをする気がまったく無いな、多趣味に生きてたのが原因だが。
まあ異世界だが、伊岡の冒険者ギルドマスターがあのスキンヘッドの厳つい顔で結婚してるし、私もワンチャンある可能性も有るかも知れん…………たぶん、まあ無ければ旅をしながら定住地を探すさ、色々な惑星にも行ける能力も在るし。
宇宙はたぶん異世界も広い、色々な出会いや景色が待ってる筈だ、まあこの星の旅をする個人的な移動手段は考えてる、まあキャンピングカーとかキャンピング専用中型車3tトラックとかね。
のんびりと進みながら、再び現れた洞窟グレムリン三体と赤黒い小さなゴブリン腹の鬼が三体現れた、赤黒い肌のはモンスターではあるが妖怪の類いらしい、しかも厄介な事に餓鬼道に堕ちた魂でも厄介な強欲の色欲の餓鬼、まあ早く言えばエロい鬼だよコイツら。
普通は強欲の人間等が、堕ちる餓鬼道らしいが色々とその生前の行いにより、変わる飢えや苦しみの地獄を受ける亡者(もうじゃ)らしい、色欲の渇きてどんな業(ごう)だよ。
「ルーシアさん、あの鬼は一番ルーシアさんには危ないから、グレイの側に」
「・・・・・え!? 珍しい、ゴブリンではないのですか?」
私達は一斉にルーシアさんに言う。
「アレは餓鬼だよ、悪霊の類いの」
「アレは餓鬼だ、ゴブリンではない」
「アレは餓鬼だよ、悪霊のモンスターだけど人間を襲うよ集団で」
ルーシアさんの顔色が、どんどん血の気が無くなって行く……………。
「世界には、こんな怖いモンスターが……………」
「普通にモンスターは、畏怖(いふ)の対象だろうよ」
まあ私は、モンスターが居ない世界だったが、転生かも分からないが死にたくはないので、モンスターも人間にも油断する気はない、此処は日本ではないから。
「マサさん行くぜ」
「斬り込み突撃よろしく、マイケル」
「僕は後方支援だ、ルーシアさんもね」
「ハイ」
マイケルを援護する為に、実は他の星の魔法らしきファイアーボールが在ったしかも、日本語にする火炎球のファイアーボールではなく、火裂球と書いてファイアーボールだ…………つまり炸裂する炎の玉だ。
「喰らえ、火裂球(ファイアー・ボール)!」
「え”!?」
何かふと「え”」と言う、ルーシアさんによそ見をしてしまった、だがルーシアさんは鳩が豆鉄砲を食らった顔をしてるが、私はよそ見をしたせいでコントロールミスして、モンスターの居る中心に放ってしまった、餓鬼の一体に向けて放つ予定だった火裂球(ファイアー・ボール)が、地面に着弾し炎の爆風と熱波を撒き散らす。
爆風の衝撃波で吹っ飛んだ餓鬼の一体を、マイケルが素早く斬るのと同時にグレイが連続狙撃で残り二体を、ビームライフルで正確に頭を撃ち貫き倒す。
洞窟グレムリンは火が付き、燃えて居た…………何故か盛大にデカパンまで炎上してた、だがそれにトドメを刺したのはルーシアさんだ、何かたどたどしい動きだが。
「アッ…………えぇ~と、アイス・アロー!」
氷が鋭い棒状に成り、数本の矢じりの様に成ったアイスアローをルーシアさんは放った、燃える洞窟グレムリンをの胸や頭や腹を氷の矢で貫き倒した。
「意外に容赦無いな、ルーシアさん」
「だよな、グレイ」
「可愛い顔して、意外に容赦無いなルーシアさん」
「私よりも、皆さんの方がえげつないですよ」
強張った笑顔で、私達は「えげつない人達」とルーシアさんに言われた、そんなにえげつないかな?
「あと可愛いとか、テレるから言わないで下さい……………雅史さん」
帽子を深く被りながら、ルーシアさんが言うが照れる程の事は言ってないぞ。
再びスコップが落ちてたが、それはルーシアさんに渡した、ルーシアさんが初めて手にした倒したモンスターの戦利品だ、今回は闇と地のエーテル魔石を手に入れた。
闇は当然餓鬼のドロップアイテム、洞窟グレムリン三体分の地と闇のエーテル魔石だ、だがマイケルがふと言う。
「さっきも在ったから、回収してますよ…………変な場所に落ちてたので」
「それ、早く言ってくれないマイケル…………」
「それで何か、マイケルさん拾ってたんですね」
私は全然見て無かったが、ルーシアさんは見たらしいよマイケルが魔石を回収してるの、あと闇は高エネルギーでありダークマターとか、宇宙的な闇エネルギーの一つであり地のエネルギーは重力や大地を癒したり、火のエーテル魔石と融合してると、原子炉二十基以上のエネルギー質量が在るらしい、滅多に手には入らないウルトラレア魔石らしいよ、何でこんな知識を知ってるか自分自身も良く分からないが。
「まだ行けるな、先に進むか」
「また変なモンスターが、出て来たりしてな」
「マイケルさん、それフラグだから」
「・・・・・言うなよグレイ」
「?」
フラグの意味が分からないのかは知らないが、ルーシアさんが『何ですかそれ』て言いたげな顔をしてたが、説明が面倒だし聞かれても無いし言わない事にした。
途中また餓鬼やら野バラやらがやって来る、しかも二体以上で来るし宝箱を見付けたりマイケルの宝箱感知スキルで、掘り出した赤い宝箱の中身はあの不味い回復アイテムだ、それはルーシアさんにあげた…………何か普通にお礼を言われたが。
「この野バラや餓鬼を倒した時の、財宝の地図八枚どうします?」
「マイケル、諏訪岡の大迷宮とこのダンジョンのこの先の地底湖と、何か変な場所や他のダンジョンとか在るが、そもそも地図を消費して探すのはマイケルに任せた」
一応私は試しに、財宝探知や財宝発掘スキルを習得と何かに使えると思い、地面を掘る魔法とかも覚えたが、財宝探知や発掘スキルはMAXレベルのマイケルの方が高い確率で、レアアイテムを手に入れ易いがトレジャーハンター職業が、何故か習得されなかったマイケル。
因みに財宝発掘・探知レベル1だが、駆け出しトレジャーハンター職業をステータス欄に、何故か有った……………此で無職から解放されたが、何故か野良魔道師やら駆け出し武芸者が、職業欄に在った……………駆け出しとか野良とか頭に付いてるがそれ、職業なのだろうか?
