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旦那様です!

糖度多めでお送りします

「起きていたか」


「あ、お疲れ様です」


 ルイド様が部屋に入ってきたので、読んでいた領地関係の本にしおりを挟み閉じる。

 領地に行くって言われた日からもうずっと読書漬けである。頭がパンクしそう。だから今日のお茶会はとてもいい息抜きだった。


 ベッドに静かに乗って、ルイド様と向かい合う。

 と言ってもまぁ、このベッド大きいからだいぶ距離はあるけど。いつもは何とも思わないけど今日はこの距離が憎い!何てったって今日はハグしてもらいたいからね!私は思い立ったら即行動、である。

 あ、でもそういうの好きじゃなさそうだったら即寝るよ!ここは寝室。寝たふりっていう逃げ道があるからね!


「今日はどうだった?」


「とても楽しかったです」


「それはよかった」


 そう言ってルイド様は優しく微笑む。

 くぅ、その笑顔本当に素敵!好き!なんだかんだ毎日その笑顔見せてくれるけど、とても良い。愛されているなぁ…て思うよね!


 さて、どうやって切り出そうかなぁ。


「ところで、領地の人たちはどんな感じなんですか?」


 まずはいつも通り会話に持ち込もう。


「そうだな…。真面目で明るい人が多い」


「そうなんですか」


 領民は領主家族に似るみたいだねぇ。ルイド様の真面目さにお義母様の明るさを取ったような感じかな?そういえば、お義父様に会うの結婚式以来だ…。やばい、どんな人かわからない。もしかしてまだ認められていないかもしれない…?この前来たのお義母様だけだったもんね!?


「どうした。急に顔が青くなったぞ」


「私、お義父様に認められていないんじゃないかと思いまして…」


 ルイド様に尋ねられたので、思ったことをそのまま言う。するとルイド様は小さく吹き出し、そのままクスクス笑う。


「なんで笑うんですか~。私からしたら死活問題ですよ」


「すまんな。絶対そんなことはないから大丈夫」


「そうなんですね。それなら安心です」


 領地に行って、あんたなんか認めてないから泊まらせない!とか言われたら大変だもん。よかったよかった。…でもいつの間に認められたんだろう?


「お義父様ってどんな人ですか?」


「一言で言うと、寡黙」


 わぁ、それなんてルイド様。さすが親子。そうだよね、そうじゃなきゃあのお義母様がいてルイド様が寡黙になるはずないもんね?お義母様明るくてお元気でお喋り大好きな方だからなぁ。


「そうなんですね」


「あぁ、だからもしかしたらフィリアは不安になるかもしれないが、認めてないなんてことはないから安心してくれ」


「わかりました」


 なんだかつい1カ月前の私みたいだね?粗相即離縁に常に怯えていたっけ。いやまぁ、屋敷に居る時は楽しかったけど。


「そういえば、今日はどんな話をしたんだ?」


 この話は終わりとばかりに、ルイド様が話題転換をしてくる。

 お?これはもしかしてハグしてください!て言える雰囲気になるのでは!?


「ここ1カ月のことや、マリー様と王太子殿下の仲について話しました」


 ルイド様とのことも話したけど、それはこの際置いておこう。


「そうか。お二方の仲はどんな感じだ?」


「良いみたいです」


「そうか、それは何よりだ」


 そう言ってちょっと安心したような顔をする。

 やっぱり王様の側近をしてるから王太子殿下の結婚事情も気になるのかな?


 あ、今ならいけるかも!


「あ、でも、王太子殿下との触れ合いがないみたいで不安そうでした」


 私がそう言うと、ルイド様はちょっと驚いた。

 そうだよね、そう思うよね、だってあの2人だもんね!絶対お互い好き同士なのに不安!?てなるよね!わかるわぁ。


 て、そうじゃなかった。ここからハグしたいって言える雰囲気に持っていこう。


「多少の触れ合いって大事なんですね」


 そう言ってルイド様をじーっと見る。


「そうだな。…どうした?」


「多少の触れ合いって大事なんですね」


 次はジーッと見ながら、触れ合いの部分をちょっとだけ強調して言う。あ、大事なことだから2回言いました。触れ合いって大事ですよね!


「…それ、私に言ってる?」


 ルイド様がやっと気づいたのか、そう聞いてくる。若干、めんどくさそうにしながら。

 ふむふむ、こういうのめんどくさいって思うタイプみたいだね…。いや、なんとなくわかっていたけども!でもちょっと悲しい。だって今世人肌に触れる機会少なすぎだし!


「いえ…。もう今日は寝ましょうか。なんだか眠たくなってきました」


 そう言ってヘラっと笑う。何もない風を装って…と。

 よし、ここは逃げよう!苦手なのに無理に押し付けるのは良くないよね!それに私も触れ合いがないから不安っていうわけではないし。むしろ無理強いして嫌われる方が嫌だし。


「…何をすればいい?」


「へ?」


 横になろうとしたとき、不意にルイド様がそう言ってきた。

 え?今なんと?…言ったらやってくれるんですか!?無理強いは絶対しませんよ!


「もしかしたら、またフィリアを不安にさせてるんじゃないかと思って」


 ルイド様はそう言って申し訳なさそうな顔をする。


「不安にはなっていないです!ただ、今日ふとそう思っただけで…。それに苦手なら無理強いはしませんよ?」


「別に苦手ではない」


 あら、そうなの!?じゃあ、お願いしてみようかな。それでやっぱり無理そうならスパッと諦めよう。


「では、ハグしてほしいです!」


 そう言ってルイド様を見ると、驚いていた。

 なぜ驚く!?触れ合いたいって言ったよね!?だとしたらハグでしょ!人の温もり!


「無理なら頭撫でてください!」


 なんか1回言葉に出した今ならなんでも言える気がする!やっぱり人間初めてのことは怖いよね!1回やると何ともなくなるよね!前世の授業でやった発表と一緒。


「ふっ。じゃあ、両方やろうか」


 私が勢いに任せてそう言うと、ルイド様は小さく吹き出し、とんでもない爆弾発言をしてきた。

 というか、さっきのめんどくさいオーラはどこに行ったんですか!なんか楽しそうですね!?


「へ!?1つでいいですよ!?」


「せっかくだ。その2つならいっぺんにできるし」


 そう言ってじわじわ寄ってくる。あれなんだろう、ネコに追い詰められたネズミ気分?


「ありがとうござ…!?」


 私が言い終わる前に、ルイド様に抱きしめられた。


 わぁ、温かい…!そして安心感すごい!だけどすごくドキドキするね…!?


「折れそう…」


「え?」


「なんでもない」


 そしてルイド様は私を抱きしめたまま頭を3回撫でる。


 わぁ!いいねこれ!すごく好き…!


「これでいいか?」


 そう言って、ルイド様は離れる。


「はい!ありがとうございます!」


 なんだかとても幸せな気分になったなぁ。また1か月後とか2カ月後に頼もうかな!


「寝るか」


「はい」


抱きしめて思ってた以上に華奢で力を入れたら折れそう!って気づくシチュエーション大好きです。

ルイド様の理性が鉄壁。健全でお送りいたします。


次から領地に行きます。


その後編もちゃんと完結します!そしてその後編が完結したら完全に完結になります!

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