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爆縮と体温の機知(6)

脱出しない雨

蝉の鳴き声が

地面を揺らして

するすると流れ行く

突き刺しては飛び立つ

ピリピリと鳴る肌が

猛る暑さを表している

それは生き物から

影を奪い取れるほどだ

モーター音に回転音

回るエネルギーを消費させる

液体を気体にし

冷たさを液体にした

コップに張り付いたコースターは

百円で買った安物


土煙りを上げて

グラウンドの砂が舞う

降り注ぐ物は

全て直線に見えた

遠くの空で

龍の腹音がすると

雨蛙ほどの大きさで

雨が降る

跳ね返りが

ピンポン球みたいに広がり

流れを作り

集まった一ヶ所から

轟々と押し出される


アスファルトの上は

蒸し返しのサウナで

温度を下げながら

雲になろうとする

見えないのに

肌に触れるから

見えたような気になる

あの繰り返される形は

そこから逃げられない

鎖で繋がれている

きっと

逃げてはならなかったのだ

あの水が逃げ出せば

全ては死に絶える


人間の半分は水である

だが、僕等は

それを持って逃げ出す

どこにも流れ出さない

地下水みたいだ

繰り返しから

なんとか逃れようとする

違う物を求める

新しい物を信じる

狭い地下の中で

なけなしの時間を明かりにして

歩き回る

歩ける場所が無くなれば

ここが生きる場所だと

自分に言い聞かせる

「ほら、逃げ出せなくなった」

そう言いながら

雨が降る

笑いながら雨が降る







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