闇と光の適性検査
魔法陣が、目を開けていられないほどの明るさで輝く。魔法陣の中心が最も明るくなっている。
「やはりそうか。すごいな。素晴らしい」
魔王様がそう呟いたのが聞こえた。そのうち、魔法陣の光は、二つの柱に分散するようにして移動し、白と紫、光と闇の二属性の柱を、目を開けていられないほどの明るさで輝かせた。
しばらくして、光は収まった。
「リヒト、これが君の魔法への適性だ。光と闇、特に闇に対して、尋常じゃない適性を持ち、魔力量も二属性に関しては大量にある」
魔王様が何か話しかけてくれているが、頭に入ってこない。人間の中でも魔法を使えない者はごく少数だった。そのため、自分を落ちこぼれだと思っている自分がいた。が、実は魔法への適性があった、そのことが嬉しかった。
「何百年間かの研究で、人にも魔族にも必ず一種類の属性には魔法への適性があることは分かっていた……が、ここまでとはな。すごいぞ」
「はい……ありがとう……ございます……」
「まぁ落ち着いたら、魔法の訓練などについて話そう」
「……はい…………」
ーーーーー
程なくして、リヒトはだいぶ落ち着きを取り戻した。
「それでは、君に魔法の適性があると分かったな」
「はい」
「その才、訓練して磨きをかけてはどうだ?」
「訓練、ですか」
「ああ。リヒトには才能がある、だからこそそれを訓練して磨いて欲しいのだ。理由は簡単、そうしたほうが、我々にとって利があるからだ。もともと君は魔力の制御をしたことはないのだろう?」
「はい。昔は制御するような魔力もなかったですから」
頷きながら魔王は答える。
「なら尚更、魔力の制御を覚えて貰う必要があるな。制御できずに溢れ出した魔力は、獣を凶暴化させ、そして魔物に変えてしまう。ごく稀に人を魔人化させたりもするが……とにかく、君には魔力制御までは必ずできるようになって貰おう」
「はい! 喜んで!……なんですけど、その……先生というか師匠というかは、どうするんですか? 基礎の基礎もできないですけど……」
「そんなもん私が教える。私はこう見えても、闇属性魔法のプロフェッショナルだからな」
しかし、一応一国の王なのだ。仕事をサボることになったりしないのだろうか……
「そうだったんですか。では、これからよろしくお願いします」
「……そうだ、魔法を教わるときは、私を師匠と呼ぶように」
「はい! よろしくお願いします、師匠」
「では、早速だが訓練場に行こう。楽しくなってきたぞ〜、ハハハハハ!」
上機嫌で笑いながら歩き出す魔王に、リヒトはついて行く。今日のこの日が人間、魔族の歴史を大きく変えてしまうことを、彼らはまだ知らない。
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