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王太子殿下結婚式です!

 王城の大きな大聖堂。華やかで上品な作りのそこは、多くの貴族が入っていた。厳かな雰囲気が漂っている。

 といってもまぁ、皆思い思いにコソコソ話しているけど。まだ結婚式は始まっていないのでセーフです!


 そう、今日はついに王太子殿下とマリー様の結婚式。これからマリー様は王太子妃となるのです。


「まだかなぁ」


 そろそろ所定の時間である。ウェディングドレス姿のマリー様綺麗だろうなぁ。この結婚式が終わったら王太子妃様と呼ばないと。


「もうすぐだ」


 隣には正装をしたルイド様が立っている。

 人間味のある圧倒的美の正装姿、眼福である。もう本当に美!よく前世でイケメンのスーツ姿いい…!みたいなやつあるけど、ほんとそれな。スーツじゃなくてこの世界の正装だけど!


 王太子殿下とマリー様は王族のみ立ち入れる小さな神殿で結婚を誓い誓約書にサインをしたあと、こちらの大聖堂にきて貴族の前でもう一度結婚を誓うのである。ここでの手順はたぶん前世の結婚式に近そうだね!違うとすれば私たちは立っているということ。人数が多いせいか椅子がない。それと、真ん中の通路歩くとき、前世では新婦が自分の父と歩くけど、ここでは新郎と歩くこと。


「しかし良い場所ですね…」


「身分順だからな」


 私たちは一番前にいる。公爵家だからね!通路挟んだ向こう側の一番前はマリー様の実家のシャルム公爵家が立っている。


「王太子殿下夫妻のご入場です!」


 所定の時間になったのか、扉の近くに立っていた衛兵が声高くそう言った。

 一瞬で静寂が訪れる。


 ゆっくりと立派な扉が開けられる。そこには白の正装を着た爽やか美青年の王太子殿下と、上品で豪華なウェディングドレスに身を包んだ美しいマリー様が佇んでいた。


 わぁ…綺麗…!


 王太子殿下はマリー様をエスコートしながらゆっくりと優雅に歩き出す。

 2人とも凛々しい顔付きをしていた。


 私の結婚式はどうだったかなー。たぶん粗相の心配もあってガッチガチに緊張していた気がする。笑みは浮かべていたけどね!まぁ、あまり覚えていないんですけど。緊張しすぎて。だって引きこもりが貴族一豪華な結婚式の新婦だよ?緊張するなってほうが無理よね!


「あ…」


 マリー様が近くに来た時に、一瞬だけ目があった。他の人に気づかれない程度にマリー様が微笑む。その笑みは完全に真理だった。


 王太子殿下とマリー様が壇上に上がる。


「王太子殿下とマリーナル・シャルム様におかれては…」


 壇上の中央に立った神殿長が長々とお決まりの言葉を述べ始める。

 簡単に略すると、神がどうとか国がどうとか愛がどうとか云々かんぬん…である。


 正直に言おう、立ってるのが辛くなってきた。正装のドレスって重いんだよ!しかもヒール高いんだよ!肩も痛いし足も痛い!神殿長、早く全部言っちゃって…。


 そんなことを思いながら話を聞くこと数分。ついに最終局面に差し掛かった。


「それでは、王太子殿下はこれからマリーナル・シャルム様と力を合わせてこの国を導いていくと誓いますか」


 王族用の誓いの言葉。王族用というか、王太子殿下と国王陛下用だけど。なんだか重みが違うなぁ…。

 私たちの時はなんて言っていたっけ。ルイド様に向かって…そうそう、妻を大事にしてなんとか~だったような気がする!大事に…大事にね?うん、大事にされてるよ?今はね?


