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友人とお茶会です!

 3日後。

 今日はマリー様がここユースエン公爵家に来る日である。あの後、ちょっと毒のことあって外に出るの怖いからうちに来ない?みたいなことを超丁寧に描いた手紙を送った。返事はおっけーだった。


「緊張するわね…」


「そうですね」


 相手は前世の友人とはいえ、身分では上だし…なにより初めて家に招いたお客様である。うん、そりゃ緊張する。あ、そういえば前世含めて家に呼んだの初じゃない?ごめん真理、こんな引きこもりの友人で。


「あ、着いたようですよ」


 窓から外を見ていたサフィが馬車が入ってきたのを確認してそう言う。


「わかったわ」


 私は立ち上がり、玄関へと向かった。




「ようこそいらっしゃいました」


 玄関で少し待っていると、マリー様が入ってきた。

 マリー様はポニーテールだった。絶対前世意識したでしょ!前世の真理はよくポニテだったよね!


「今日はよろしくね」


「はい。急に我が家でのお茶会に変更して申し訳ありませんわ」


「いいのよ。事情が事情だしね」


 そう言ってマリー様はふんわり微笑む。

 あ、これ前世の保護者モードになった真理の笑い方だ。今世のきつめ美人顔でも似合うなぁ。


「では、お茶会の場所に移動しましょう」




 やってきたのは、ユースエン公爵家の立派な庭にあるこれまた立派な東屋。


 ルイド様に、2人きりになれるけど人の目がある場所を聞いたら外だろうと言われたのでね!屋敷探索で見つけたこの立派な東屋にしましたよ!前世みたいに話したいからねぇ。


 お茶を使用人さんに用意してもらった後、少し離れた場所に待機してもらう。

 ふふん、ここらへんはサフィに話しといたからばっちりね!


「ようこそ我が家へ!」


 近くに誰もいないのを確認してから声を発する。前世の話し方で。

 真理はというと、若干ジト目だった。


「切り替え早すぎ。そして理愛の家来るのは初めてねぇ」


「その点は申し訳なかった。ところで、最近どうよ?」


 案の定つっこまれた。でも仕方ないと思うんだ。引きこもりだったし。あ、でも家に呼ぶのは結局家だから引きこもり関係ない…?


 そして私が質問すると、真理は遠い目をした。


「いきなりねぇ…」


「進展した?」


「いや?」


 おうふ、まじか。あんなに仲良さそうなのに未だにお互いの気持ち通じ合わせてないのね!これあれだ、仲良い男子といつの間にか付き合っているみたいなやつ…!


「はやく殿下に好きって言いなよ~」


「ちくしょう、自分は伝えたからってそんなお気楽に言いやがって…」


「わぁ、怖い。ごめんごめん」


 なんで真理が私とルイド様のことを知っているかと言うと、単純に手紙を書いて報告したからである。だって真理に伝えたかったんだもん。


「理愛はどう?ユースエン公爵殿何か変わった?」


 真理はそう言って紅茶を一口飲む。私の話はここまで、とでもいうかのように。

 おお、ここで私にきますかー。まぁ、ありのまま伝えてもいいよね?


