大樹のダンジョン
大樹の根の隙間から、大きい巨大なトンネルの様な洞窟にゆっくりと入るが、入った途端にコウモリが出る様な演出も無い、普通のありふれた洞窟入場に成った。
洞窟だから入場ではない気がするがまあ、洞窟のビックな広さだけは驚いた以外は、まったく感動も感想も無い…………剥き出しの洞窟の岩肌、ゲームの様な石レンガや大理石的な壁ではない、諏訪岡湖大迷宮は下に下る度に景色は変わったが、さて今度はどんな迷宮だろうか?
今回はマイケルが先頭に立ち、グレイが後方警戒にした…………またグレイに暴走されても困る、マイケルの次に私が歩き何故か私の背後に居るルーシアさん、何か私が肉壁にされてる様な気がするのは、気のせいだろうか?
「グレイよりも、マサさんの信頼は高いぜ」
「前回やらかした、グレイは前科持ちだからな」
グレイは私に対し、不満げに言う。
「僕を、犯罪者みたいに言わないで欲しい」
「戦犯だしな」
「一人で突撃したグレイが、全て悪いぜ」
「クッ! ………………」
何で、『屈辱的な』て顔をするんだ? グレイ。
ルーシアさんは知らない為、頭上に? が在りそうな顔をしながらグレイを見てた。
「グレイさんは、何をやらかしたのでしょうか?」
「暴走一人ダンジョン攻略」
「馬鹿突撃一人ダンジョン攻略」
「・・・・・・・」
ルーシアさんは何かを察したのか、グレイから目線を外し愛想笑いで、今のを聞かなかった事にしたらしい。
私達は暫くのんびりと歩き、洞窟が暗く成る事も無く不思議な発光する植物の光で、周りを見渡せるが一応ダンジョン左端を歩きながら進んだ。
「何か居るぜ」
「モンスターだよな? アレ」
「初めて見ます、ヘンテコなモンスター」
たぶんゴブリンだろうが、青いゴツゴツとした肌にちょっと丸みの有るゴブリン顔に、赤い長鼻にゴブリン腹と何故か赤いデカパン…………、何処のギャグ要員かな?
だがこのゴブリンらしきのは、片手に剣先スコップを担ぎ150㎝位の身長だ、まだ一体たがどんなモンスターなんだ?
「気付いたらしいぜ」
「マイケル、先手必勝だ!」
「殺られる前に殺るぜ!」
マイケルは険を抜き、大地を蹴る様に向かい行く、ゴブリンらしき物から黒い炎の球が同時に放たれる。
「畜生、モンスターが魔法かよ!」
「モンスターが魔法ですか!?」
ルーシアさんは驚きながら、何故か私の左手を握りながら背後に居る、此では動けないし柔らかく小さなルーシアさんの手が暖かい………ではなく、戦闘や回避が出来ないので飛び来る黒い炎を回避する為、ルーシアさんを抱っこし広い右にジャンプした。
黒い炎が着弾と共に空気を揺らす、ファンタジーのモンスターのゴブリンだったら、こんな魔法を撃つだろうか? そもそも、このモンスターは見た目ゴブリンぽいが、ルーシアさんはゴブリンとは言ってない、イヤ待てよグレイやマイケルすら言ってないな、私はモンスターに警戒しつつルーシアさんを安全な所に降ろす為、モンスターとの間合いを取る。
「意外に破壊力在るぞ」
「モンスターのクセに、魔法とはやるな」
「僕なら、ライフルで一撃で倒すけどね」
グレイが身も蓋もない事を言う、黒い炎を避けながらマイケルは接近する、グレイは狙撃体勢でスタンバイし私は近くにルーシアさんを降ろし、人差し指を伸ばし親指を立て人差し指から、魔力エネルギーを圧縮させ魔法をモンスターに向け放つ。
「食らえ! ウォーター・ジェット」
指先から放たれた水の魔力が、光のレーザーの様に圧縮された水が、音速クラスのスピードでモンスターに向け放たれる。
放たれた水の魔力は、モンスターに直線し胸を貫通したが、倒れる気配が無い。
「直撃したのにかよ!?」
「マサさん、アレは悪魔モンスターだから、普通の魔法で一撃では倒せないよ」
グレイが冷静に言うが、モンスターが悪魔モンスターだと早く教えてくれグレイ。
「まったく、グレイは教えるのが遅いぜ、流石前回のダンジョンでやらかしただけはあるな」
皮肉混じりに、マイケルはグレイに言う。
「マイケルさんだって、たまにやらかすのに」
「煩いぞ、グレイ」
そのたまにはグレイよりはマシ、ダンジョンで単独行動暴走よりは。
「マイケル、敵が来るぞ!」
「スコップ、武器なのかよ!」
悪魔モンスター、名前は何かは……………洞窟グレムリン? 調べたら、そう出たがグレムリンにはまったく見えん、あの毛がフサフサで夜中に………それはさて置き、重い洞窟グレムリンの一撃を剣で受け止めるマイケル、何故か余裕そうに見えるが気のせいだろうか?
