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TSローグライクダンジョンへようこそ  作者: ななぽよん
【一章】人工壁のシンプルなダンジョン
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14話:のじゃロリ吸血鬼のライバルキャラ現る

「ただいまー。いやぁ、たまたま帰還の巻物を拾っちゃってね。帰ってきちゃったよ」

「きちゃったよじゃねえよ! この美エルフ北神ぃ!」


 なぜか妹が切れておる。


「ってことはポーションも持って帰ってきたってことだよなぁ!」

「はい。あげるよ」

「あたし、北神くんと結婚する。いいよね、お兄ちゃん」

「だめじゃ。北神くんはわちのものじゃ」

「はい! 私も立候補します!」


 俺たちの中で北神争奪戦がはじまる。


「じゃあさっそくポーションを使おうか!」


 お風呂タイムが始まった。


「あの、僕も入らないと駄目なのかい?」

「我が家ではそういうルールでございます」


 妹はすぐ適当な事を言う。


「そんなルールなどないのじゃが」

「四人……ぎりぎりだね」


 美少女北神エルフも中身は男だ。そりゃ戸惑うだろう。

 しかし問題はない。俺たちは北神くんへの好感度がカンストしている。裸を見せあったところで何も問題はなかった。あわよくば惚れさせて自分のものにしようと企んでいる。こええぜ。女こええ。

 だが最初に北神くんに目を付けたのは俺だぜ?


「にゅああ!」


 俺の頭にポーションをぶっかけられてわしゃわしゃと銀髪を洗われた。

 落ち着いて考えると、俺と北神エルフにポーションで美容する意味なくない? なくない?

 元から美少女だからとか、そういう理由ではなくてさ。


「いいのいいの。何もしないでそのかわいさが保てると思ってるの? 女の子のかわいいは努力の結晶なんだから。ティルちゃんも貢がれたお菓子ばかり食べてたら太るよ」

「うぐ……気をつけるのじゃ……」


 妹にガチ説教食らってしまったのじゃ……。

 しかしそれにしても、北神エルフはその姿が似合っている。胸が控えめなのがいいよね。元が男でも違和感がない。まあわちもぺたんこなのじゃがのう。


「わぷっ」


 北神エルフの裸体を見つめていたら、頭からお湯をかけられた。




「はふー」


 四人で順番に湯船に浸かり、お風呂を出た。そしてドライヤー&扇風機タイムだ。

 北神エルフも髪が長いからみんな大変だ。お互いの髪の毛が絡まりそうなほどみんな長い。妹だけはセミロングだが。

 ちなみにわちの銀髪はお尻くらいまであり、北神エルフの金髪は腰、星野さんの黒髪は肩甲骨あたりだ。

 それらが風に煽られてぶわぁと揺れる。


「僕のこの姿も自分のダンジョンで起こった事にするから安心して」

「あれこれ色々と助かるのじゃ」

「あと弓も置いていくね」

「これは北神エルフにしか使えなさそうじゃがのう。またお願いしたいのじゃ」

「いいね。行こうよ」


 よっしゃ! 最重要パーティーメンバーをゲットじゃ!


「あとはあの赤い草は使っちゃったし、吹き飛ばしの杖は残数0だからもう使えないね。それと本を拾ったのだけど」

「おお! 本!」


 二回目の冒険の時に使い方がわからなかった中身が真っ白の本だ。


「これは手を当てて登録をすると魔法が使えるようになる」

「おお!? 魔法!?」


 一気にファンタジー感増してきた!


「だけどこれはもう僕が使っちゃったから、僕にしか使えないんだけどね。ごめんね」

「いいんじゃいいんじゃ。北神エルフが使っておくれ」


 妹が「何の魔法が使えるの」と聞き、北神エルフは「風の魔法だよ」と答えた。

 そして実際に、本を手にして部屋の中で風の魔法を起こしてみせた。


「うおおお! 北神はドライヤーにもなるだとぉ!?」

「一家に一台ほしいねぇ!」

「だめじゃ! 北神エルフはわちのじゃぞ!」


 第二回北神くん争奪戦開始。

 しかし妹がストップをかけた。


「ところでさぁ。ところでだよ。北神、お願いがあるんだけど」

「え? なに? 怖いんだけど」


 怖いよね。わかる。


「もしよかったら。もしよかったらだよ?」

「うん。うん」


 前置きが長いな。


「ティルちゃんと北神って、銀髪の赤い目と、金髪の青い目で、組み合わせがいいんだよねぇ。ちょっと一緒に動画に撮られてくれない?」

「へ?」

「妹よ。それはいけないと思うのじゃ……」


 こいつ、北神エルフまでも収益動画に巻き込もうとしてやがる……。


「でさー。北神のそのエルフに名前付けたいよね。ティルちゃんみたいなさー」

「はいはーい! 北神だからノースちゃん!」

「ナイスしのっち。採用決定」


 はや!

