閑話 屁理屈魔法
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昼食を食べ終わった僕は、魔王様と再び訓練場に来ている。午前中と違って、ルーフェイがいる。
「さて、これから教えるのは特に、光と闇の魔法で使える考え方だ。正直、『こんなもんでもいいんか!』という点があるのは否めないが……」
「どんな考え方なんですか?」
「簡単に言うと『無理矢理闇と関連づける』だ。例えば、『闇の中にある竜巻』をイメージすると……」
目の前に小さな旋風が起きた。
「今回はとても弱くしたが……風魔法でなくとも竜巻を起こすことができる。他には『闇の中を駆ける雷』をイメージすれば、こんなふうに雷撃を起こせる」
今度は紫色の雷が、的に向かってまっすぐ飛んで行った。
「屁理屈でもいいから『闇』と関連づけた事象は、全て闇魔法で起こせる。まあ光魔法も同様だが……
というわけで、闇魔法には屁理屈を捏ねる能力が必要になることもある。午後はこれの練習をしよう」
「はい!」
無理矢理でもいいから、『闇』と『起こしたい事象』を結びつければいいのか。まずは、雷魔法の練習をしてみることにする。
(闇を駆ける雷のイメージ、だっけ?)
さっき魔王様が言っていたイメージ通りにイメージし、『魔杭』一本くらいの魔力を込める……
パチッ
小さな小さな雷が起きた。思ったよりも威力が低すぎる。おそらくもっと良いイメージがあるのだろう。
とりあえず、闇の魔力が高密度に集まって雷を作るイメージをする。
ピカッッ
目の前を紫の雷が走り、そのまま的を貫いてしまった。
「リヒト……魔力はどれくらい詰め込んだんだ?」
「せいぜい『魔杭』五本分です」
「たったそれだけで、的を貫通させるほどの雷を生み出せるのか……まあいい、続けてくれ」
「はい」
次は炎だ。今度は、闇の魔力のエネルギーが炎に変わるイメージをしてみる。念のため、魔力はほんの少しにしておく。
ボッ!
拳サイズの黒い色の炎が生まれた。魔力を供給し続けているので、燃え続ける。供給する魔力の量に応じて、炎のサイズが変わっていく。
「ほう……闇の魔力で炎魔法を使えたのか……」
「はい。闇の魔力のエネルギーが、炎に変わるイメージをしました」
「なるほどな。続けてくれ」
再び練習を開始する。炎を生み出した後に、それを遠くに飛ばすイメージをする。
「ファイアボールって感じか」
炎の魔法で最も基本的な『ファイアボール』が、闇の魔力でも撃てたことに驚く。
(それなら『フレイムトルネード』も放てるのかな?)
炎が相手に対して噴射される、フレイムトルネードのイメージをする。それにさっきより多めの魔力を込める。
ゴォォォ……
燃え盛る黒い炎が飛び出し、的を焦がしていく。十秒ほど経って魔法を解除すると、的は完全に灰になっていた。
最後に、ファイアボールに溜め込んだ闇の炎が、着弾と同時に爆発するイメージをしてみる。魔力はさっきの『フレイムトルネード』全体で使った魔力と同じくらいだ。
シュゥゥゥ……ドゴォ!
ファイアボールが的に向かって飛び、着弾して爆発を起こす。と同時に景色が一瞬で前へと飛び、背中に強い衝撃が来た。
「おい! リヒト! リヒト、……」
魔王様の声が聞こえたので返事をしようとしたが、その前に僕の意識は闇へと沈んでいった。
ーーーーー
リヒトが放った火球は大爆発を起こし、物凄い爆風を起こした。最も爆心地に近い位置にいたリヒトが地面に叩きつけられたのを、魔王は一瞬呆然と見ていた。
「……はっ! おい! リヒト! リヒト、大丈夫か!?」
魔王は声をかけながら駆け寄る。幸いなことに、目立った外傷は軽いやけどしかなかったが、彼は気絶していた。ルーフェイに頼んで治癒の魔法をかけてもらい、そのあと魔王は彼を医務室に連れて行った。
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