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日常です!

その後編をいらないと思う方もいるかもしれませんが、ハッピーエンドのその後をすごく書いてみたかったんです…!

もしよければお付き合いください。

長くは書きません…20話くらいを目途にその後編を完結させます。

 ルイド様と思いを通じ合わせてから1カ月経った。


 どてっ


「いった…」


 落ちました。ベッドから。

 昨日何やったっけ…あぁ、そうだ、ベッドで本読もうと思って…寝落ちですね、はい。


「やっぱり落ちたか」


 そう言って、ベッドの上から覗いてきたのはルイド様。もう一回言おう、ルイド様である。


「落ちるのわかっていたなら助けてください~…」


 中央に寝かせるとか一回起こすとか!ベッドから落ちて起きるのは中々に目覚めが悪い!

 そして朝っぱらからその人間味のある圧倒的美を見るのは目に良くない!


「いや、面白そうでな」


「意地悪ですわ…」


 ルイド様の手を借りながらベッドの上に戻る。


 なんでルイド様が寝室にいるかというと、ルイド様と気持ちを通じ合わせたあの後、寝ている時に体調が急変したら大変ということで、寝室が一緒になりました。

 あ!ちなみに体調は急変していないよ!いつも通り元気だよ!前世も今世も健康体が取り柄だからね!さすがに事故と毒には勝てなかったけど。


「ふっ、やっぱり面白かった」


「もう…」


 ルイド様はそう言って、クスクス笑う。

 こちとら目覚めが悪いというのに…まぁ、その笑顔を見れたからいいとしよう。


 ルイド様はこの1カ月でだいぶ変わった…わけではない。変わったことと言えば、会話が増えたこと、表情を表に出すようになったこと、なんか雰囲気が丸くなったことである。


「未だに信じられないよね…」


「何がだ?」


 あ、聞こえてましたか。そりゃそうか、この距離だもんね!


「ルイド様の態度です」


 1カ月前までは会話ほぼなし、常に無表情、なルイド様だったのにね。人ってこんなに変わるのかぁ。愛ってやばい。そりゃドロドロの愛憎劇なんてものが存在するわけだわ。


 ルイド様はというと、気まずそうな顔をしながら視線を外した。

 あ、その反応可愛い!


「あの時は周りが結婚結婚うるさくて仕方なく結婚したから、仲を進展させようとか全く思わなかったんだ。それにそもそも女性に興味なかったし」


 おうふ、ビンゴだわ。思ってた通り。今思えば私よく耐えたよ。いや、耐えるというか、前世の記憶戻ってから結構楽しんでいたね!


「そうなんですね」


「この話はここで終了。そろそろ準備をする」


 ルイド様はそう言って、立ち上がる。


「あ、もうそんな時間ですか。お仕事頑張ってくださいね!」


「あぁ」


 そう言うと、ルイド様は静かに部屋を出て行った。

 うんうん、なんか夫婦っぽい!朝のこういうやり取りってやっぱり良いねぇ。


「よし、二度寝しよう」


 ルイド様も起きたし。あ、一緒に朝ご飯は諦めました。前にルイド様がゆっくりしてていいって言ってくださったので。


「させませんよ?」


「…おはようサフィ」


「おはようございます、奥様」


 再び布団を被った瞬間、サフィが入ってきた。とても良い笑顔で。

 そうそう、ルイド様と仲が良くなってから、サフィの機嫌も良くなった。黒いオーラが出ていないからね!


「あと一寝入り…」


「だめです」


「デスヨネー」




 あの後サフィによって素早く支度を終え、朝ご飯を食べた。あ、ルイド様はもうすでに出発してました。準備はっや。


 今はサロンでまったりしてます。


「こちらにいらっしゃいましたか」


 まったりしていると、フレデリクが入ってきた。台を押しながら。


「あら、どうしたのかしら?」


 いやまぁ見たらリアグランス関係なんだろうなって思うけどね!そしてその台に乗っているたくさんの小瓶からして新作作ろうぜってことなんだろうけどね!私の鼻終了のお知らせ。


「売れ行きが大変好調なので、第二弾を作ろうと思いまして。今回奥様に匂いを選んでもらおうかと」


 フレデリクはそうにっこりと笑いながら答える。

 うん、その笑み怖いわー。


「好調なのね。よかったわ」


「はい。特にマリーナル・シャルム様と王妃様が使い始めてから大変売れ行きがよろしいのです」


 おっふ、さすがですね!ネームバリューすご…!なるほど、確かに第二弾を作って売り出すなら今ね。自分の好きな香りを見つけて使ってほしいわぁ。


「そうなの」


「ということで、香りを4種類午前中の内に選びましょう」


「…わかったわ」


 さよなら、私の鼻。




「うえ…」


「お疲れ様です」


 4つ香りを選んだ私は見事に鼻が終わりました。今回もきつかった…!相変わらず香りがきつい。


 ちなみに今回は、ラベンダーの香りと、前世のおひさまの香りと森林の香りみたいな香りと、女性が好きそうなフローラル系の香りを選んだ。ラベンダーは欲しかったんだよね!今回の一押し!


