始まりは本人無しで決定する
只今より二章が始まります。今後とも『ところ変われば人変わる〜雑魚と言われて追放され、そのまま魔族の国へ放り出された魔法使いは最強の闇魔術師として魔王に仕える〜』をよろしくお願いします。
リヒトが魔国に来てから1ヶ月ほど経ったある日の夜、魔王の自室に6つの人影があった。リュミエール、シリウス、ルーフェイ、そして一人一人全く違う服や鎧を着た3人の魔族たちのものだ。
「さて……今まで公にして来なかったものの、皆は気がついているであろうことがある。リヒト・レーゲンという元人間の魔人が、新しく私たちの領地に住むことになった」
「それもかなりの実力者だってなァ。ルーフェイが直々に指導してる、とも聞いてるぜ」
リュミエールが話を始める。メンバーの中でも最も大柄であり、ハルバードを担いだ赤毛の大男が、それに返答した。
「ああ、ガラッドの言う通りだ。リヒトは闇と光の魔法に対し、馬鹿げた適性を持っている。そして、根っからの魔法好きだ。そのリヒトに関しての話……特に彼の訓練についての話をしたいと思って、皆を呼んだわけだ」
「訓練、ですか」
今度はシリウスが返事をする。
「私はリヒトに、魔国を旅させようと思っているのだ。彼に以前『魔国を旅してみたいか?』と尋ねたところ『もちろんです!』と返事をされたことがあったからな。しかし、魔法だけでは道中危険かも知れない。そこで君たち四天王、そして剣魔に、リヒトを強くしてもらいたいのだ」
「私は構わない」
「オレぁそのリヒトってのが、ある程度の実力をつけてれば教えやんぞ」
「私も構いません」
ルーフェイ、シリウス、そしてガラッドと呼ばれた男が、ほとんど同時に返答した。
「僕もガラッドと同じかな〜」
「構ワナイ」
続いてのんびりとした口調の少年と、漆黒の細身の鎧を纏った騎士のような人物が返答をする。騎士の声は重々しく、その上片言なのでとても聞こえづらい。
「リオとT17も良いのか。なら、全会一致でリヒトの訓練をすることにしよう。各々、教えるのは自身の得意分野でいいからな」
「承知しました」「分かった」「あァ、分かったぜ」「うん、いいよー」「仰セノママニ」
全員の賛同を得て、リヒトの訓練を行うことが決定された。
リヒトが寝る前に、本を読んでいるときのことである。
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