「だが俺には、役不足だな」
「・・・・・・・」
何か良く分からん、声を発する洞窟グレムリンは軽く剣でマイケルに押され、最後はマイケルに足で蹴られ吹っ飛ばされ、吹っ飛んで怯んだ隙にマイケルが間合いを詰め真っ二つに斬り一撃で倒した。
「悪いが、俺の敵では無かったな…………フッ」
何故かハードボイルド風に、ポーズを取るマイケル。
「何やってんだ? マイケルは?」
「僕に聞かないで下さいよ、マサさん」
「・・・・・・私は、一人だったら勝てませんでした…………(雅史さんはやっぱり私の……………)」
何かルーシアさんが、青い顔をしそう呟いてた…………、私もグレイとマイケルが居ないと一人では無理だが。
私達は黒い灰に成った、洞窟グレムリンの頑丈なスコップを回収し、先に向け再び歩き出した。
「あそこ、何か部屋ぽくないですか?」
「そうだな、入ってみよう」
グレイが指差す場所に向け歩く、まあ地図を見れば洞窟入口近くの最初の部屋で、モンスター反応も地図を開くと反応する、早めにコレを開き放しにしとけば楽だったかもな、異世界あるあるよりは不便な仕様だな。
「モンスター反応だ、グレイとマイケル」
「・・・・・マサさん、分かるならさっき教えてくれよ」
「だよな、グレイ…………だがお前は探知スキルと、ダンジョン把握スキル在るだろうが!」
「テヘ」
「ですねて、グレイさん人の事言えませんよ」
「可愛くおどけて言うな、グレイ」
グレイとルーシアさんとマイケルなら、まだ『てへ』は許せるが、此が野郎だったら私は殴ってるな、容赦なくグーパンで全力殴りをするだろう、勿論自分も合わせて野郎全員だ…………子供は許すが。
「さて行くかね、お宝在るかな?」
「あったらケーキ、お茶にでますか?」
ルーシアさんの言葉に、私達は答える。
「無いな、今日もね」
「出ないな、マサさん次第だし」
「甘いね、出ないよ毎日なんて」
「がぁ~ん!?」
ショック受け過ぎやろう、それに今日は某日本のドーナツ屋のクリーム入りドーナツと、ポン・デ・リングシリーズだ…………フッフッフッフー、今日はドーナツの虜にしてやんよ、ポ○キーやポテチでも虜に成ったルーシアさん、意外に………チョロいよねルーシアさん。
「ケーキ、食べたぁ~い!」
「今ので、近くのモンスターが反応したぞ」
「おい、ルーシアさん」
「今日はルーシアさんが、やらかす日みたいだね」
「私は、グレイさんでは無いですよぉ~!」
少し声大きくない、ルーシアさん…………だがルーシアさんの声に反応したのか、何かの音が近付く。
「・・・・・・・」
音と共に植物モンスターが、部屋から飛び出て来た………まあ根っこらしきのを器用に蛸足の様に使い、素早く移動する奇妙な薔薇のモンスターだな、普通に野バラのモンスターかな?
