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TSローグライクダンジョンへようこそ  作者: ななぽよん
【三章】小麦畑が広がるダンジョン
63/74

63話:【集えぼっち共】クリスマス女子☆パーティー♪

 のじゃロリ吸血鬼チャンネル・クリスマススペシャル! ぱふぱふどんどんどん。

 ということで、今日はクリスマス。正確にはクリスマスイブ。いいのじゃよ! 細かいことなんて! どうせ元々はキリストも宗教も無関係な祭りを……おっと誰か来たようじゃ……。


「ティルちー! 準備できたー!?」

「んむ。もこもこじゃ」


 午前中の終業式が終わり、わちは帰った後に着替えて着ぶくれスタイルになった。

 子供は風の子と言うが、わちはのじゃロリじゃし、闇の子なのじゃ。うっ闇魔法出るっ!

 それはさておき、本日の企画じゃ。

 クリスマスで生放送で何をする?

 クリスマスはね、何ていうか救われてなきゃあダメなんだ独りで静かで豊かで……。と、孤独のクリスマスも言っていた気がする。つまり、クリスマスで生放送なんか観る者は超絶暇人だけなのじゃ。

 それか年末のお仕事が終わってない可哀相な人。うっ……。

 そんな人たちがわちらの放送に求めるものは何か!? 数あるクリスマス放送の中で観てもらえる生放送とは何か!?

 そう。わちのチャンネルにおける強みとは、美少女である。

 わちはもちろん、超絶スレンダー美少女の北神エルフ、まるでもうすぐ200万人にも届きそうなVユーバーっぽい美少女が顕現化したかのような南さん、元々ポーション美人だったのにさらに磨きをかけた星野さん。おまけに妹。さらに普通っぽい子好みの方には竹林さんや、ちかごろ流行りのオタクに優しいヤンキー風な子好みの方に轟さんも取り揃えました!

 そんな女の子たちに求められるのはそう!

 女子がただわいわいしてるだけの配信である!


ニッシー『おいすー。ひま?』


 女子がただわいわいしてるだけの配信である!

 女の子が集まれば特別な企画などいらぬのだ。男っていうのはね、女の子同士がわいわいするだけで癒やされるんだ。女の子がそこに居ればいいのだ。

 女の子だけが居ればよいのだ!


ニッシー『遊ぼうぜー』


 ということで、北神家でクリスマスパーティーが行われる事になった。

 クリスマスパーティーと言ったらプレゼント交換。

 わちはニッシーからのLIMEを既読スルーして肩掛けバッグにスマホとプレゼントを入れた。


「ティルちーはプレゼント何にしたの?」

「みんなが喜ぶアイテムじゃ」


 誰に渡るかわからないプレゼントは実用性が高い物が良い。さらに好みが分かれない物ならなお良し。プレゼントのおよその目安は約2000円の取り決め。わちはちょうど良いものを持っていた。

 妹の抱えるプレゼントボックスは……なんかでけえな。

 それは北神家の送迎車のドア横幅ギリギリのサイズだった。邪魔なのじゃ。


「プレゼントはでかければでかいほど良い」

「妹よ。舌切りすずめって知っとる?」

「あれそもそも大小関係なく仕返しする復讐モノでしょ」


 そうかな……そうかも……。

 幸い今日の送迎車は各家に一台ずつ送られたようで、大きなプレゼントが座席を占領していても問題なかった。

 庭にずらりと黒塗りの車が並ぶ。北神家の財力こわい。

 そして執事のセバスチャンに並び、ふわふわのファーコートを着た綺麗なお姉さんが待っていた。え、誰この美人。


「弟がいつもお世話になっておりますわ」


 どうやら北神くんのお姉さんのようだ。

 どうもこちらも大変お世話になっておりますじゃ。その北神くんはわちのダンジョンのせいで美少女化してエルフになってるけど。すまん。

 でもその北神エルフをノリノリで着飾ったのはお姉さんのようだ。異世界エルフ風クリスマス衣装になっていた。クリスマスツリーみたいだ……。


「いよぉぉおお! ポン! メリクリ~!」


 妹よ。(つづみ)どこから取り出した?

 そしてメリクリの雰囲気皆無なのじゃが?


