表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
TSローグライクダンジョンへようこそ  作者: ななぽよん
【三章】小麦畑が広がるダンジョン
49/74

49話:汚れつちまつた のじゃショタに

 黄金の小麦畑が風に(なび)いて波と成す。空は青空が広がって白い雲が流れ、遠景に碧い山が並ぶ。どこにでもありそうな、なんだかのどかな田舎の雰囲気。


 その中に立つ四人の人物。


 ただの女装が似合いそうなイケメン男子高校生。

 ただの黒髪ロングの美人女子高生。

 ただの世界クラスのボディービルダー並の肉体を持つゴリマッチョ。

 ただの金髪ロング碧眼のちんちくりんショタ。


「ちんちん付いてるのじゃがー!?」

「かわいー!!」


 早速わちはしのお姉ちゃんに抱きしめられた。


「待つのじゃしのお姉ちゃんよ。わちは男じゃ」

「そんなの知ってるよー! ところでなんで金髪なの!? ティルちー2Pカラーなの!?」


 星野さんも妹と同じ発想か!


「違うのじゃ! この身体にはちんちんが付いてるのじゃ!」

「なん……だと……?」


 妹ゴリマッチョが俺の股間を掴んだ。待って。潰さないで。


「なんじゃこりゃあ!」

「だからあると言っとるじゃろうが!」


 慣れ親しんだぷるんぷるんじゃ。

 星野さんは俺の前でしゃがみ、顔を近づけた。久々に見る猫男じゃない星野さんかわいい。


「うん。大丈夫。私いける!」

「待て待て待つのじゃ!」


 いやそうじゃなくて。わちは貞操の危機に震える。


「待てよ? これお兄だけずるくない?」

「そうだね! ずるいね!」

「なにがじゃ!?」


 ずるーいずるーいと女子高生とマッチョになじられる。北神くんは静観だ。こやつめ……。


「だってティルちーと金髪ショタの二択じゃん! どっちも美味しいじゃん!」

「私、大きくなったティルオくんと結婚するんだ……」


 誰がティルオじゃ!

 そして俺はやっとこの事態に気がついた。


「のう。わちの元の身体は?」

「そりゃ消滅したんだろ。ロストだロスト」

「いいなー。ティルオくんいいなー!」


 え? 俺消滅したの?


「何を今更」

「ウルファングさんだって元の身体失ってるしねー」


 まじで。そんなまじで?

 お、俺の身体……。


「その結果が美少年ショタなんだからいいだろぉ! 抱き枕になれ!」

「ねーねーティルオくん。しのお姉ちゃんと結婚しよ? 今夜うちに泊まる?」


 やばい。こいつらの目が肉食獣のそれだ。


「き、北神くーん!」

「え、うん。二人共落ち着こうか」


 俺は北神くんの背後に隠れた。イケメンバリア!


「はぁはぁ……イケメンが二人……」

「待ってヒメちゃ。その姿でその発言はダメ」


 いや、しのお姉ちゃんでもアウトじゃが。


「それで、出口はどこにあるんだい?」

「あっちの館の方じゃ」


 俺は北神くんの背後から出て、青い屋根の館を指差す。

 太陽が南にあるとして、館は東の方角だ。


「今日は冒険しないで出ようか。それで戻れるんだよね?」

「え? あ? いや?」

「どうしたのですか? アズマさん」

「だめかも」


 北神くんと星野さんは「は?」と声を出した。俺は「あっ」と気づいてしまった。


「そ、そういえば、出た時に元に戻ったんじゃったか」

「そうそう。うんとね。あたしが入った時はまだダンジョンの形を成してなくってさぁ」


 妹マッチョが説明をした。入った時には変化せず、出た時に変身した。

 今回の場合は、以前と同じように入った時に変身した。出た時に戻るとなると、星野さんは猫男に、北神くんはエルフに戻ってしまう。


「えぇぇえええ! そんなぁあ! それじゃあティルオくんを連れ出せないしぃ!」

「え、そっち?」


 わちよりも自身の身体の事を心配するのじゃ、しのお姉ちゃん!


「でも、昨日とは状況が違うということだよね。それなら今日は変わっているかもしれない」

「確かにそうじゃ」


 小麦をかき分け一同は館へ向かう。

 わちは妹マッチョに再び担がれている。


「待って! なんかいる!」

「え? 巨人……?」


 小麦畑からぬっと身体を起こし、巨人が立ちはだかった。

 と、トロールか?

 小麦畑にトロール。相変わらずこのダンジョンはめちゃくちゃである。

 小麦畑はエジプトで、トロールは北欧だ。そして館はゴシック建築か? 統一性が全くない。ダンジョンを創ったのは誰だ!

 俺か?