 そして北神エルフへの承諾なし!


「それじゃあノースちゃんのキャラ設定をみんなで考えていこうか!」


 長い夜が始まった。

 そして始まる動画撮影。


「今日はわちの仲間……いや、ライバルを紹介するのじゃ。わちは嫌なのじゃがのう……。ノースよ。こっちへ参れ」


 魔法の力で巻き上がる風で、ティルミリシア=フィレンツォーネの長い銀髪が舞い上がる。

 そして風に乗るように画面に現れた、左手に本、右手に弓を持つ、金髪碧眼の耳長のエルフ。ミニスカート姿で、パンツは風でめくれて見えないようにギリギリの風魔法調整がされている。パンツが見えると収益化がアウトになるからだ。


「あら? わたくしのことを呼びましたか? 人間のみなさんはじめましてごきげんよう。わたくしはノース。風使いのエルフでございます。以後お見知りおきを」


 ノースを押しのける、ティルミリシア。


「ノースは演出がくどいのじゃ。いちいち挨拶のためだけに風など起こしよって。わちの髪が乱れてしまったではないか。……えーっと次の台詞はなんじゃったかな?」


 だからNGをそのまま使うな妹よ!

 コメントに「ぐだぐだなところがかわいい」とか書かれてしまっておる!

 こうして、北神エルフならぬノースちゃんを巻き込んで作られた動画は、スマホを持たぬ俺にはわからないところでバズっていったという。


 この撮影にだいぶ夜が遅くなり、二人を送っていこうと思ったが「君が一番危ない」と言われてステイホームさせられた。

 そもそも北神くんが使用人の運転手なる庶民にはわからぬ者を家から呼び、そして星野さんを送っていったから100%安全だ。

 いや100%かな……。送り狼にあっている可能性もある……。北神くんが、星野さんに。


 ところで今日が金曜日で良かった。

 俺に続いて北神くんも美少女化である。また学校で騒ぎが増えるところだった。

 俺はともかく北神くんはこの土日で元に戻れる可能性が高い。やはりダンジョン経験者は違うようだ。しかも北神くんのダンジョンは大型の通常ダンジョンだ。死がそのまま死となる普通のダンジョンだ。

 ある意味、死んでもいいやとなってしまっているうちのTSローグライクダンジョンの方が易しいのかもな。まあ、普通のダンジョンは普通に武器を持ち込んでモンスターを掃討すればいいんだけどな。


 あれ? なんで俺たちは武器の持ち込みを縛ってるんだっけ?

 俺は幼女でろくな武器が使えなかったから。

 妹は肉体が武器だったから。

 星野さんは爪が武器だったから。

 必要が感じなかっただけで、俺は武器を持ち込むべきなのでは?

 最初は持ち込んでたよな?

 もしかして俺はアホ?


「認めたくないのじゃあ!」

「どうしたの急に」


 ベッドで妹に抱き枕にされていた俺は、今の考えを話した。


「まあ考えつかなくてもしょうがないよね。ティルちゃんは幼女だし」

「中身は幼女じゃないんじゃが……」

「あれ? 気づいてない? 兄よ……ティルちゃんの時は言動が幼女化しているぞ?」

「なん……じゃと……?」


 俺はちょっと幼女になってる時の事を思い返してみた。ちょっと思い当たるところある!


「自覚なかったのじゃ……」

「ティルちゃんけっこうぽんこつだからなぁ。肉体に精神が引っ張られているんじゃね?」

「そう思うなら、幼女扱いを止めるのじゃあ……」

「だーめ。じゃあおやすみー」


 やばい。このままでは身も心も幼女になってしまうのじゃ……。急がねば……。

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