「どうよこのクリスマスプレゼント」

「本気か」

「嘘だノリで持ってきた。ティルちーにやろう」

「いらんのじゃが」


 ……ぽぽんぽん。

 くそっ。ちょっと楽しいのじゃが。

 みんな座席に着いたところで乾杯をした。かんぱぁい! ノンアルコールシャンパンしゅわしゅわじゃ。


「みなさん、今日はお集まり頂きありがとうごじゃいますのじゃ! そしてわちらの放送を観てる寂しいみんなも、わちらと一緒にお祝いするのじゃ! めりくりするのじゃー」

「めりくりー」


 配信のチャット欄をちらりと覗いたら、美術部の先輩が書き込んでいた。勉強しながら観てるぞーだって。

 それに混じって寂しい男どものコメントも流れてきた。ティルちー生意気だぞと書かれてしまった。ふふん。わちはえらい吸血鬼だからの!

 ただの女子クリスマス会に興味を持つ人はそれなりにいるらしく、あっと言う間に100人の視聴者数を超えていた。配信告知してあったから、配信開始前から待っている人たちもいた。


 わちがMCしてる間に、フルーツたっぷりなケーキが取り分けられた。席に戻ってもぐもぐする。

 は! 轟さんの隣に座っている南さんが虐められてる! いや違った。ハンカチを胸元に突っ込まれてるだけだった。


 みんな気ままに雑談しながら、コメントを拾って答えていく。

 北神エルフに求婚する人が多い。

 そして南さんの水色髪を気にする人も多かった。

 ぬ? わちの話題は?


 そしてパーティーゲーム! いえーい!

 割り箸が用意された。これはあれじゃな。王様ゲームってやつじゃな! えっちなゲームじゃ! だけどここにいるのはみんな女の子だから問題ないのじゃ。


「ティルちーゲーム!」

「うん?」


 何か知らないゲームが始まった。


「当たった人はティルちーに何でも命令できます!」

「なんじゃと?」


 何かそのルールおかしくない?

 みんなゲームのルールに何も口を出さずに、次々に棒を取っていく。

 え、なんで? 取った割り箸には何もマークが付いていなかった。


「ティル主だーれだ!」

「わたしー!」


 いきなり星野さんが当たってしまった!


「それじゃあまずは軽くー、ティルちーは私の膝の上に座るー」

「なんじゃいつもどおりか」


 わちは星野さんの膝の上に座った。後ろからぎゅむっと抱きしめられる。あまりにも自然にぬいぐるみ化された事で、チャット欄がざわついた。

 うるさいのじゃ。わちがぬいぐるみ扱いされるのは仕方がないことなのじゃ。弱肉強食なのじゃ。


「次ー、ティル主だーれだ!」

「あ、は、はいっ」


 ほっ。南さんか。南さんなら安心じゃ。


「わ、わたしとずっと親友でいてくらしゃい!」


 にこー。にぱー。

 わちと南さんは手を握った。南さんお持ち帰りしていい?


「ティル主だーれだ!」

「はーい! また私ー!」


 うぐっ。星野さんが手を挙げた。


「私もー! ティルちゃーをずっとぬいぐるみにしたーい!」

「拒否権は」

「命令は絶対だしー」


 いやまあぬいぐるみ扱いは今まで通りじゃし……。


「ティル主あーたし!」

「いまズルしなかった?」


 妹の要望……なんじゃ?


「そろそろまたあたしをヒメお姉ちゃんと呼び給え」

「うぐっ」


 なあなあでごまかせてたと思っていたのに、こやつ忘れていなかったのか!

 ひ、ヒメお姉ちゃん……。


「じゃあ次のティル主、ノースちゃん!」

「わたくしですか?」

「いま指名しなかった?」


 北神エルフはもはやゲーム性に頓着しないらしい。んーと色っぽく指を唇に当てて考えたあと答えた。


「みなさんに闇魔法を見せて上げて欲しいですね」

「なんじゃと……」


 今日はコウモリの翼を背中に付けてるし、闇魔法の魔導書も持ってきている。

 配信のみんなに見せて良いのか? 見せるのじゃ!


「ぱたぱたー! きらきらー!」

「おぉー!」


 宴会場をぴかぴかしながらわちはぴゅーんと旋回した。その様子を妹はカメラを動かして追う。


「そして闇魔法じゃ!」


 わちは闇の感情を放出した。

 闇のクリスマス……。リア充死すべち!