「妹! 頼んだぞ!」

「無茶言うなよ!」


 わちは星野さんに抱きかかえられ、北神くんと共に離脱。

 妹ゴリマッチョは生身でトロールとぶつかり合う。


「なんとかなりそう!」

「まじか!」


 さすがゴリラとぶつかりあったゴリマッチョだ。筋力が並ではない。

 そういやゴーレムとも戦えるもんなあいつ。


「あっ。二匹目が」


 俺はトロールに踏み潰されて死んだ。





「ぐえぇえ!」


 ごろごろごろ。

 俺は部屋の中に転がり出た。

 後を追うように、部屋に星野さんと北神くんが現れる。


「お、おかえりぃ。戻った、ね!」


 南さんが星野さんに手を差し伸べた。

 本当だ。星野さんが黒髪ロングのままだ。


「僕も元に戻りましたか。今回は逆のようですね」


 北神くんも、敬語口調は戻ってないようじゃが、男のまま戻った。

 あれ? えっと?

 逆? 死んだのにダンジョン内での姿のまま?


「あ、アズマくんはなんで色違い、なの?」


 色違い言うな。

 わちはティルミリシアじゃないぞ! ぷんぷん!


「紹介するね! ティルオくんだよ!」

「てぃるお……?」

「ティルオじゃないのじゃ!」


 じゃあ何かと言われると困る。結局呼称をティルオにされた。


「やっほー! いま帰ったぜぃ!」

「おお。JKに戻っちょる」


 妹もちゃんと女子になって戻ってきた。

 妹ゴリマッチョはトロールに勝ち、ゲートから帰還してきたようだ。

 ゲートから戻ると変身前の姿に戻る……。混乱してきたのじゃ!


 結局、わちが金髪のじゃショタ化した以外はみんな元に戻ったのじゃ。

 あ、ダンジョンに入ってない南さんは水色髪美少女のままだけど。


「これで確定ですね。今回は死ぬとそのまま部屋に戻されて、ゲートで戻ると再度変身となるようです」

「ええっと……ややこしいのじゃ……」

「お兄はどっちでも変わらないんだから関係ないでしょ」


 変わるのじゃ! おちんちんの有無があるのじゃ!


「ええと、アズマくんはどうなったの……?」

「お兄は消えた」


 消えた言うな。


「え、え?」

「金髪ショタか銀髪ロリになったの。ずるいよね」

「ずるいずるい」


 ずるいと言われてものう。

 ほら。南さんも困っておる。


「ず、ずるいですね……」


 南さんも!?

 き、北神くんは味方じゃよな。北神くん。北神くん?


「ずるいかはともかくとして、服には困らなそうですね」


 なるほど。どっちの姿でもちんちくりんじゃしのう。


「そうだね。お兄はこれからは女児服だけあればいいもんなー」

「金髪ショタ女装……じゅるり」


 星野さんがわちの事を良くない目で見ちょる……。


「細かいことは置いといてさー。みんなで久々にポーション風呂だ!」

「おー!」

「いてらーなのじゃ」


 むっ。星野さんがわちを抱えるのじゃが。


「南さんはどうする?」

「わ、わたしはその……いえ……」

「じゃあ三人だね。お風呂狭いしなー」


 ぱーどぅん?


「わち男なんじゃが」

「何をいまさら」

「ねぇ」


 いやそうじゃなくて。


「おちんちん付いてるのじゃが」

「お兄のちんちんなんて何度も見とるわ」

「私も弟いるしー」


 いやそうじゃなくて。


「た、たすけ……きたがみぃ……みなみぃ……」


 手を振って見送られる俺。

 んああああ。


 汚れつちまつた のじゃショタに

 今日もポーションの降りかかる

 汚れつちまつた のじゃショタに

 今日もドライヤーさへ吹きすぎる


 ブォォォォオン。


「もうお嫁にいけないのじゃ……」

「男の子でしょ」

「大丈夫! 私が貰って上げるから!」


 どうしてこうなった。


「しのっち、金髪ショタ王子とかストライクだもんねー」

「んふふぅー」

「猫男じゃなかったのかの……」


 と俺が言うと「それはそれ」と返ってきた。

 星野さんに後ろから抱きつかれ、頭にぷにょんがぽにょんする。


「いいなー。お持ち帰りしたいなー」

「あたしの抱き枕だからだめだぞー」


 抱き枕じゃないが。

 このあとめっちゃ両側から腕を引っ張られた。

 わち、選ぶならそれを止めた南さんがいい……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 中原中也だったり大岡裁きだったりネタに事欠かないなぁw [気になる点] さて、ショタボディはダンジョン産と言えるわけだけど、この体にも特殊能力はあるのかな?検証が捗りますね。 個人的には元…
[気になる点] ……ん? ダンジョン内でティルオだったのに、戻ってきてもティルオ? あれ? あ、死ぬとTSする仕様にn……妹はマッチョでお風呂に!? んん!?分からなくなってきたのじゃ!❨混乱
[良い点] >私いける! わちもじゃ! [一言] >それはそれ 「なりたい」理想と「付き合いたい」理想は違うんじゃよなあ。 両側から引っ張ったらふたつに分裂してティルちーとティル夫になりそうなのじゃ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