「会話増えた!あと、なんか雰囲気が丸くなった!夫婦らしくなった!」


「そう、それはよかったね。ユースエン公爵殿の雰囲気が丸い…想像できないんだけど」


「真理が会う時は仕事モードだからね!」


 仕事モードのルイド様は不愛想でぶっきらぼう。できる人みたいでかっこいいけど。あれ、でもお仕事中に営業スマイルしないんかな?…しなそう。

 真理は、納得した表情をした。


「会ってみたいね、プライベートモードのユースエン公爵殿」


「いや、今世の真理の前だと絶対お仕事モードになると思う」


 身分がね!もうすぐ王族になるわけだし!そういえば真理は王族になるのか…すごいなぁ。私は絶対王族なんてなりたくない…。社交めんどくさい。


「だろうね。まぁ、舞踏会で2人きりになったところを盗み見るよ」


「あぁ、それいいね!」


 舞踏会でいつもの感じを見せてくれるかは知らないけど!たぶんキラッキラの笑顔。そして目の奥に疲労の色。


 ちなみについ1週間前に王家主催の舞踏会があった。ちゃんと欠席したけど。でも欠席してしまったから次からは行かないといけない…。


「んで、真理は本当にいつ気持ちを伝えるの?」


 そう言って真理の真似をして紅茶を一口飲む。紅茶恐怖症にならなくてよかったぁ。若干他家のお茶会恐怖症ではあるけど。


 真理は苦い顔をしながら口を開く。


「今そのことで悩んでるのよ」


 そう言って、ため息をつく。

 私は続けてどうぞ、とジェスチャーをする。


「私は殿下が好きだけど、果たして殿下は私のこと好きなのかなぁって」


「絶対好きだと思うけど!?」


 だって前社交で見た時の2人の空気甘かったよ?殿下の真理を見る目がそれはそれは優しかったよ?あれで好きじゃなかったら大物俳優びっくりの演技力だわぁ。


「でも、触れ合いとか一切ないんだよ?エスコートの時くらい」


 そういって真理は視線を落とす。

 あぁ、手をつないだり抱きしめたりキスしたりがないから不安ってことね。確かにそれは不安になる。…ん?まって?そういえばルイド様とエスコート以外ほぼ触れてなくない?甘々な空気とかなくない?キスとか結婚式以来やってないし、抱きしめてもらったことない…!


「表情がコロコロ変わっているけどどうしたの?」


 重大な気づきにあわあわしていると、真理がキョトンとして聞いてきた。


「そういえば私もルイド様と触れ合いほとんどないなーっと思って」


「え、まじで?」


「まじで」


 そう言うと、真理は頭を押さえてため息をついた。

 あ、なんかごめんなさいね?でもこれが真実なのよ。


「いやまぁ、ユースエン公爵殿らしいと言えばらしいけど…不安にならないの?」


「んー、ならないかなぁ。だって愛されている自覚あるし」


 私がそう言うと、真理は少しびっくりしていた。

 だって今の今まで忘れていたんだよ?不安になったことなんてなかったなぁ。お喋り楽しい!その優しい笑顔好き!って感情しかなかった。


「なんで愛されているってわかるの?」


「1か月前までのルイド様と今のルイド様の態度が違うからかなぁ。あの時は本当に他人みたいだったからねぇ…。それにルイド様女性に興味なさすぎるから他の女性に目移りすることはなさそう」


「あぁ、なるほど。ユースエン公爵殿に嫁いだのが理愛でよかったと今すごく思ったよ」


 そう言って真理は小さく微笑む。

 お?それはどういう意味です!?私よりも公爵夫人を立派に務める令嬢はたくさんいると思うけど!まぁ、だけど私みたいにルイド様のあの態度を楽しめる令嬢はあんまりいなそう。それもこれも前世の記憶のおかげだけどね!


「で、真理よ真理。気づいたら私の話になっていたんだけど!?」


「あ、気づきましたかー。…でもまぁ、理愛の話を聞いて少しは自信持てたかも?」


 そう言った真理の顔はさっきよりかは明るかった。

 なんかいつのまにか励ましていたみたいだね!元気になってよかったよかった!


「じゃあ気持ち伝える?」


「そうね。頑張ってみる」


 もう真理の顔にさっきまでの暗さはなかった。

 おお!ついに真理が心を決めたよ!応援してる頑張って!絶対成功するから!あと、王妃様のあの言葉はこの調子なら言わなくていいかなぁ。


「あ、そうそう。今世もポニテ似合ってるよ!」


「ふふ、ありがとう」




 楽しい時間はあっという間に過ぎ、真理が帰る時間になった。


「今日は楽しかったですわ」


 使用人さんが近くにいるので、今世モードに戻す。


「私も楽しかったわ。またお茶に誘うわね」


「はい!」


「では私はこれで失礼するわ」


 そう言ってマリー様は馬車に乗り込んだ。馬車が見えなくなるまで見送る。


「楽しかったですか?」


 見送り終わった後、サフィがそう尋ねてくる。


「ええ、とても楽しかったわ」


 …ルイド様に抱きしめてもらいたいなぁ。


 真理とのやり取りを思い出して、ふとそんなことを思った。


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