 ずもももも。わちの身体が闇に覆われていく……。

 だが、わちは気づいてしまった。今のわち、リア充じゃん!

 ぴかーん!


「闇魔法消えてもた」

「黒いの出てましたよ」


 ぱちぱちぱち。わちは拍手の中、星野さんの腕の中へ着地した。


「次! まこちー!」

「えーおれは何もな……あっ」


 変なこと思いつかなくていいのじゃ轟さん。


「ティルミリシアLIMEスタンプ作ってくれよ。絵上手いんだろ?」

「じゃと。妹よ」

「お姉ちゃん」

「ヒメお姉ちゃんよ」


 お姉ちゃん呼び諦めてくれんか?


「断る。だってこれティルちーへのお願いゲームだから。ティルちー自分で描いて作ってね」

「なんじゃと……」


 なにその恥ずかしい命令!


「次もこもこー」


 竹林さんは目を輝かせた。


「ティル様! なんでもいいの!?」

「な、なんでもではないのじゃ……」

「ポッキーゲームしよう!」


 なんか急に王様ゲームみたいなこと言い出しおった。

 ま、まあ、いいけど?


「ノースちゃんと!」

「なんでじゃ?」

「ティルちーとノースちゃんのポッキーゲーム!」

「なんでじゃ?」


 うむ? うむ?

 混乱してる間に、わちと北神エルフはポッキーの両端を咥えた。ノースちゃんの金色まつげ長い。


「チャット欄も盛り上がって参りましたー! アップでお届けします!」

「ん? んん?」


 なぜ北神エルフは抵抗しない?

 なぜ諦めた顔をしておる?

 なぜちょっと頬を赤らめておる?


「スタートぉ!」


 まあ、ポッキーを端から食べていくだけじゃよな。ぽりぽり。

 顔が近づいてくるけど、北神エルフじゃなあ。いや、北神エルフはわちらの中で一番の美形だ。よくよく考えると、女子と沢山知り合ったが今でも嫁にしたい人トップのままだ。女子たちの癖が強いんじゃあ……。

 そう考えるとドキドキしてきたのじゃ。あ、もうすぐ唇と唇がくっつくのじゃ。いかんいかん。


「おっとごめんティル様!」


 竹林さんが非常にわざとらしく、わちの頭を押してきた。

 んにゅ。


「じ、事故じゃ」

「そ、そうですね……」


 なぜ照れる北神エルフ。事故だと言っておる!


「よっしゃあ! ナイスティル様!」

「よっしゃあじゃねえのじゃ」


 やれやれ。わちは立ち上がろうとしたら、星野さんに捕まった。


「私もー!」

「酔ってる?」


 待ていかん。いかんぞ。南さんもこっちをじっと見ている。南さんは親友枠と信じてたのに!


「ぷ、プレゼント交換タイムじゃ!」


 ぴゅーん。わちは闇を(まと)って逃げ出した。

 ふう危ない危ない。生配信中にわちの貞操を汚されるところじゃった……。

 北神エルフとのあれは事故だからノーカウントじゃ。よし。


「プレゼントー♪ プププレゼントー♪」

「なんじゃその歌は……」


 妹が謎の歌を口ずさみ、そしてそれが伝染していく。

 プレゼントを回していくが、これいつ止めるの?


「プププー……誰かストップ言って」

「すたーっぷ」


 ぴたっ。


「これわたくしのは自分のですね」

「あ、じゃああたしのと交換ね。はいっ」


 こ、こいつ……。妹はさらりと北神くんのプレゼントを不正ゲットしおった……。


「開封! 待て、一人ずつ開けていこう」


 妹がカメラの前に立ち、北神くんからのプレゼントの包みをがさがさと開いた。


「こ、これは指輪! ノースちゃんからの婚約指輪! いつ結婚する?」

「婚約指輪じゃなくて、幸運の指輪ですよ。付けてると少し運が良くなる効果です」

「すでにめっちゃ運の高まりを感じてるわ」


 妹は幸運の指輪を装備した!


「プレゼントは2000円くらいのものという話じゃなかったのかのう……」


 今日の持ち寄りの目安でそのくらいということにしていたはずだが……。100倍くらいするんじゃないそれ?


「じゃあ次、ノースっち」


 北神エルフが開けて出てきたのは……白い手編みのマフラー?

