閑話 省略詠唱
前話で、一旦一章をおわりとさせて頂きます。今話は閑話みたいな感じです。今後ともよろしくお願いします。
僕が魔族の国、魔国にやって来てから、早いもので二週間たった。毎日がとても楽しく面白いので、あっという間に日々が過ぎていく。
「さて、今日は面白い技術を教えよう」
「はい!」
今日も魔王様に、魔法を教えてもらっている。1日から2日に一つの魔法を覚えているので、今は7種類くらいの魔法を使える。
「その名も『省略詠唱』と言う。自分で作った言葉と自身の魔法を関連づけることで、決められた言葉に反応して魔法を放てるという、まあ複雑だが面白い技術だ」
そう言いながら魔王様は魔力を取り出す。
「イメージと魔力で魔法が打てる。が、大量に魔法を放ちたい時などにいちいちイメージをしていると、隙が多くなる。そのため、イメージをする代わりに何か単語を言うことで、簡単に魔法を放てるようになるという技だ」
魔王様は魔力を杭に変えて、放つ。
「私なら『魔杭』と言うことで、今さっきの杭を放つことができる……『魔杭』」
さっきと同じ杭が飛び出し、的に突き刺さった。
「まあこれは完全に自由な技術だ。使うも良し使わぬも良し、どんな言葉を使うかも自由、もう全てが自由だ。今日はこの技術を練習することにしよう」
「……まず何から始めたらいいですか?」
「ああ、そうだな……自分の中で、魔法のイメージと単語を完全に結びつけることから始めるのがいいだろう」
(まずは基本の『杭』の魔法から、かな)
イメージを頭の中で作り上げる。何回か試した結果『魔力を糸状にする→糸で杭の形を編む→回転させる→発射』というのが、最も威力が上がると分かったので、そのイメージをする。
(次は単語だけど……これは普通に『魔杭』でいいか)
適当に『魔杭』という単語を使うことにする。比較的魔法をイメージしやすい単語だったので、簡単に単語と魔法のイメージを関連付けられた。
「一つできました!」
「そうか! では早速使ってみてくれ」
「分かりました……『魔杭』!」
イメージと全く同じ魔法が、『魔杭』と口にするだけで放てるようになっていた。
「ほう……杭の魔法か」
「はい! そのまんまの名前をつけました」
「いいぞいいぞ、どんどん作っていけ」
「はい!」
ノリノリで次の省略詠唱を作っていく。闇の塊を飛ばす魔法は『闇球』、辺りを闇で包み込み、相手の認識を阻害する魔法は『感覚遮断』、というように、どんどん使える魔法に対応する省略詠唱を作って練習していくと、いつの間にか昼になっていた。
「それでは昼食だ。食べ終わったら、全く新しい魔法を作り出す方法を教えるぞ」
「はい!!」
「ではまず昼食だ。行くぞ〜」
魔法を作り出す方法を教えてもらえるという。今まで存在しなかった魔法を作れるかもしれないと思うと、とても楽しみになってきた。
読んで頂きありがとうございました!
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