「まあ、マイケルが見付けて発掘に、スコップ使いながら私が財宝の宝箱近くの地面を魔法で掘削すれば良いだろう」
「・・・・・俺だけ、労力が多い気がするな……………」
マイケルから目線を剃らし、グレイと目が合うがグレイもマイケルを見ない、グレイもマイケルと同じスキルを持ってそうな気がする、一応スキルは自己申告にしてるし余りステータスを覗き見ない事にしてる、私にはマイケルとグレイのステータスはまったく見えんが、ステータス鑑定スキル持ってないし持つ理由が無いし。
モンスターは能力画面で、何となく名前が分かる程度だし…………私のレベルはまだ七十位だしな、諏訪岡の大迷宮からそんなにレベルは成長してないから、また諏訪岡の大迷宮に行ってゴーストシップで、レベル上げしに行かないとな。
その時まで、ルーシアさんが仲間かは彼女次第だけどね、それなりにモンスターとの戦いを重ねれば変な冒険者に対して、自己防衛位出来る力は得るだろうし、ルーシアさん可愛いしモテそうだしな。
こうして私達は、大樹の迷宮奥の一つ地底湖を目指し歩き始めたが、疲れたからモンスターの反応を確認してから、十時の休憩だ…………少し遅いがまだ十時だからセーフだ。
「今日はドーナツね、はいウエットティッシュ」
「・・・・・毎回手を綺麗にしますが、素手よりグローブとか着けた…………」
「食いにくいし、お腹壊すよ…………菌とかで」
「キン?」
何で転生者達よ、何で雑菌とかの知識を異世界人に教えて無いのさ!
「雑菌だよ、病気や体調不良の元さ」
「物知りですね、マイケルさん」
「・・・・・まあな(マサさんに怒られたく無いからな、汚い手で食事とかするなて、後で説教されるしな)」
ルーシアさんにミルクティーを渡し、皿に紙ナプキンで取り分けたホワイトイチゴチョコのドーナツと、エンゼ○クリームドーナツにポン・デ・リングの五個載ったドーナツに、ルーシアさんは目が輝く。
「美味しそ~」
「美味いドーナツしか出さん、無駄に高く上げ底ドーナツはカス」
「? あげぞこ?」
「気にしないでくれ」
「はあ……………?」
何処ぞのコンビニとは、敢えて言わないで置こう…………上げ底の嫌われコンビニとは。
「うん~美味しい♪」
「俺はカニカマが柔らかいのが良い」
「クリーム入り、カリカリも最高だよ」
因みにグレイのは、猫おやつのカリカリのチーズやミルク味のだ!
「ミルクティーも、甘くて美味しい~」
何か幸せ全開なルーシアさん、私も普通タイプのチョコドーナツを食べ甘味成分を補給した、異世界でも食べれる幸せよ……………もっとモンスター狩って売って、もっと稼いで高いスイーツもや酒やつまみも買おう、そろそろ酒が飲みたい。
暫く私達は休憩した、ブルーシートの上でのんびりと…………ついでにのんびりし過ぎて、昼も此処で取る事に成った。
ダンジョンの探索は午後からスタートに成った、仮眠や休憩の昼休みを含めてからスタートだ。
こうして、初日の午前は過ぎたのだった、何故かルーシアさんが私をガン見してたが、分からん…………ルーシアさんの行動が分からん、さっき脇に抱えたから怒った?
分からんし、考えても仕方ない……………そう仕方ないよね。
次回も続く。
ルーシア∶今日のお昼のコレなんですか?
ルーシアの前には、ふっくらした揚げ物が皿に二つ置かれてた、近くにはお好みで食パンやコッペパンが置かれてる、その近くにはソースとレモンの液体瓶にマスタードらしき物が在る、ルーシアはマイケルやグレイを見るが器用に箸を使い食べてた、ルーシアはたどたどしく箸を使い食パンに乗せソースを掛けて一口。
揚げ物からあふれ出る、モンスター肉のミンチ肉汁とソースとサクサクの衣のハーモニーに、ルーシアは無我夢中で食べた……………雅史に胃袋を更に掴まれてしまったのだった、他にも実は掴まれてるが。
「美味しいです!」
「まあ、スキルのお陰だな」
「僕達のは、チーズ入りだね」
「から揚げもチーズ味在るしな」
雅史はマイケル達から目を剃らした、何故ならそのから揚げは作ったのではなく、某コンビニのから揚げが売ってたのを買っただけだからだ。
「そうだな……………」
マイケルとグレイは、何故か雅史の行動に気付かない、美味しければ何でも良い二人だからだ、こうして昼食は揺ったりとした空気で進むのだった。