「誓います」


 王太子殿下がしっかりとした威厳のある声で答える。


「マリーナル・シャルム様は王太子殿下を支え、将来この国の母として国民を見守っていくことを誓いますか」


 王太子妃となるということは、将来この国の王妃となること。この国では王妃は国の母である。マリー様…真理がこの国の母かぁ。前世で一緒に普通の女子高生をしていたのに、王族だなんて、人生どうなるかわからないよねぇ。人生跨いじゃってるけど。

 ちなみに私はなんて言われたっけ…。なんか夫を支え家の発展領地の発展~って言われた気がする。全くもってルイド様を支えている気がしないんだけど!?支えられてばかりだよね!それに家の発展も領地の発展も何も私は関わっていない気がする…。


「誓います」


 マリー様の凛とした声が大聖堂に優雅に響く。芯の強さ、覚悟の重さが伝わるような声。

 この国の将来は安泰…そう思えた。


「それでは、ご結婚の宣言を」


 神殿長のその声で、王太子殿下とマリー様が振り返る。そっと王太子殿下が差し出した手に、マリー様の白くて華奢な手が重なる。


「ここに、私とマリーナル・シャルムの結婚を宣言する」


 王太子殿下の威厳のある声が大聖堂に凛と響く。


 これによって正式に王太子殿下と王太子妃様の結婚が対外的に成立した。


「王太子殿下、王太子妃様、おめでとうございます」


 シャルム公爵様が声を上げる。私たちは一礼をした。


 王太子殿下がそのまま王太子妃様をエスコートしながら壇上から降りて後方の扉に向かってゆっくりと歩き出す。

 不意に王太子妃様と目が合った。私は口パクでおめでとうと言うと、王太子妃様が一瞬だけ幸せそうにほほ笑んだ。


 真理、よかったね!おめでとう!


 優雅に歩いていく王太子妃様の後ろ姿を見て、心の中で祝福をした。




「王太子妃様、お綺麗でしたね」


 帰りの馬車の中で、ルイド様にそう話しかける。さっき見た結婚式の様子が頭の中でエンドレスに流れている。


「そうだな」


 ルイド様が窓の外を見ながら相槌を打つ。

 厳かな雰囲気の中行われた結婚式だったけど、私にはとてもキラキラして見えたなぁ。特に自分の結婚式があれだったために、ね?いや、ちゃんと立派な結婚式だったよ?だけど気持ちの面がねぇ…愛なんてなかったし、強制だったし、引きこもりだったし?

 今となってはありがとうだけどね!


「ルイド様、どうされたんですか?」


 結婚式が終わってからなんだか思いつめているみたいな顔しているんだけど…。はっ、まさか私何か粗相した!?粗相即嫌われエンド…!?今回は王太子殿下の結婚式だから粗相即離縁…?


「いや、何でもないが…」


 そう言って窓の外を見るルイド様はやっぱり深刻そうな顔をしていて。


「ルイド様、いつでも心の準備はできてますよ」


 もしかして、離縁はしないって前に言ったことを気にしているのかなぁ。

 ルイド様は訝しんだ顔を私に向ける。


「何をだ?」


「離縁です」


「待て、何でそうなった」


 ルイド様が一瞬驚いたあと、眉間に手を当てた。

 ありゃ?その反応なら粗相したわけではなさそうだね?


「何か思いつめた顔をしていたので、私が何か粗相してしまったのかなぁ…と」


「そんなことは全くないから安心してくれ。それに、前も言ったけど離縁はしないから」


「それはよかったです」


 どうやら本当に粗相はしていないらしい。よかったよかった。じゃああの顔は仕事のことを考えていたのかな?王族結婚後ってしばらくは大変そうだし。


「…今日の結婚式どうだった?」


 不意にルイド様からそう質問される。


「キラキラしていました」


「そうか」


 ルイド様は私の答えを聞くと、また窓の外を見る。

 はて、何だったんだろうね?ま、いっか~。




 この時の私は、夜にルイド様からあることを伝えられるとは思いもしなかったのだった。


このお話も残すところもあとわずかになってきました。後2話か3話くらいですかね…。ルイド様視点をつけるか迷っています。


王太子妃の呼び方ですが、今回は王太子妃様にします。

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