「あとはよろしくね」


「はい」


 フレデリクは一礼をして、サロンを出て行った。

 仕上がりが楽しみである。


「外でお裁縫をしようかしら」


 鼻が終わったので、外の空気を吸ってリフレッシュしたい。あと、ちょっとお裁縫で作らないといけないものがある。そうだねぇ、秘密の東屋にでも行こうかな!


「良いと思います。ではお茶と軽食をお持ちしますね」


「ありがとう」




 秘密の東屋に着き、深呼吸をする。


「はー、自然の匂い…!」


 鼻が生き返る!これで用意してもらった軽食が美味しく食べられそう!

 あ、城で太った分ちゃんと体重減らしたからね!ソルディエ地獄の護身術講座で!地獄のレッスンはダンスだけじゃなかったんかい…と言いたいわぁ。


「今回は何を作るんですか?」


 布と針と糸を用意しているサフィがそう聞いてくる。


「ルイド様のハンカチーフに刺繍をするのと、ルイド様用の枕カバーよ」


 わぁ、口に出して気づいたけど全部ルイド様。だって仕方ないじゃない。何か欲しいって言われたんだから!クッションカバー褒めてくれたんだよ!嬉しいね!特にルイド様は褒めキャラじゃないし…!


 サフィはというと、楽しそうに笑っていた。


「心を込めて作らないといけませんね」


「そうね」


 さて、まずはハンカチーフに刺繍ね。何色にしようかなぁ。銀か紺も良さそうだけど…あ、金にしようかな。それで、枕カバーに施す刺繍は紺色にしよう。


「金糸を用意してちょうだい」


「はい」


 サフィに針に金糸を通してもらい、それを受け取りハンカチに刺す。よーし、やるぞー。施す刺繍は家紋!さすがに覚えた!さすが10代の脳だね!




「ふぅ…。こんな感じかしら」


「良いと思います」


 だよね!私もなかなか良くできたと思う。たぶん、今まで施した刺繍の中で一番のできじゃないかなぁ。やったね!


「次は枕カバーね」


 今度は青の刺繍…て、まずは枕カバーから作っていかなければ。


「軽食も食べたことですし、そろそろ中に入られてはいかがですか?」


「それもそうね」


 鼻も復活したし。復活早いな?さすが10代。て、そこは関係ないか。




 屋敷の中に戻り、枕カバーを作り始めること数分。フレデリクがサロンに入ってきた。一通の手紙を持って。

 おっとその手紙は…


「奥様、シャルム公爵家より手紙が来ております」


「ありがとう」


 ふむ、シャルム公爵家か…。となるとマリー様かな?じゃあ、お茶会の可能性が高いね!


 封を切って、手紙を取り出して読む。そこには3日後お茶会しようぜ!的な内容な形式的に書いてあった。ビンゴだね!


「お茶会への招待ね。3日後空いてるかしら?」


「空いています」


「それなら決まりね」


 わーい!マリー様とのお茶会~!たぶん2人よね?となると真理として接することができる!王太子殿下との進展聞きたかったんだよね!気持ちを伝えたかなぁ。


「一回旦那様にお聞きください」


 フレデリクがジト目で見ながらそう言ってくる。


「あぁ、そうね。そうするわ」


 ごめんルイド様、決して忘れていたわけではないからね!単純にルイド様なら許してくれるだろうと思ってたから!はい、ちゃんと言いまーす。


 さて、続きをしよう。ルイド様が帰ってくる前に仕上げたい。今日寝る前にプレゼントしたいし!




「お、終わったわ…」


 ルイド様が帰ってくるであろう時間のちょっと前、ようやく枕カバーに刺繍を施して完成した。


 ちょっと失敗したけどそこはご愛嬌ということで。ハンカチーフは良くできたから、プラスマイナスゼロだね!


「あ、ちょうど帰ってきたみたいですよ」


「わかったわ」


 ナイスタイミングですね!さすがルイド様!


 他のメイドに片づけをしてもらい、作ったものはサフィに渡して自室に持って行ってもらった。


 玄関に行き、待つこと数分、ルイド様が入ってきた。


「おかえりなさいませ」


「ただいま帰った」


 そう言って、ルイド様は書斎に行った。

 うん、ここはこの1カ月で特に変わってないね!