「野バラの植物モンスターだよ」
「触手で殴られたら、痛そうだな」
「痛いで済まないと、普通に思いますよ」
元凶のルーシアさんが、冷静にマイケルに言うが私の背後にいつの間にか隠れて言うなよ、ルーシアさんよ。
「まったくルーシアさんは、困ったお嬢様だな」
「まったくだぜ」
「・・・・・何で私、フタリカラ責められてるのでしょうか?」
「マサさんの背後に、危険と分かると直ぐ隠れるからだと思うよ」
ルーシアさんは少し考えてから、グレイに言う。
「だって、雅史さんの背後て隠れ易いから」
「・・・・・・私は、電柱や物置ではないが」
「? でんちゅう?」
ルーシアさんが、『電柱て何ですか?』と顔が言いたそうだ、まあ聞かれても説明はする気は無い。
「触手が来たぜ!」
「忘れてた!」
「また私は…………てアレ?」
今回は面倒だったので、素早く脇に抱え素早くその場を去る。
「何か、荷物扱いされてるきがじすよぉ~」
何か涙声の様な、訴えが聞こえるがあえて無視をし、薔薇蔦の触手を回避しながら安全な場所に退避する。
「私の取り扱い、今回雑ですよ!」
「攻撃されて危ないのに、気にしてられんよ」
「・・・・うっ……………確かに」
ぐうの音も出ないらしいルーシアさん、まあ実際にお姫様抱っこする暇は無いし、危機的状況で色々気には出来んよ、そう色々と……………意外に柔らかいなぁ~何とは言わないが。
ルーシアさんを降ろし、同時にマイケルとグレイが協力し触手を斬る、まあ触手斬りはもう経験済みだ……………..大きさはまったく違うが、再生能力が無いらしく最後はマイケルが一太刀入れ、真っ二つにして倒した。
「触手で俺には勝てんよ」
「そこは僕達ですよ、マイケルさん」
何故か『フゥ』と哀愁漂わせ、何故か剣を地面に突き立てながらカッコ付けるマイケル、そしてマイケルに背中合わせにカッコ付けるグレイ、何がしたいんだ二人は?
「何か、また変なポーズしてるし」
「ケット・シーでも、やっぱり男は……………」
何故か背後から、呆れた声のルーシアさんの声がするが、私の背後に隠れずに本人達に直接言え。
「さて残りを倒すかね」
「ドロップアイテムは、マサさんコレ」
「ハイよ、グレイ…………回復アイテムだな」
野バラのモンスターは、素材庫に入れ回復アイテムのローズアロマはその名の通り、香りで全員の疲労と気力を五割位回復させるアイテムだ、一応貴重なアイテムらしい…………一回使うと、消えてしまうらしいが…………使い捨てか。
「此はなんですか?」
「ローズアロマて、薔薇の香りで回復…………リラックス回復するアイテムらしいよ」
「世界には、私が知らない不思議なアイテムが在るのですね」
私も調べるまで知らなかったよ、アイテムと食材とかしか鑑定出来ないスキルだけど、スキル本結構使えるな……………読むのに時間が掛かるし、使えるか考えてかから習得しないと後悔しそうだし、マイケルやグレイが使える私には不用な日常スキルはね。
戦闘スキルは、読んで理解しても戦闘や特訓や訓練しないと習得しない、まあその為の今回だが……………初心者が入る様なダンジョンぽくだな。
まあまだ奥が在るし、ゆっくり行こう…………因みに二体目も野バラモンスターだった、古い木製の鉄フレームの宝箱の中身はこの、大樹の迷宮の地図と500アイリスが入ってただけだった。
「・・・・・・ショボ」
「何か動物の皮で作った、地図ですね」
「羊皮紙ですよ、グレイさん」
グレイの発言に、ルーシアさんが教えてあげたが、グレイは言う「食べても美味しくないな」と、地図は食えんよ羊皮紙で無くとも…………グレイよ。
再び私達は歩く、不思議に発光するヒダ植物や苔や花や怪しく動く、モンスターに見えない怪しげな影とかを。
次回もダンジョンです。
ルーシエ∶まだ追い付かない…………
ルーシエは疲労により、途中に在った冒険者や旅人が使う小屋で一休みした、濡れた服を脱ぎ捨て新しい服に着替え、誰かに身体を汚されない様に身を潜める場所で深い眠りに就いた。
ルーシエは涙しながら、深い眠りの底に就いた。




