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短篇集50  作者: SOUYA.(シメジ)
14/37

(⑭)霞染の朝

今回はファンタジー系のお話です

 随分と霧の濃い朝だったような気がする。


 本当なら記憶の片隅に追いやられて忘れてしまう日常の一コマだったのかもしれない。


 だけれど私は出会ってしまった。

 だけれど私は後悔なぞしていない。


 一昔前に煩く喚き立てて私をあそこから追い立てたあの者達なら『不吉だ』とか何とか言いながら“それ”を殺してしまったかもしれない。


 ああ、だからか。

 少し。私に似ているな。なんて失礼な事を微かに思ったのだ。


 私は“それ”に烏滸(おこ)がましくも名前を付けた。

 我ながら良い響きだと思う。


 あの者達が私を羨ましく思えばいいなんて少し思った。

 追い立てた者が功績を残したのだ、と。

 あわよくば殺してしまおうとした者が、と。


 “それ”はあまりに私には大きなもので。

 あまりに大きく持て余してしまうようなもので。


 いずれ“それ”が私の手元から飛び立つ時。

 私は酷く安堵を覚えるのだろう。


「おかあさま、ボクはどういきればよろしいのですか?」


「御前は御前の思う様に生きれば良いのだ」


 私のように、ならないよう。

 必死に自分の為に生きると良いさ。


 もしあの者達のように“それ”を殺そうという概念が生まれてしまったら私がその概念を殺してしまおう。

 もし私の元から“それ”が飛び立つ時には“それ”が戻って来ないように呪いをかけてしまおう。


「さあ、そろそろ眠る時間だ」


 この灯りの無い静かな夜にいつか“御前”が光を灯す、その時まで。


 私は“御前”を守っていこうと誓った。




END

○○の光って何だか落ち着きますよね


閲覧ありがとうございました。

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