 様子を見るに南さんのようだ。


「そ、それ、わたしのです。す、すみませんっ」

「ありがとうございます。嬉しいですよ」


 北神エルフに渡ったことに恐縮する南さん。北神くんなら大事に使ってくれるだろう。

 いや、北神くんが手編みのマフラーをするってやばくね? 戦争起こらね? まあ明日から冬休みだからいっか!


「次、ティルちー」

「もうわちか?」


 てっきり最後に回されるかと思ったが、妹はあまり段取りを考えていないらしい。

 なんだか薄い封筒みたいなプレゼントをがさごそと開けたら、2000円のアイポンストアカードだ。


「ティル様、それわたしのです!」

「わち、アンドロイドなのじゃが」

「はっ!」


 む、むぅ……。星野さんにでも上げるか。

 次にプレゼントを開けたのは竹林さん。


「こ、これは香水?」

「はーい! 私のでーす」


 星野さんのプレゼントか。ふぅむ。香水なんていかにも好みが分かれそうなモノなのに攻めるのう。

 竹林さんは喜んでるから良いのじゃが。


「じゃあ次私開けまーす」


 星野さんが四角い箱を開けたら、中から出てきたのは猫のしっぽが取っ手になってるマグカップだった。

 送り主が名乗り出ないけど、きっとこれ轟さんのだ。


「わーいありがとー!」


 星野さんは空気を読んで、名乗り出ない送り主にお礼を言った。

 次に開けたのは南さん。妹が持ち込んだでかい箱だ。

 中身はでかいピンクの兎のぬいぐるみだった。


「か、かわいー! あ、ありがとっ」

「うむ。良きに計らえ」


 意外とまともなプレゼントだった。

 そして次は隣の轟さん。あ、わちのプレゼントじゃ。


「ん? ハンカチ?」


 轟さんが白い布を開く。

 いやそれはハンカチではない。純白のパンティーじゃ。


「だ、誰だよこのプレゼントは! 出てこい!」


 出てこいと言われても残りはわちしかおらぬ。


「わ、わちのじゃが……」

「ばーかばーか!」

「だ、だめじゃったかのう……?」


 実用性抜群だと思ったのじゃが……。純白のパンティー+3。ダンジョン産じゃぞ?


「ティルちーのプレゼントにチャット欄も大荒れ」

「まじか」


 わちはパンティーを手にした轟さんに頭をぐりぐりされた。

 なおクーリングオフは不可じゃ。持ち帰ってちゃんと使用してもらうのじゃ。


「ちゃんと穿いてるとこ見せて欲しいのじゃ」

「ぶち殺すぞ」

「ひっ」


 じょ、冗談、軽い冗談じゃのに!


「チャット欄も穿いてるとこ見せてと言っておる」

「ぶち殺すぞ」

「ひっ」


 や、闇魔法で隠れるのじゃ……。もくもくもく……。メリー闇のクリスマス……。







「楽しかったねー、ティルちー」

「んむ」


 パーティーは夕方でお開きとし、わちらは家に帰ってきた。

 そうそう。今日はまだダンジョンに潜っていない。ちょっと二人で様子を見に行くことにした。


「それ持っていくの?」

「うむ」


 妹マッチョと二人でダンジョンの館へ向かい、プリンセス()に会いに行く。中身は別人だけど、()がクリスマスに一人なのはなんか嫌だったのだ。うん、まあ、館にメイド侍女がいるから一人というわけでもないけど。

 そしてわちはプリンセス()にパーティーから持ち帰った、フルーツのケーキを渡した。


「んむ。90点です」


 プリンセス()はぴかぴかーっと光った。

 え? 高得点ってこんな持ち込みで出ていいもの!?

 まあ喜んでるからいっか……。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 持ち込みケーキ。 北神家なのじゃから、市販であれお抱え料理人であれ高レベルに決まって。。。(ティルちーには無理じゃね?) [一言] ドリンク剤とかシロップ薬で。。。(日本製は高レベルな…
[一言] 持ち込みのケーキでいいならポーションの代わりに適当な風邪薬でも渡しておけばよさそう 駄目でもティルちーとティル夫君がいるから困らないし
[良い点] 南さんにとってティルちゃは救世主だからねー。 [気になる点] 美少女❨元男❩同士のキス……! これは百合が咲き乱れてるのじゃ! [一言] ティルちゃは人気者だからね。 みんなに好かれるのは…
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