 ダイニングに行って席につき、ルイド様が来たところで夕飯を食べ始める。無言で。

 うん、ここも変わっていないね!たぶん、ルイド様はこの後の領主の仕事が終わるまではお仕事モードなんだと思う。


 結局一言も話さないまま、ルイド様は先に食べ終わり、書斎に戻っていった。

 後ろのサフィから若干黒いオーラが出かけているけど、これはまだ出ていないからセーフよ!というかいつものことだし!




 私も夕飯を食べ終わり、自室に戻って湯浴みを済ませる。そして寝落ちしないように、今回はちゃんと椅子に座って領地関係の本を読む。ちょっと今回はマリー様とのお茶会の確認もしたいし、それに頑張って作ったハンカチと枕カバー渡したいし。


 読むこと2時間。ドアがノックされ、ルイド様が入ってきた。それとともにサフィが部屋の外に出る。


「今日は起きていたか」


「はい」


 本を閉じ、ベッドにダイブっ…したいのをこらえ、静かに乗る。ルイド様も反対側に乗る。

 さぁさぁ!楽しい楽しい会話タイムですよ!ルイド様が楽しんでいるかは置いといて!


「今日はどうだった?」


「午前中にリアグランスの第二弾の香りを決めて、午後からお裁縫をしました。あ、これルイド様に…」


 そう言ってベッドの端に置いていたハンカチと枕カバーをルイド様に手渡す。ルイド様はそれを受け取って満足そうに笑った。

 おぉ、お気に召したみたいでよかったです。


「ありがとう。早速こちらは使おう」


 そう言って、ルイド様は枕カバーを素早くセットする。セットされた枕カバーの端の方に少し不格好な鳥がいい感じに陣取っている。

 あ、そんなに良い場所に来るならやり直せばよかった…!いやでもこれも手作り感があっていいのかも?いやよくないわ!


「すみません、不格好でしたね…。やり直します」


「いや、これが良い」


 え、いいんですか!?やり直しますよ!?

 まぁ、ハンカチの刺繍は良くできたんでいっか。


「…ありがとうな」


「いえ」


 ルイド様はそう言って優しく微笑む。うっわ、その笑顔寝る前にはきついわー。ドキドキするやつやん。好き。


「あ、3日後マリー様からお茶会に誘われているんですが、行っていいですか?」


 危ない危ない。その笑みのせいでも忘れかけていたわ。まぁ、おっけー出されるんだろうけど、一応ね?聞いておこうね?


「だめだ」


「え?」


 お?今なんと?ダメ?ノーってことですか!?え、なんで…!?


「1カ月前のことを忘れたのか…」


 ルイド様が若干呆れつつそう言ってくる。


「あぁ…」


 1カ月前のお茶会で毒盛られたんだった。

 忘れていたわけではないよ!個人的にはすごく忘れたい記憶だけど。


 マリー様は前世の真理っていう意識が強くて、お茶会というよりは遊ぼうぜっていう感覚だっただけです。


「マリーナル様がそのようなことをする人ではないのはわかっている。ただ、今はあまり他家に行ってほしくない」


「なるほど…。ではどうしましょう」


 ルイド様がダメなら行けない。いや、絶対行けないことはないんだろうけど、理由が理由なんだよなぁ…。たくさん心配かけてしまったから。それにお茶会って感覚に戻ったせいで私もちょっと怖くなった。別に疑っているわけではないけどね!?あぁ、でもマリー様には会いたい。


「うちに呼べばいいんじゃないか?」


 うーん…と悩んでいると、ルイド様がそう提案してきた。


「あ、それいいですね!」


 ナイスアイディア!マリー様なら気を遣わずに呼べるし!


「じゃあそれで決まりだな。あ、そうだ」


「どうされたんですか?」


「1週間後、5日間の休みをもらえたから領地に行こう」


 ルイド様はそう言うと、優しく笑う。

 だからその笑顔はだめですって。心臓に悪いです。もう、絶対わざとだこの人…!て、そうじゃなかった。領地!?領地ですって!?私ついに領地に行くんだ…!やばい、本読み終わってないぞ。これは明日から読書漬けの毎日ですね!


「わかりました」


「よし、では寝るか。…おやすみ」


「おやすみなさい」


 挨拶をして布団の中に入る。ちなみにほぼ中央ね!落ちるから!ルイド様は明かりを消し、布団の中に入ってくる。ベッド広いからね、意外に私が中央に陣取ってもほどよい距離が空いてるんですよ。やったね。


 あ、この感じからわかっただろうけど、お互い思いを通じ合わせたとはいえ、甘々な雰囲気になることはないのです!てへっ。


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