魔人化した少年〜魔王Side〜
魔人とは。膨大な負の感情と、限界を超えた魔力によって人間が変化してしまった、その後の姿だ。外見はなんら変わらないように見えるが、目のどこかが真紅に染まっており、魔力量も人間である頃を遥かに超える。そして、魔人の遺伝子は魔族のそれとほぼ変わらないということも、確認されている。
(魔王視点)
魔獣に喰われかけている人間を助けようとした魔王は、即座に闇魔法のうちの下位魔法で魔獣を殺した。しかし、降りてきてみれば、その少年は人間ではなかった。見開かれた瞳孔をとりまく虹彩が、真紅に染まっていたのだ。
(一体なぜこんなところに縛られている……? 何かの手違いでもなさそうだ……それよりも、怪我はどうだろう?)
いろいろ考えたが、まず魔王は縄を切って少年を地面に下ろした。治癒術師が魔法をかけている間、少年の顔を見つめる。
(年齢にして、十四から十五歳といったところか。まだ子供じゃないのか? そして、縛られていた。どういうことなのだ? それより、なぜ魔人化したのだ? 魔人になる条件は、とても厳しかったはずだが……)
とにかく、今はあれこれ考えても仕方がないと思った魔王は、彼を地面に横たえるとしばらく目覚めまで待つことにするのだった。
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