救出〜リヒト視点〜
だんだんと周りが明るくなっていく。もう日は完全に昇った。
「うう……」
軽く呻き声をあげながら、リヒトは目を覚ました。
ーーーーー
目が覚めると、森の中で寝転がっているようだった。さっきまで木に括り付けられていたはずだが、ほどけたのだろうか?
「目が覚めたようだな」
そう声をかけられ、慌てて起き上がる。先程の声の聞こえていた方を向くと、漆黒のローブを身に纏い、仮面を被った人がいた。その後ろに、執事のような格好をした魔族がいるため、この人もおそらく魔族なのだろう。
「ここは……?」
「魔族の国南部、人間の国との国境付近にあるリノヴェールの森の中だ」
「あなたが……助けてくれたのですか?」
「まあ私だけではないがな。そこにいるじいと、後ろに控えている回復士も手伝った」
「そうなんですか……ありがとうございます」
「よい、気にするな。それよりお主に聞きたいことがある」
「なんでしょうか」
「何故元人間が、魔族の地にいるのだ?」
「それは……多分、騙されて連れてこられたんだと思います。僕が寝てる間に魔族の国に連れ込み、そのあと木に括り付けたのかなと思います」
「そうか。まあ腹も減っておろう、とにかく一旦我が家に戻るぞ。……転移門」
魔族の人がゲートと言うと、目の前に黒い門のようなものが現れた。
「ここをくぐれば我が家に着く。今回は私が手を貸そう。ほれ」
そのまま手を掴まれて門の中に入っていく。門を通ると、広さはそこまでではないものの豪華な部屋に出た。小さなシャンデリアが吊るされており、中央にはテーブルが置かれている。その上にはパンなどが乗っていた。
「ここに座って待っておれ……そなたたち、この者に食事を」
そう言って魔族の人は扉の向こうに消えていってしまった。執事らしい人と、白い衣服を着た人たちが残された。
少しして、メイド服の人たちが部屋に入ってきた。皆さんお皿を持っている。そして、その皿たちを僕の目の前に置くとまた退室してしまう。入れ違いになるようにして、さっきの魔族の人が帰ってきた。
「腹が満たされるまで食べるといい。多少は腹が減っておろう」
はい、その通りです。というか、もうマジで空腹です。
まずパンに手を伸ばす。焼き立てで、小麦の香りがふわっと漂ってきた。そのままでは止まらなくなり、持ってきてもらったものをあっという間に食べてしまった。そして空腹もおさまったようだ。
「さて」
そう言いながら、さっきの魔族の人が目の前の席に座る。
「まず名を聞いても教えてもいなかったな。私はリュミエール・ノア。まあ人間の国では一般的に魔王と呼ばれているらしいが、『リュミエール』と呼んで欲しい」
「はぁ。僕はリヒト・レーゲンです」
「そうか。ではリヒト、いくつか話したいことがある。良いかな?」
「はい、リュミエール様」
まさかの魔王様でした。
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