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TSローグライクダンジョンへようこそ  作者: ななぽよん
【二章】どこか見覚えのあるダンジョン
48/74

48話:ファーミングプリンス

 妹ゴリマッチョと俺は小麦畑の中で立ち尽くす。


「ところで、お兄がのじゃロリに戻ってるのじゃが」

「なんじゃと!?」


 妹がコンパクトミラーをポケットから取り出した。

 そこには、金髪ロングで碧眼のぷにぷに幼女の姿が!?


「誰じゃこれー!?」


 なんてこった。念じる時にのじゃロリが混じったら、ファーミングプリンセスになってしまった。


「なんか北神エルフの妹みたいになってるんだけど、ティルちーじゃないの?」

「うーん、これはそのじゃのう……」


 なんとも言いづらい。


「とりあえずゲート探すかぁ」

「そうじゃのう」


 妹ゴリマッチョがひょいと俺を肩に担ぎ上げた。


「でも、ティルちーが戻ってきて良かった。これで動画投稿再開できる」

「待て。見た目が変わってるのじゃが」

「大丈夫だって。ちょっと2Pカラーになっただけじゃん」


 2Pカラーって。


「館があるぞ。あそこが怪しい」

「領主の館じゃな。入れるのかのう……」


 ファーミングプリンセスは精霊の姫が領主にお世話になりながら、荘園で麦を作るゲームだ。

 だからその元ネタの通り、麦畑の側に館があるようだが……。


「あれ、館の門がゲートになってる」

「本当じゃ」


 入る必要もなかった。これなら簡単に出られるな。


「助かったのう」

「とりあえず出ようぜー」

「いや待て」


 このまま出たら俺はのじゃロリのままに――

 妹は俺を担いだままゲートに入った。


「んぎゃあ!」


 俺は床に放り出され、ゴロゴロと転がった。


「何するのじゃ!」

「あれ? あたしの身体が……」


 妹が……元に戻ってる……?


「あ、あたしの筋肉が……」

「なぜそこで惜しむ顔をするんじゃ」


 喜ぶとこじゃろ!


「待て。なぜ妹は戻ったのにわちは語尾のじゃが抜けないのじゃ」

「え? ティルちーも元に戻ってるよ?」


 なぬ?

 わちは鏡の前に立つ。

 ふむ。たしかに銀髪赤眼に戻っておるの。


「なん……じゃと……?」

「やったねティルちー! 動画が撮れるよ!」


 ふ……ふむ……。こうなった以上仕方ないのう……。


「まずは一ヶ月ぶりの復帰生放送だな!」

「よっしゃ! ……うん? 生じゃと?」





「あーあー。わちじゃ。久しいのう。ティルミリシア=フィレンツォーネじゃ。人間ども、わちは帰って来たのじゃ! がははははっ! 待たせたのう! ちょっと人間界に戻って来られなくなっていたのじゃ! 恋しかったかのう!? あいるびーばっく!」


 またもや突発(ゲリラ)。しかも前の動画から一ヶ月ぶりなので視聴者は増えない。

 最初に付いたコメントは星野さんで『本当に戻ってるー! 明日行くね!』と書かれていた。妹がゲートの事と配信の事を伝えたようだ。

 あと『アイル・ビー・バックの使い方間違ってる』と書かれた。なんじゃと……。


「ひとまず帰ってきた宣言だけなのじゃが。なぬ? ダンス? 歌? むぅ……」


 コメントで要望が出される。


「歌って踊れるアイドル編はもう終わったのじゃが……仕方ないのう……」


 くねくね。


「らららーららーららららー♪」


 うたへたと書かれた。なんじゃと! もう歌わん!


「ティルちー歌へた」

「歌の練習はしてないのじゃ!」


 そうだ。ダンジョン攻略のためにダンスの練習しただけだ。歌は習ってないのじゃ!


「次は歌の練習だね」

「ダンジョン攻略には関係ないのじゃ」

「動画のためだし」

「ぐぬぬ……」

「まずは腹筋ね。ちょっとやってみ?」


 わちはおぱんつが見えないように寝転がる。ごろん。

 ふいっ! ふにっ! ほいっ!


「一回も上がってない……」

「これが腰を痛めないやり方だからいいのじゃ!」


 手は伸ばして、足を上げて、くにっくにっと肩を上げるのじゃ。


「腹式呼吸。吸ってー」

「ひゅー」

「吐いてー」

「ふゆぅー」

「吐いてー」

「ひゅうっ」

「吐いてー」

「ひゅ……ひぃいー! ころしゅきか!」


 ぷんすこ! もう言うこときかん!

 俺はあぐらをかいて座る。


「もう人間どもの言うことは聞かん!」

「チーズインハンバーグ作ろうぜー」

「つくりゅー」


 わぁい。ハンバーグぅー!

 配信終了してハンバーグ作って食べた。もぐもぐ。げぷー。


「一ヶ月ぶりなのにお兄が完璧に幼女に成りきってる件」

「ふっ。妹こそ女子高生になっとるけんのう」

「あたしは元から、心はマッチョでも身体はじぇーけーよ!」


 ふむ。

 ふむ?


「そんなことより明日から楽しみだねぇ」

「なんじゃ?」

「だってお兄、寂しそうにしてたじゃん」

「そうか?」


 そんな顔に出てた?


「今だってめっちゃによによしてるし」

「しとるか?」


 そんな顔に出てる?


「このさびしんぼめ」

「ぐぅ。妹なんかマッチョになっちゃえばいいのじゃ!」


 むすー。




 そしてわちに平和な日常が訪れた、と思われた。

 だが実はこの裏で、大変な事態が起こっているとは、この時はまだ知らなかったのである。


「わちのデータがアバドンにやられておるー!」

「あははー! 収穫全滅だ! ゲームオーバーじゃん!」


 ファーミングプリンセスの小麦畑が(いなご)の大群による蝗害(こうがい)で壊滅していたのであった。

 むぎー!


「ねえ、ダンジョンの小麦もさあ――」

「やめるのじゃ! それ以上の想像は!」


 いけない! わちらは今もなお宇宙人に監視されておる!

 再現ダメ! ノー!




 さてはて。わちが幼女化して担任は胃を抑えたが、星野さんと北神エルフが元に戻る可能性が高い事を伝えたら元気になった。良かったのう。

 隣のクラスの担任は、妹ゴリマッチョが元に戻った事で「お前なら世界が狙えたのに」とがっかりしていた。なんのだよ。


「やっと毛玉から開放されるぅー!」

「すまんかったのう、しのお姉ちゃん」


 わちは星野さんとクラスの女子にわちゃわちゃされた。

 昨日までは全く寄ってこなかったのに、人間どもは現金なやつらじゃ。今日だけは許してやるが。


「ノースもわちをナデナデしても良いのじゃぞ?」

「いえ、遠慮いたします」


 くっくっく。照れぬでも良い。今やじぇーけー共はわちの傀儡(くぐつ)よ。ゆけ! 北神を捕まえるのじゃ! がはははっ!


「うぃーっす。まじでアズマまた本当にまた幼女化しとるやんけ」

「げっ、ニッシー!」


 女子高生防衛陣展開!


「げってなんだよ。それよりさー。部屋にダンジョンあるってまじ()?」

「な、なんのことかのう?」


 ひゅひー。ひゅるひぃー。


「口笛下手くそだな。別に隠してたわけじゃないんだろ?」

「そ、そうじゃぞ。わちとニッシーは親友じゃもんな!」

「おう! 今度連れてってくれよな!」


 あ、危ないところじゃった……。なんとかダンジョンゲートを隠蔽せねば……。わちの大切な親友を女体化なんてさせとうない。見たくもない。

 うん。見たくない。


「どうしたのティルちゃん」

「ふむ……。しのお姉ちゃんよ。男子高校生をこの世から消す方法を考えておる……」

「ダメだよ!?」


 却下された。






 放課後。わちらは部屋に集合した。


「よし、出発じゃあ!」

「おー!」


 わちと、妹と、星野猫人と、北神エルフがゲートに突入。

 俺達の冒険はまだ始まったばかりだ!


「TSローグライクダンジョンへようこそ……んあああ!?」


 変わりない体型に、視界に入るさらりとした金髪。だけど股間に慣れ親しんだ何かを感じる。


「おちんちんじゃ!」


 わちは金髪ロング碧眼ショタになった。

 待って。ちょっと待つのじゃ。話がちが――

二章 完

─────ゲームパロディ元─────

・エロイナ:elona 「パンティ、妹と再会、井戸に落下、翼など。」

・風来坊のシラン:風来のシレン 「コタツマウンテンやアイテムなど。」

・トロネコ:トルネコの大冒険  「マッドアーム:マドハンド」

・ファング:ドラゴンファングZ

・フレッシュミィィイト!!:DIABLO 「ブッチャー」

・アイドル・オブ・のじゃロリヴァンパイアダンサー:Crypt of the NecroDancer

・フォールンガイズ:Fall Guys

・NetHack 「可視の指輪など」

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― 新着の感想 ―
[良い点] 元の体? ティルちゃが本来の姿でしょ? 大丈夫?おっぱい❨マッチョ妹❩揉む? [一言] 男子高校生を消したら北神も消えちゃうのじゃ! ここはニッシー一人に対象を絞った方がよいのう。 ……白…
[良い点] やっと元の姿に戻ったのじゃ。めでたいのじゃ。 あと元ネタ表記たすかる のじゃ。 [一言] >男子高校生をこの世から消す方法 自身で実践してるのじゃ。 >わちは金髪ロング碧眼ショタになった…
[良い点] 地球上では銀髪のじゃロリ吸血鬼! ダンジョン内では金髪碧眼のじゃショタ麦作お姫さま♂! [一言] 第二章完! 次も楽しみにしていいんじゃろうか。
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